浮気されたので泣きながら家を出たら、隣の屋敷の公爵に拾われました

 ――雨の夜だった。
 頬に冷たい雨が当たるよりも早く、胸の奥の方が痛かった。
 浮気相手の香水の匂いがまだ鼻について離れない。
 信じていたのに。
 あの人は、私を選ばなかった。

「……馬鹿みたい」
 喉の奥で漏れた声は、雨音にかき消された。
 手に握りしめているのは、婚約指輪。淡い金の輪は、私の指よりも冷たかった。
 投げ捨てようとしても、指が震えてできなかった。
24h.ポイント 71pt
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