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番外編【恒例行事になりそうです】6最悪の運勢(当間視点)
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「当間、お前、おみくじどうだった?オレは大吉だったぞ!」
「俺は……。凶だった」
「ドンマイ。なんて書いてあったんだよ?」
今年の初詣で引いたおみくじは「凶」だった。今までおみくじで凶など引いたことがなかったので、一瞬、言葉に詰まってしまった。友達と一緒に来ていたのだが、彼は大吉だったらしい。羨ましい限りである。
「エエト、恋愛運、恋人離れたし。仕事運、真摯に心がければ吉。金運、甘い言葉に注意すべし。全体運、総じて悪し」
「うわあ、最悪じゃん。シッカリ結び所に結んでおけよ」
「そうするよ」
元旦早々、運がない。
(恋人離れたし、ということは梨々花ちゃんと別れるってことか。いやいや、それはないだろ。俺達はラブラブ絶頂期だぞ)
凶を引いてしまったせいで、嫌な想像が頭に浮かんでしまう。そんなわけはない。そろそろ付き合い始めて一周年となる。何か、お祝い事をして、今後も末永く付き合っていけるようにしよう。
そう、心に決めたが、それが叶うことはなかった。
「当間君、その、大事なお話があるの」
新年が始まって、ようやく慌ただしさが消えた一月半ば、退勤後に梨々花ちゃんに深刻な顔で言われた言葉。このタイミングでの大事な話は、俺の中では一つしかなかった。
(一周年記念の事かな)
しかし、それにしては梨々花ちゃんの様子がおかしい。彼女の顔には楽しいや嬉しいと言った感情が見受けられない。大事な話をするために緊張しているようにさえ見えた。
「ちょっとごめん。今日はこの後、予定があるから、また今度でもいいかな」
俺はいったん、梨々花ちゃんの大事な話を聞くことを延期することにした。本当は梨々花ちゃんと一緒に夕食を取ろうと考えていたが、そちらもまた延期だ。
「そう、ですか。ワカリマシタ。でも、なるべく早めに二人きりでお話がしたいです」
「わかった。じゃあ、今日はこれで帰るね」
周りに人がいないことを確認し、梨々花ちゃんの顔に手を添えて顔を近づけようとしたら。
「ちょ、ちょっと、そんな気分ではないので。ほら、いつ人が来るのかわからないので」
お別れのキスでもしようかと思ったら、梨々花ちゃんにやんわりと拒否されてしまった。いつもなら、他人が気にするふりをしながらも、拒まれることはなかった。なにか、これはやばい事態が起こっている。
「凶……」
「きょう?」
「いや、こっちの話だよ。そうだね、じゃあ、また明日会社で」
「はい、お疲れ様です。当間さん」
梨々花ちゃんは俺のことを当間君と呼ぶ。それなのに、別れ際、俺のことをさん付けで呼んだ。
これは家に帰ったら、彼女について真剣に考えなくてはならない。今後、末永く付き合っていくために、彼女の大事な話が何か予想して、そのための対策をする。それが今日の俺に課せられた使命だ。
「河合さん、ちょっとこの後、少し二人きりで話ができたりしないかな?時間は取らせないから」
そして、家で考えた結果、第三者に相談するという結論に至った。
次の日の退勤後、俺は河合さんに声をかけた。1月に入り、梨々花ちゃんが河合さんと話しているところをよく見かけるようになったからだ。彼女なら、梨々花ちゃんの心境の変化の理由がわかるかもしれない。
しかし、河合さんは警戒心が強いらしく、俺の話を聞こうとしないので、困り果てていたところに当の本人の梨々花ちゃんがやってきた。
まさか、梨々花ちゃんが河合さんと親しくしていた理由が、俺との別れ話の相談だったとは思わなかった。彼女達は俺の幼馴染の紗々ちゃんについて言及してきた。俺が紗々ちゃんを仕事中、見つめていることもばれていた。俺は別に紗々ちゃんのことが好きなわけではない。梨々花ちゃん一筋だ。どうしてわかってくれないのか。
「私も当間君以外に好きな人ができたから、お互いに新たな恋の為に、私たち、別れま」
「認めない!」
俺は当然、梨々花ちゃんと別れるつもりはなかった。そもそも、梨々花ちゃんに好きな人がいたなど初耳だ。いったい、どんな男なのだろうか。
そんなわけで、梨々花ちゃんの別れたいという言葉を途中で遮り、俺はどうにかして彼女と別れないように穏便に事を運びたかった。
それなのになぜか、河合さんが彼女の知り合いを呼び、俺達三人は近くの居酒屋に移動となり、そこに現れたのは、男装した女性だった。
そこで、再び梨々花ちゃんと別れ話になり、俺は結局、梨々花ちゃんと別れることになるのだった。女性三人と食事という、男だったら、だれもが羨むシチュエーションだったが、俺は生きた心地がしない最悪な気分だった。
「俺は……。凶だった」
「ドンマイ。なんて書いてあったんだよ?」
今年の初詣で引いたおみくじは「凶」だった。今までおみくじで凶など引いたことがなかったので、一瞬、言葉に詰まってしまった。友達と一緒に来ていたのだが、彼は大吉だったらしい。羨ましい限りである。
「エエト、恋愛運、恋人離れたし。仕事運、真摯に心がければ吉。金運、甘い言葉に注意すべし。全体運、総じて悪し」
「うわあ、最悪じゃん。シッカリ結び所に結んでおけよ」
「そうするよ」
元旦早々、運がない。
(恋人離れたし、ということは梨々花ちゃんと別れるってことか。いやいや、それはないだろ。俺達はラブラブ絶頂期だぞ)
凶を引いてしまったせいで、嫌な想像が頭に浮かんでしまう。そんなわけはない。そろそろ付き合い始めて一周年となる。何か、お祝い事をして、今後も末永く付き合っていけるようにしよう。
そう、心に決めたが、それが叶うことはなかった。
「当間君、その、大事なお話があるの」
新年が始まって、ようやく慌ただしさが消えた一月半ば、退勤後に梨々花ちゃんに深刻な顔で言われた言葉。このタイミングでの大事な話は、俺の中では一つしかなかった。
(一周年記念の事かな)
しかし、それにしては梨々花ちゃんの様子がおかしい。彼女の顔には楽しいや嬉しいと言った感情が見受けられない。大事な話をするために緊張しているようにさえ見えた。
「ちょっとごめん。今日はこの後、予定があるから、また今度でもいいかな」
俺はいったん、梨々花ちゃんの大事な話を聞くことを延期することにした。本当は梨々花ちゃんと一緒に夕食を取ろうと考えていたが、そちらもまた延期だ。
「そう、ですか。ワカリマシタ。でも、なるべく早めに二人きりでお話がしたいです」
「わかった。じゃあ、今日はこれで帰るね」
周りに人がいないことを確認し、梨々花ちゃんの顔に手を添えて顔を近づけようとしたら。
「ちょ、ちょっと、そんな気分ではないので。ほら、いつ人が来るのかわからないので」
お別れのキスでもしようかと思ったら、梨々花ちゃんにやんわりと拒否されてしまった。いつもなら、他人が気にするふりをしながらも、拒まれることはなかった。なにか、これはやばい事態が起こっている。
「凶……」
「きょう?」
「いや、こっちの話だよ。そうだね、じゃあ、また明日会社で」
「はい、お疲れ様です。当間さん」
梨々花ちゃんは俺のことを当間君と呼ぶ。それなのに、別れ際、俺のことをさん付けで呼んだ。
これは家に帰ったら、彼女について真剣に考えなくてはならない。今後、末永く付き合っていくために、彼女の大事な話が何か予想して、そのための対策をする。それが今日の俺に課せられた使命だ。
「河合さん、ちょっとこの後、少し二人きりで話ができたりしないかな?時間は取らせないから」
そして、家で考えた結果、第三者に相談するという結論に至った。
次の日の退勤後、俺は河合さんに声をかけた。1月に入り、梨々花ちゃんが河合さんと話しているところをよく見かけるようになったからだ。彼女なら、梨々花ちゃんの心境の変化の理由がわかるかもしれない。
しかし、河合さんは警戒心が強いらしく、俺の話を聞こうとしないので、困り果てていたところに当の本人の梨々花ちゃんがやってきた。
まさか、梨々花ちゃんが河合さんと親しくしていた理由が、俺との別れ話の相談だったとは思わなかった。彼女達は俺の幼馴染の紗々ちゃんについて言及してきた。俺が紗々ちゃんを仕事中、見つめていることもばれていた。俺は別に紗々ちゃんのことが好きなわけではない。梨々花ちゃん一筋だ。どうしてわかってくれないのか。
「私も当間君以外に好きな人ができたから、お互いに新たな恋の為に、私たち、別れま」
「認めない!」
俺は当然、梨々花ちゃんと別れるつもりはなかった。そもそも、梨々花ちゃんに好きな人がいたなど初耳だ。いったい、どんな男なのだろうか。
そんなわけで、梨々花ちゃんの別れたいという言葉を途中で遮り、俺はどうにかして彼女と別れないように穏便に事を運びたかった。
それなのになぜか、河合さんが彼女の知り合いを呼び、俺達三人は近くの居酒屋に移動となり、そこに現れたのは、男装した女性だった。
そこで、再び梨々花ちゃんと別れ話になり、俺は結局、梨々花ちゃんと別れることになるのだった。女性三人と食事という、男だったら、だれもが羨むシチュエーションだったが、俺は生きた心地がしない最悪な気分だった。
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