10 / 17
ep:10 破綻しているシナリオ
しおりを挟む
どうしたって時間は止まらず進んでいく。
「ケビン・マルティネスの卒業をもって、新年度生徒会長をケイト・エディ・グリーファンに移籍する事を此処に宣言する!」
異議を称える声など無く、この場にいる生徒達の鳴り止まない拍手。
私はゲームの通り、15歳の三回生の時、ケビン前生徒会長より、その立場を受け継いだ。
────────────
「…、リリィ、リリィ?」
「…っ、ぁ、すみません…少しぼーっとしちゃって…」
生徒会長に移籍してから日々多忙を極める合間に作った休憩時間。場所はいつもの東屋、昼食時。
様子のおかしいリリィに声を掛けると、そう返ってきた。
最近のリリィはいつもこうだ。考え事が増え、今のようにぼーっとしてしまう時間が増えた。
本人は隠しているつもりなんだろうけれど、全然隠せてないし、なんなら心配になるくらいだ。
私は彼女が、作ってきてくれたサンドイッチが無くなった籠を閉じ、彼女の手に触れた。
「私には相談出来ないこと?…私じゃ力不足…?」
「ちが、ちがいます!…そんなことないんです、…、あの、」
彼女は口篭ったが、根気強く待っていると、少しずつではあるがぽつぽつと話をしてくれた。
どうやら、私のいない場所で例の令嬢が好き放題しているらしい。あの非常識娘…締めるぞ。笑顔を取り繕うのも疲れるんだからな。
さて、している事といえば主に。リリィへの嫌がらせ、…もあるけれど、一番面倒くさそうなのは、リリィが自分に嫌がらせをしていると吹聴しているという事だ。これは本当に面倒で、誰も見ていない場所だったりだとか、証言者のいない場所で行われていると言っている様だ。
勿論リリィはそんな事していない。けれどリリィをよく知らない人なら、少しくらい信じてしまうかもしれないと考える。
だってリリィは元々悪役令嬢になる筈の子だったから。
まあそれは私が回避したし、リリィがやっていないって言うのもリリィの友人が証言してくれるしね。
リリィの話によれば、やっぱり私の耳に入ってくる情報と同じ事だった。
彼女の目の前でわざと転んでは足を引っ掛け転ばせたと冤罪。ノートや教科書が破かれていたのもリリィがやったと決め付けて話を進めそれも冤罪。
兎に角、自分へ降り掛かった災いは全部リリィのせいと言われる始末。救いようがない。
根拠もなく、リリィが悪役令嬢だと信じての行動だろう。
事あるごとに、「リリーナ様はそんなに私がお嫌いなんですか!?」と騒ぐのだから始末に負えない。
つまり、言われのない罪を着せられ続けているリリィは疲弊し、日に日に体調不良を訴えたりもしているのだ。
怒りしか湧いてこないのでリリィじゃなく私の手が出そうです。我慢だ私。
というかリリィが危害を加えていないのに、何故リリィがやったと言えるのだろうか。ゲームと違ってリリィは彼女を叩いて躾じみた事はしていない。そこで何かおかしいと軌道修正が入ってもいい筈なのに…そんな頭をあの子は持ち合わせていないようだ。
去年はまだ大人しかったのに、何故か今年になってから虚言はエスカレートしていってる。
多分、本来私と出逢うのは私が生徒会長になってからだから、それまで待っていたのかもしれない。まあその前から虚言の気があったと聞くけれど。
頭はあまり良くないのに、狡猾な女だ。
「…大丈夫、リリィが何もしていないって誰もが知ってるから。あまり気にしないで、体調も良くない時は、無理そうなら休んでもいいんだからね?」
「それは嫌です!…だって、お弁当、持って来れませんし…、…ケイト様との時間が減っちゃいます…」
あーー可愛い!!
リリィの言葉に心の中は大歓喜だ。なんなら小躍りしている。
最近録音出来る魔道具があると聞き、早々に入手してしまった。今も制服のポケットの中にあるけれど全部リリィとの会話ばかりだ。
気持ち悪い?何を言いますかこれは証拠です。リリィがやってないと言った証拠、彼女に何をされたのかという証言、最低でも、私と会っている時間は彼女に危害を加えていないという証拠。それを録音してるだけなのです。ほら何も悪い事には使ってないでしょう?
あ、魔道具の件はリリィには秘密にしてあります。
「ねえリリィ、疑問なんだけど…彼女から名乗られはしたのかい?名を呼ぶ事を許可したとか…」
「…?…そう言えば、わたくしあの方の名前を存じておりませんわ。名前を呼ぶ許可も勿論出しておりません…名乗られていないのですから当然です」
はい、不敬罪、と。
魔道具は本当役に立ってくれる。本当は此処に他にも証人が居たらいいんだけど…。
そういえばこの間私にも絡んできたんだよね、彼女。
何かと思えば、リリィが別の男と親しげに話しているという話だった。念の為、と男の特徴を聞くと、藍色の髪をした男だと言っていた。全く…笑いを堪えるのに必死だったよ。
それ、エドワードだよと言えばよかったのだろうけど好き放題に言わせておいた。はしたないとか、リリーナ様は奔放な方なんですとか、これは名誉毀損!訴えられる!と私は上機嫌。
因みにエドワードと居た理由は、エドワードの婚約者でありリリィの友人である、シャーロット・ホワイト侯爵令嬢の誕生日プレゼントの相談を受けていただけである。リリィが楽しそうに話してくれるから覚えていた。ちょっとエドワードに嫉妬した事は内緒にしておこう。
魔道具は発動済み、彼女の音声は録音されているから物的証拠となり、訴えれば有利なのはこちらだろう。
隙を見ては私に接触しようとしてくるものだから、学園に居る時はクロンに護衛として付き添って貰うしかなくなった。勿論、生徒会副会長となったエドワードでも良かったのだけれど…、どうやら婚約者といい感じなのでそっちに専念してもらおうかと思ってね。
生徒会メンバーの婚約者はほぼリリィの友人だったお陰で、逆ハールートは回避出来た。
……と、なると、最後に残るは私。王子ルートか…。ゲームと違って自由に動ける分、接近するのが簡単になってしまった。護衛を付けたとはいえ気は抜けない。護衛すら突破しようとする彼女だからね。
「あれ、あれ、おかしいな…?」
それは完全に殺気だった。しかも覚えのある…あの日学食で感じたそれと同じ殺気。
「ケイトさまぁ、どーしてその女と一緒なんですか?」
にっこりと笑う顔の中にある狂気、殺気。
私は咄嗟にリリィを背に隠せば、私の肩を掴むリリィの手が震えている。本能的に危険だと体が察知したのだろう。
「ここは私とケイトさまの場所のはずでしょ?なのになんでリリーナ様がいるんです?」
怒気を含んだ彼女の声が、東屋の中で反響した様に感じた。
「ケビン・マルティネスの卒業をもって、新年度生徒会長をケイト・エディ・グリーファンに移籍する事を此処に宣言する!」
異議を称える声など無く、この場にいる生徒達の鳴り止まない拍手。
私はゲームの通り、15歳の三回生の時、ケビン前生徒会長より、その立場を受け継いだ。
────────────
「…、リリィ、リリィ?」
「…っ、ぁ、すみません…少しぼーっとしちゃって…」
生徒会長に移籍してから日々多忙を極める合間に作った休憩時間。場所はいつもの東屋、昼食時。
様子のおかしいリリィに声を掛けると、そう返ってきた。
最近のリリィはいつもこうだ。考え事が増え、今のようにぼーっとしてしまう時間が増えた。
本人は隠しているつもりなんだろうけれど、全然隠せてないし、なんなら心配になるくらいだ。
私は彼女が、作ってきてくれたサンドイッチが無くなった籠を閉じ、彼女の手に触れた。
「私には相談出来ないこと?…私じゃ力不足…?」
「ちが、ちがいます!…そんなことないんです、…、あの、」
彼女は口篭ったが、根気強く待っていると、少しずつではあるがぽつぽつと話をしてくれた。
どうやら、私のいない場所で例の令嬢が好き放題しているらしい。あの非常識娘…締めるぞ。笑顔を取り繕うのも疲れるんだからな。
さて、している事といえば主に。リリィへの嫌がらせ、…もあるけれど、一番面倒くさそうなのは、リリィが自分に嫌がらせをしていると吹聴しているという事だ。これは本当に面倒で、誰も見ていない場所だったりだとか、証言者のいない場所で行われていると言っている様だ。
勿論リリィはそんな事していない。けれどリリィをよく知らない人なら、少しくらい信じてしまうかもしれないと考える。
だってリリィは元々悪役令嬢になる筈の子だったから。
まあそれは私が回避したし、リリィがやっていないって言うのもリリィの友人が証言してくれるしね。
リリィの話によれば、やっぱり私の耳に入ってくる情報と同じ事だった。
彼女の目の前でわざと転んでは足を引っ掛け転ばせたと冤罪。ノートや教科書が破かれていたのもリリィがやったと決め付けて話を進めそれも冤罪。
兎に角、自分へ降り掛かった災いは全部リリィのせいと言われる始末。救いようがない。
根拠もなく、リリィが悪役令嬢だと信じての行動だろう。
事あるごとに、「リリーナ様はそんなに私がお嫌いなんですか!?」と騒ぐのだから始末に負えない。
つまり、言われのない罪を着せられ続けているリリィは疲弊し、日に日に体調不良を訴えたりもしているのだ。
怒りしか湧いてこないのでリリィじゃなく私の手が出そうです。我慢だ私。
というかリリィが危害を加えていないのに、何故リリィがやったと言えるのだろうか。ゲームと違ってリリィは彼女を叩いて躾じみた事はしていない。そこで何かおかしいと軌道修正が入ってもいい筈なのに…そんな頭をあの子は持ち合わせていないようだ。
去年はまだ大人しかったのに、何故か今年になってから虚言はエスカレートしていってる。
多分、本来私と出逢うのは私が生徒会長になってからだから、それまで待っていたのかもしれない。まあその前から虚言の気があったと聞くけれど。
頭はあまり良くないのに、狡猾な女だ。
「…大丈夫、リリィが何もしていないって誰もが知ってるから。あまり気にしないで、体調も良くない時は、無理そうなら休んでもいいんだからね?」
「それは嫌です!…だって、お弁当、持って来れませんし…、…ケイト様との時間が減っちゃいます…」
あーー可愛い!!
リリィの言葉に心の中は大歓喜だ。なんなら小躍りしている。
最近録音出来る魔道具があると聞き、早々に入手してしまった。今も制服のポケットの中にあるけれど全部リリィとの会話ばかりだ。
気持ち悪い?何を言いますかこれは証拠です。リリィがやってないと言った証拠、彼女に何をされたのかという証言、最低でも、私と会っている時間は彼女に危害を加えていないという証拠。それを録音してるだけなのです。ほら何も悪い事には使ってないでしょう?
あ、魔道具の件はリリィには秘密にしてあります。
「ねえリリィ、疑問なんだけど…彼女から名乗られはしたのかい?名を呼ぶ事を許可したとか…」
「…?…そう言えば、わたくしあの方の名前を存じておりませんわ。名前を呼ぶ許可も勿論出しておりません…名乗られていないのですから当然です」
はい、不敬罪、と。
魔道具は本当役に立ってくれる。本当は此処に他にも証人が居たらいいんだけど…。
そういえばこの間私にも絡んできたんだよね、彼女。
何かと思えば、リリィが別の男と親しげに話しているという話だった。念の為、と男の特徴を聞くと、藍色の髪をした男だと言っていた。全く…笑いを堪えるのに必死だったよ。
それ、エドワードだよと言えばよかったのだろうけど好き放題に言わせておいた。はしたないとか、リリーナ様は奔放な方なんですとか、これは名誉毀損!訴えられる!と私は上機嫌。
因みにエドワードと居た理由は、エドワードの婚約者でありリリィの友人である、シャーロット・ホワイト侯爵令嬢の誕生日プレゼントの相談を受けていただけである。リリィが楽しそうに話してくれるから覚えていた。ちょっとエドワードに嫉妬した事は内緒にしておこう。
魔道具は発動済み、彼女の音声は録音されているから物的証拠となり、訴えれば有利なのはこちらだろう。
隙を見ては私に接触しようとしてくるものだから、学園に居る時はクロンに護衛として付き添って貰うしかなくなった。勿論、生徒会副会長となったエドワードでも良かったのだけれど…、どうやら婚約者といい感じなのでそっちに専念してもらおうかと思ってね。
生徒会メンバーの婚約者はほぼリリィの友人だったお陰で、逆ハールートは回避出来た。
……と、なると、最後に残るは私。王子ルートか…。ゲームと違って自由に動ける分、接近するのが簡単になってしまった。護衛を付けたとはいえ気は抜けない。護衛すら突破しようとする彼女だからね。
「あれ、あれ、おかしいな…?」
それは完全に殺気だった。しかも覚えのある…あの日学食で感じたそれと同じ殺気。
「ケイトさまぁ、どーしてその女と一緒なんですか?」
にっこりと笑う顔の中にある狂気、殺気。
私は咄嗟にリリィを背に隠せば、私の肩を掴むリリィの手が震えている。本能的に危険だと体が察知したのだろう。
「ここは私とケイトさまの場所のはずでしょ?なのになんでリリーナ様がいるんです?」
怒気を含んだ彼女の声が、東屋の中で反響した様に感じた。
10
あなたにおすすめの小説
神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが
侑子
恋愛
十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。
しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。
「どうして!? 一体どうしてなの~!?」
いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた
たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。
女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。
そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。
夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。
だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……?
※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません……
※他サイト様にも掲載始めました!
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?
藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。
目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。
前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。
前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない!
そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる