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ファイル21 ゴールデンウィークに向けて 4月29日金曜日
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世間的には今日からゴールデンウィークとよばれるのだけれど、普通に出勤する。リリィエステートの休みは独特だ。火曜日と水曜日が定休日だけど、ゴールデンウィークは変則的になる。
「榊部長、こちらは?」
「店頭に貼るお休みのお知らせ」
プリンターから吐き出された大きな紙を取り出すと、榊部長が手招きしたのでそれを持っていく。A3の用紙はどうやらゴールデンウィークの営業についてのお知らせだった。
「ホワイト企業なら2日と6日に有給を取って長い休みにするんでしょうね」
「そうかもしれないわね。まぁ、リリィエステートは変則的だから」
今年は暦が悪くて、3,4,5日が火曜日から木曜日で、月金が平日という飛び石の極みになっている。
リリィエステートとしては、3日は営業して、4日は休み、その分次の週にがつんと休むことになっている。10日から13日までの四連休、それを励みに今日のお仕事も頑張れる。……頑張るぞと気合を入れるほどの大きな仕事をしているわけではないけれど。
「というか、一週間も営業を休みにして大丈夫なんですか? その前後に土日もありますし」
「その辺はいざとなれば私がなんとかするから大丈夫だよ。みんなはのんびりしておいで」
あぁ、会社の代表には労働基準法の休日が適用されない感じのアレだ……。
「ちなみに、ちゃんと会社カレンダーには書いてあるけど、ゴールデンウィークの代休3日分が翌週に振り替えられるけど、残った1日は祝日のない6月に割り振られるからね。それはそれで楽しみだよね」
「お休みの話ですか?」
お客さんの対応が終わったのか、三咲ちゃんが事務所スペースに戻って来た。
「七瀬ちゃんは何か予定があるかな?」
社長に問われ私はかぶりを振った。……何もないのが一番寂しいのだけれど。
「あ、いえ、なにも。別に……恋人もいないので、ね?」
「え? なな……あ、有働さん何でこっちを見るの?」
「いやぁ、建原係長は何か予定があるのかなと思いまして」
「べ、別に……何もないけど。むしろ、七瀬ちゃんとどこか行きたいなぁって思ってるよ」
おぉ! 三咲ちゃんに恋人がいないことが本人の口から……。それに、休み、私とどこか行きたいって……なんとまぁ。どうしよう、いろいろと計画したいところはあるのだけれど。
「温泉とかいいよね。連休明けだし、きっとどこも空いているはず」
「そうねぇ。綾香ちゃんと藍ちゃんは呼べないだろうけど、二人きりもいいよね」
「はいはい、旅行の計画は休憩とか仕事の後にしてね」
専務が手をパンと叩いて空気を切り替える。
「それは確かにそう。じゃあ、夜にメッセージ送るから」
三咲ちゃんがそう言って仕事に戻った。私も物件登録の作業に戻らないと。
デスクの前に戻って物件情報サイトを開くのだった。
「榊部長、こちらは?」
「店頭に貼るお休みのお知らせ」
プリンターから吐き出された大きな紙を取り出すと、榊部長が手招きしたのでそれを持っていく。A3の用紙はどうやらゴールデンウィークの営業についてのお知らせだった。
「ホワイト企業なら2日と6日に有給を取って長い休みにするんでしょうね」
「そうかもしれないわね。まぁ、リリィエステートは変則的だから」
今年は暦が悪くて、3,4,5日が火曜日から木曜日で、月金が平日という飛び石の極みになっている。
リリィエステートとしては、3日は営業して、4日は休み、その分次の週にがつんと休むことになっている。10日から13日までの四連休、それを励みに今日のお仕事も頑張れる。……頑張るぞと気合を入れるほどの大きな仕事をしているわけではないけれど。
「というか、一週間も営業を休みにして大丈夫なんですか? その前後に土日もありますし」
「その辺はいざとなれば私がなんとかするから大丈夫だよ。みんなはのんびりしておいで」
あぁ、会社の代表には労働基準法の休日が適用されない感じのアレだ……。
「ちなみに、ちゃんと会社カレンダーには書いてあるけど、ゴールデンウィークの代休3日分が翌週に振り替えられるけど、残った1日は祝日のない6月に割り振られるからね。それはそれで楽しみだよね」
「お休みの話ですか?」
お客さんの対応が終わったのか、三咲ちゃんが事務所スペースに戻って来た。
「七瀬ちゃんは何か予定があるかな?」
社長に問われ私はかぶりを振った。……何もないのが一番寂しいのだけれど。
「あ、いえ、なにも。別に……恋人もいないので、ね?」
「え? なな……あ、有働さん何でこっちを見るの?」
「いやぁ、建原係長は何か予定があるのかなと思いまして」
「べ、別に……何もないけど。むしろ、七瀬ちゃんとどこか行きたいなぁって思ってるよ」
おぉ! 三咲ちゃんに恋人がいないことが本人の口から……。それに、休み、私とどこか行きたいって……なんとまぁ。どうしよう、いろいろと計画したいところはあるのだけれど。
「温泉とかいいよね。連休明けだし、きっとどこも空いているはず」
「そうねぇ。綾香ちゃんと藍ちゃんは呼べないだろうけど、二人きりもいいよね」
「はいはい、旅行の計画は休憩とか仕事の後にしてね」
専務が手をパンと叩いて空気を切り替える。
「それは確かにそう。じゃあ、夜にメッセージ送るから」
三咲ちゃんがそう言って仕事に戻った。私も物件登録の作業に戻らないと。
デスクの前に戻って物件情報サイトを開くのだった。
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