【○○の話】~Sound only~

紹介の話(※要読.音以外も表記)



「シオン、この国もう出るの?」

朝日が綺麗に差し込む窓の下枠に、小さな黒猫が眠そうに座っている。黒猫は青いスカーフと同色の瞳が特徴的だがそれ以外に変わった点は無い。

「そうだね。ここでやりたいことは…ぅーん……全部、出来たからね」

その窓から差し込む光に向けて伸びをする小さな体躯が応える。中性的な童顔に朝日を浴びて、肩にかかる程度の綺麗な黒髪と青い瞳が煌めく。

見れば全くの可憐な女の子といった顔つきだが、その服装は黒ベースの迷彩服に黒のブーツ、袖をまくった手には迷彩服より少し明るめのタクティカルグローブ。何より目を引く、左のヒップホルスターに着けられた小さな拳銃…それらによって、少女の雰囲気は完全に失われている。

「ほんとに?昔からシオンは抜けが多いから心配だなぁ…出る前に確認しておこうよ」

黒猫は小さく欠伸をする。そして、スクっと立ち上がった。

「えぇ…大丈夫だって、ティア。この前の国はちゃんと全部周れたじゃないか」

あからさまに嫌そうな顔をするシオン。それに対して、黒猫のティアはニヤリと歯を見せる。

「それはボクが確認したからじゃないかな」

「そ、そうだったっけ…」

「ちなみに二箇所忘れてたよ。夜の桜噴水と朝霧の滝」

淡々と嘯くティア。

「…」

シオンは目線をそらした。その目線の先に、ティアは先回りする。

「もう記憶喪失レベルだよそれ。五日前の事じゃないか」

シオンはふん、とそっぽを向くと、両手を組み合わせた。

「人間は忘れる生き物さ」

「ボクは猫だから分からない」

「屁理屈ばっかり」

「忘れん坊が何か言ってるよ」

「悪趣味で意地悪な猫!」

「寝るのが趣味の無趣味な人間!」

「それは関係無い!」

「ちょっとした紹介さ」

ティアは窓の反対側へにっこり。

「何言ってるんだい、ティア」

シオンは怪訝な目で睨みつける。

「なんでもないよ。それより、確認しておこう確認!射影機出して!」

ティアは部屋の脇に置かれた黒のバッグを叩く。

「わ、分かったよ…」

「…まずは北城壁の写真!」


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人と猫が旅するお話。基本会話文だけで構成。
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