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第43話 謙遜する事ないよ
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「光輝君、もっと食べて良いんだよ」
「ありがとうございます。でも、そろそろお腹いっぱいで……」
「そうか……」
星恵ちゃんのお父さんはそう返事をして、チラッと星恵ちゃんのお母さんの方に視線を向ける。
星恵ちゃんのお母さんはそれに気づいた様で、「ちょっと私、トイレに行ってくるわ」と立ち上がった。
──星恵ちゃんのお母さんが離れて、少しすると星恵ちゃんの携帯が鳴る。星恵ちゃんはスラックスから携帯を取り出すと「はい」と電話に出た。
「──あ、うん──うん」と返事をすると直ぐに電話を切り立ち上がる。
「ごめん、ちょっと席を外すね」
「あ。うん、分かった」
──俺と星恵ちゃんのお父さんは取り残されてしまう。えっと……ちょっと気まずいかも。
「──光輝君は確か、4年制の大学に通っているんだよね?」
「あ、はい」
「何か夢でも?」
「えっと……」
それを聞かれると困ってしまう。
「──いいえ。恥ずかしい話ですが、夢や目標なんてなく、とにかく大学に行って勉強して、良い所に就職したいと思っただけです」
「はっはっはっは」と星恵ちゃんのお父さんは笑い、「恥ずかしい事なんて何もないよ。俺だって大学の時はそんなもんだった」
「へぇ……そうだったんですね」
「うん。焦らなくても決めなきゃいけない時は、嫌でも来るんだから、それまで大学生活を楽しむと良いよ」
「ありがとうございます!」
星恵ちゃんのお父さんはビールの入ったジョッキを持ち上げ、グイ……グイ……っと飲んでいく。ジョッキをテーブルに置くと「──ちょっと気が早い話だが、聞いておきたい事があるんだ」
「はい、何でしょう?」
「結婚の方はどう考えてる?」
「え、結婚ですか!? えー……ぼんやり何ですが、まずは学生の時は勉強に集中したいと思ってます」
「うむ」
星恵ちゃんのお父さんは腕を組み、大きく頷く。
「それで……就職して、お金を貯めて……結婚費用+αのお金が貯める事が出来たら、踏み出そうかと……」
「なるほどねぇ……いや、考えがあって安心した」
「あ、ありがとうございます」
星恵ちゃんのお父さんはジョッキを持ち上げ、ビールを飲み干す。ジョッキをテーブルに置くと「次に帰ってくるのは、君たちの結婚式ぐらいかな」
「え、そんなに長い間、帰って来れないんですか?」
「うん、ちょっとバタバタしていてな」
「大変なんですね……」
「まぁな」
──星恵ちゃんのお父さんは何故か俺をジッと見つめる。
「妻から君の事を色々聞いた上で、今日の星恵と光輝君のやり取りを見させて貰って思ったよ。地味で大人しかった星恵が、あんなにも垢抜けて明るく可愛くなって……きっと君のおかげなんだろうなって」
「いえ……そんな……」
星恵ちゃんのお父さんは黙って首を横に振る。
「謙遜する事ないよ──1人っ子で、側にずっといられないで、寂しい思いをいっぱいさせてきた俺が、言うセリフではないと思うけど……娘の事、宜しく頼みます」
星恵ちゃんのお父さんは、そう言って深々と頭を下げた。俺も頭を下げ──顔を上げる。そして星恵さんのお父さんの顔を見ながら「──はい、任せてください!」
俺はどちらかと言うと、臆病で自信を持っている様な性格ではない。だから正直、顔を上げるまでハッキリ言うか迷った。
だけどここでハッキリ言わないと、いつまでも星恵ちゃんのお父さんが心配してしまいそうだったから、任せて下さいとまで言っていた。
星恵ちゃんのお父さんは何故か、クスッと笑う。
「考えたらこの話は、回転寿司屋でするような事じゃないな」
「──確かにそうですね」
俺達は顔を見合わせ「はっはっはっは」と笑い合った。そこに星恵ちゃんとお母さんが帰ってくる。
「あら、何だか楽しそうね。どうしたの?」と星恵ちゃんのお母さんは、お父さんに聞きながら横に座る。
「何でもないよな?」と、星恵ちゃんのお父さんが俺に聞いてきたので「はい、何でもないです」と答えた。
星恵ちゃんが俺の横に座り「え~、何だか気になる」と言ったが、「世間話だよ」と誤魔化した。
「──じゃあ……みんな、お腹一杯食べたかな?」
「うん」
「はい」
「そうか──星恵」と、星恵ちゃんのお父さんは名前を呼んで、ズボンの中に手を突っ込むと財布を取り出す。お札を何枚か取り出すと、「会計は済ませておくから、二人だけで遊んでおいで」
「え、良いの?」
「あぁ、俺はお母さんと楽しむから大丈夫だ」
星恵ちゃんのお父さんはそう言って、お母さんの肩を抱く。星恵ちゃんのお母さんは、照れ笑いを浮かべながらも、ジッとしていた。
星恵ちゃんはお父さんからお金を受け取ると「ちょっと……光輝君の居るまで、そういう事やめてよねぇ。恥ずかしい」
「はっはっはっはっは」
「ありがとう」
「──うん」
「じゃあ行こうか、光輝君」
「うん」と俺は返事をすると、星恵ちゃんのお父さん達に向かって頭を下げながら「ご馳走様でした」
「はい。また今度、一緒に食べましょうね」
「はい!」
「ご馳走様~」と星恵ちゃんが立ちあがると「あ、星恵」と、星恵ちゃんのお父さんが声を掛ける。
「なに?」
「今日は楽しかった。お前の占いは凄いな。いつも通り素敵な一日になったよ」
「でしょ!?」
星恵ちゃんはそう返事をして、嬉しそうに微笑んでいた。
「ありがとうございます。でも、そろそろお腹いっぱいで……」
「そうか……」
星恵ちゃんのお父さんはそう返事をして、チラッと星恵ちゃんのお母さんの方に視線を向ける。
星恵ちゃんのお母さんはそれに気づいた様で、「ちょっと私、トイレに行ってくるわ」と立ち上がった。
──星恵ちゃんのお母さんが離れて、少しすると星恵ちゃんの携帯が鳴る。星恵ちゃんはスラックスから携帯を取り出すと「はい」と電話に出た。
「──あ、うん──うん」と返事をすると直ぐに電話を切り立ち上がる。
「ごめん、ちょっと席を外すね」
「あ。うん、分かった」
──俺と星恵ちゃんのお父さんは取り残されてしまう。えっと……ちょっと気まずいかも。
「──光輝君は確か、4年制の大学に通っているんだよね?」
「あ、はい」
「何か夢でも?」
「えっと……」
それを聞かれると困ってしまう。
「──いいえ。恥ずかしい話ですが、夢や目標なんてなく、とにかく大学に行って勉強して、良い所に就職したいと思っただけです」
「はっはっはっは」と星恵ちゃんのお父さんは笑い、「恥ずかしい事なんて何もないよ。俺だって大学の時はそんなもんだった」
「へぇ……そうだったんですね」
「うん。焦らなくても決めなきゃいけない時は、嫌でも来るんだから、それまで大学生活を楽しむと良いよ」
「ありがとうございます!」
星恵ちゃんのお父さんはビールの入ったジョッキを持ち上げ、グイ……グイ……っと飲んでいく。ジョッキをテーブルに置くと「──ちょっと気が早い話だが、聞いておきたい事があるんだ」
「はい、何でしょう?」
「結婚の方はどう考えてる?」
「え、結婚ですか!? えー……ぼんやり何ですが、まずは学生の時は勉強に集中したいと思ってます」
「うむ」
星恵ちゃんのお父さんは腕を組み、大きく頷く。
「それで……就職して、お金を貯めて……結婚費用+αのお金が貯める事が出来たら、踏み出そうかと……」
「なるほどねぇ……いや、考えがあって安心した」
「あ、ありがとうございます」
星恵ちゃんのお父さんはジョッキを持ち上げ、ビールを飲み干す。ジョッキをテーブルに置くと「次に帰ってくるのは、君たちの結婚式ぐらいかな」
「え、そんなに長い間、帰って来れないんですか?」
「うん、ちょっとバタバタしていてな」
「大変なんですね……」
「まぁな」
──星恵ちゃんのお父さんは何故か俺をジッと見つめる。
「妻から君の事を色々聞いた上で、今日の星恵と光輝君のやり取りを見させて貰って思ったよ。地味で大人しかった星恵が、あんなにも垢抜けて明るく可愛くなって……きっと君のおかげなんだろうなって」
「いえ……そんな……」
星恵ちゃんのお父さんは黙って首を横に振る。
「謙遜する事ないよ──1人っ子で、側にずっといられないで、寂しい思いをいっぱいさせてきた俺が、言うセリフではないと思うけど……娘の事、宜しく頼みます」
星恵ちゃんのお父さんは、そう言って深々と頭を下げた。俺も頭を下げ──顔を上げる。そして星恵さんのお父さんの顔を見ながら「──はい、任せてください!」
俺はどちらかと言うと、臆病で自信を持っている様な性格ではない。だから正直、顔を上げるまでハッキリ言うか迷った。
だけどここでハッキリ言わないと、いつまでも星恵ちゃんのお父さんが心配してしまいそうだったから、任せて下さいとまで言っていた。
星恵ちゃんのお父さんは何故か、クスッと笑う。
「考えたらこの話は、回転寿司屋でするような事じゃないな」
「──確かにそうですね」
俺達は顔を見合わせ「はっはっはっは」と笑い合った。そこに星恵ちゃんとお母さんが帰ってくる。
「あら、何だか楽しそうね。どうしたの?」と星恵ちゃんのお母さんは、お父さんに聞きながら横に座る。
「何でもないよな?」と、星恵ちゃんのお父さんが俺に聞いてきたので「はい、何でもないです」と答えた。
星恵ちゃんが俺の横に座り「え~、何だか気になる」と言ったが、「世間話だよ」と誤魔化した。
「──じゃあ……みんな、お腹一杯食べたかな?」
「うん」
「はい」
「そうか──星恵」と、星恵ちゃんのお父さんは名前を呼んで、ズボンの中に手を突っ込むと財布を取り出す。お札を何枚か取り出すと、「会計は済ませておくから、二人だけで遊んでおいで」
「え、良いの?」
「あぁ、俺はお母さんと楽しむから大丈夫だ」
星恵ちゃんのお父さんはそう言って、お母さんの肩を抱く。星恵ちゃんのお母さんは、照れ笑いを浮かべながらも、ジッとしていた。
星恵ちゃんはお父さんからお金を受け取ると「ちょっと……光輝君の居るまで、そういう事やめてよねぇ。恥ずかしい」
「はっはっはっはっは」
「ありがとう」
「──うん」
「じゃあ行こうか、光輝君」
「うん」と俺は返事をすると、星恵ちゃんのお父さん達に向かって頭を下げながら「ご馳走様でした」
「はい。また今度、一緒に食べましょうね」
「はい!」
「ご馳走様~」と星恵ちゃんが立ちあがると「あ、星恵」と、星恵ちゃんのお父さんが声を掛ける。
「なに?」
「今日は楽しかった。お前の占いは凄いな。いつも通り素敵な一日になったよ」
「でしょ!?」
星恵ちゃんはそう返事をして、嬉しそうに微笑んでいた。
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