17 / 32
17話〜マユキと白カラス
しおりを挟む「おはよう!」食堂に来たペン汰は、みんなに挨拶する。
「昨日は、ペン汰もソータも疲れただろうから、今日の訓練は休み」とマユキが伝える。
「他のみんなは、いつも通りな!」
「えー!」「僕たちも休みがいいー」と子供達
「だ、め、だ!毎日の積み重ねが大事なんだぞ!」とマユキが子供達を諭す。
「はーい」と食事を終えた子供達は訓練に行く。
「マユキ先生!俺も訓練やっていい?」とソータ
「いや、お前は疲れてるだろ」とマユキ
「いやぁ、俺は半分寝てたようなもんだからなぁ」とソータは笑う
「まぁ、大丈夫なら行ってこい」とマユキは笑う。
「僕も…」とペン汰が言いかけると
「ペン汰、お前には少し話がある」とマユキが部屋にペン汰を連れていく。
マユキ部屋に入ると2人はテーブルにつく。
「昨日夜話は聞いたが、またあの感覚が現れたようだな」とマユキ
「はい、危ないと思って、どうにかしたいって思ったら、水のようなものに包まれて…時間が止まったような感覚になって…相手の考えてることが頭に流れてきて…」と困惑したような顔のペン汰。
しばらく考え込んだ顔をしていたマユキが口を開いた。
「昨日…私が蒼将だったという話は、したよな」とマユキ
「はい」とペン汰
「国のトップしか入れない禁書庫が、あるんだが…そこに古びた物語風の書物がある。読める部分の方が少ないぐらいの古い本なんだが…」マユキは物語を語り始める
「天鳥という純白の羽毛を持つ鳥が天から舞い降りてきて、大陸で起こった災害や天災の時に困窮した者たちを救済するという物語だ。
初めは、鳥を救世主のように慕っていた彼らだが、生活が豊かになると、その存在を邪魔に思うもの達が出てきて、その鳥達を攻撃し始めた…」とここまで話すとマユキは話を止める。
「えっ、ちょっと待って!それ…おじいちゃんが毎晩寝る時に話してくれた物語」とペン汰は驚く。
「やはりそうか…」とマユキが考え込む
「ペン帝国にある本は、ここで話が途切れているんだ…。その話を知っているって事は、おそらく白カラスは、天鳥の子孫かもしれん」
「えっ?おじいちゃんが?」ペン汰は驚いている。
「いや、これは私の憶測だ」
「私が初めて白カラスにあったのが、戦さで負けて逃げたところを白カラスに助けてもらった時。
あの時はまだ若くて、白カラスも集落で過ごしていた。
いつのまにか他の者達はいなくなって、彼1人になってしまっていたんだ」とマユキは悲しそうな顔をしている。
「そうなんだ…おじいちゃん…」とペン汰も泣きそうな顔をしている。
「その頃は、天鳥の話もしらなくてな、その集落が天鳥の子孫かもなんて思いもしなかったが。なんの因果か、お前を通してまた繋がった」とマユキ
「それでだ、天鳥は、何やら不思議な力を使っていたらしいんだ。その力がなんなのか想像もつかなかったし、白カラスも何も教えてはくれなかった。
しかし、お前のその他人と思考を共有出来るという力…もしかしたら天鳥の力の一端なのかもしれない」
とマユキがペン汰を見る。
「私が蒼気について教えた時に、戦気を使う上で大事な事を教えただろう?」マユキはペン汰に問う。
「はい、その国の文化を勉強し、力を自覚する事です」とペン汰
「うむ、お前が白カラスと過ごした時間の中で、彼に教えてもらった事がたくさんあるだろう?
彼と訓練して教えられた事があるだろう?」
マユキはペン汰に問う。
「はい…おじいちゃんと過ごした日々は、全て僕の中にあります」とペン汰は答える。穏やかでいて、威厳のあるような顔つきになっている。
「ふふっ、彼に似てきたな。ペン汰」とマユキが笑う。
「今、君は白カラスとの日々が勉強であり訓練でもあった事を自覚した。
私には、その内容は分からないが、君なりにその力を意識的に使えるよう努力してしてみてはどうだ?」とマユキはペン汰に笑いかける。
「はい、今まで全然自覚できなかったけど、おじいちゃんの事を思い出しながら訓練してみたいと思います。」とペン汰。
「そうか、じゃあ白カラスと過ごした場所で1週間修行してくるといい。何か掴めるかもしれん」とマユキが提案する。
「そうですね!またあの家に行って修行します」と覚悟を決めた顔のペン汰。
「うむ、スカウトの手紙が届いたら、私が迎えに行こう」マユキはペン汰の肩を叩いた。
――ペン汰は、おじいちゃんと暮らした家に着いた。
「懐かしいなぁ…寂しいなぁ……おじいちゃん」
ペン汰は、気付けば涙を流していた。
ブルブルブルブル。
ペン汰は顔を横に振る。
「ちがう!ちがう!何泣いてるんだ」と涙を拭う。
「おじいちゃんとの暮らしを思い出すんだ」とペン汰は、一日昔を思い出しながら家で過ごす。
ペン汰は、家の中が小さな子供が暮らしやすいよう工夫してあることに気づく。
「そっか…テーブルの高さとか室内の角を丸くしてるとか昔は気づかなかったけど、僕の事よくみてくれてたんだな…」とペン汰は家の中を見渡す。
次の日、白カラスと訓練した方法で訓練してみる。
「ここでよくおじいちゃんと向かい合って座ってたなぁ。水を思い浮かべろって…なんで水なんだろうなぁ。意味が分からなかったよなぁ」
ペン汰は半日、目を閉じて座っていた。
「うん、全然わからない」とペン汰は川に移動する。
「ここなら水あるからね…でもどうしよう…思い浮かべなくても水あるし。入ってみるか」
とりあえずペン汰は、川の中に入ってみる事にした。
「静かだなぁ。透き通ってて、心が落ち着くなぁ」
「でも、何もわかんないや」
ペン汰は、ただただ癒されて家に帰った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる