魔法が使えると王子サマに溺愛されるそうです〜伴侶編〜

ゆずは

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自由の国『リーデンベルグ』

6 同行者選定会議始めます!

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 疲れすぎた俺は、次に目覚めたのは昼過ぎという大寝坊をした。
 誰も起こしてくれなかったのは、クリスが起こさないよう言づけていたから。

「あき、ねんね」
「もう起きるよ、マシロ」
「んーん、ねんね。ういす、いてた」

 にこにこしたマシロは俺のに寝転んで、マシロ布団になって俺が起きるのを阻止してきた。
 これは……起き上がれない。可愛いなぁ…マシロ。

「でもマシロ。俺おなかすいた」
「う?」
「ごはん食べたいなぁ」
「あう」
「起きないとごはん食べれないよね?」
「あうう」

 うううと困ったマシロは、しぶしぶ…って顔で俺の上からどけてくれた。
 じゃあベッドから出てメリダさん呼んで……って思いながら起き上がったら、マシロは両腕で大きな『×』を作った。

「ましろ、いくの!」
「え」
「あき、ここ!」

 とにかくベッドから出るなということか。
 マシロ、手ごわいぞ。

「でもマシロ」
「め!」

 精一杯の怒り顔(と思われる可愛いほっぺ膨らまし)を作ったマシロは、うんしょうんしょと掛け声をだしながらベッドから降りて、数歩進んでは俺を確認し、扉まで五回ほど振り向きを繰り返してから部屋を出ていった。…扉の取っ手に手が届くようになったんだ??
 ベッドから降りても誰にも咎められないけど、マシロが戻ってきたときに俺が椅子に座ってたり着替えてたら怒られるかな?
 んー、どうしよっかな。
 正直もう寝てる必要はないってくらいよく寝たよね。体調も悪くない。今日の朝議に例の書類が出されてる……はずだけど、どうなんだろう。クリスにオッケーもらった後のことをあまり覚えてない。

「んー……」

 どうしようどうしよう……って思ってたら、慣れ親しんだ魔力を感じた。二つ。
 思わず口元に笑みが浮かぶ。
 その魔力はこちらに向かってきていて、間もなく寝室の扉が開いた。

「アキ」
「クリス、おはよ」

 クリスと、クリスに抱っこされてご機嫌のマシロ。慣れ親しんだ二つの魔力だ。

「あね、ういすと、ごはん!つれてきちゃ!!」
「ありがとうマシロ」

 ごはん連れてきちゃったけどね。ふふ。ついでにごはんのワゴン押してるのはメリダさんだけどね。ふふふ。
 クリスに降ろされたマシロは、一直線に俺のところにかけてきて、ばふっと飛びついてきた。おかえり、マシロ。

「体調は?」
「全然平気」

 クリスはベッドに腰かけて、俺の頬にキスをする。
 その間に、メリダさんは二人分の食事の準備をすすめてくれた。…二人分?

「もしかして、クリスまだ食べてない?」
「ああ」
「ましろは、たべちゃ。あんまいの、たべう」

 マシロ用にはデザートか。

「さ、どうぞ。ご準備できましたよ」

 二人分の食事とデザートと、ミルクのカップと、紅茶のカップが三つ。
 丸いテーブルには椅子が四脚。一つは脚の長い小さな子供用。
 俺とクリスの間には満面笑顔のマシロ。
 寄り添ってくっつく様に座る家族三人の前に、穏やか笑みで紅茶を飲むおばあちゃんメリダさん
 幸せ家族の食事風景。うん、ほっとする。




 少し遅い昼食の後、クリスから改めて結果を聞いた。
 結論から言えば今回のリーデンベルグ訪問については、なんの問題もなく認められた。女王陛下に送る書簡について、今後外務大臣も交えて内容を詰めたり連絡を取り合っていく。
 俺が夜中までかけて作った書類については、資料に対する考察も含めてとても良好な評価を得たらしい。よかった。
 よかったよかった、で、気を抜いてもいられない。
 今度は同行者の選別が待っていた。

「クリス隊のみんなで行かないの?」

 遅めの昼食後、ほぼお茶の時間にクリスの執務室に来た。
 俺がいなくても魔法師団三人ともしっかり練習しててくれて頼もしい。……なんかちょっと楽しそうで、魔法で遊んでる風だけど、大丈夫。きっとそれも練習になるから。

「オットーとザイルは連れて行く」

 クリスの言葉に、作業をしていたオットーさんとザイルさんが手を止めて、俺に向かって笑って頷いた。
 いつもお世話になります。

「他は一時的に兄上に預ける形になる。団長代理はブランドンだな」
「何気にブランドンさんの代理率が高いね」
「貴族のあしらい方がうまいからな」
「年上だしね」
「ああ。年の功……と言うと嫌な顔されるが」

 眉間のシワを深くしたブランドンさんの顔が簡単に脳裏に浮かんだよ。唯一の三十代。色々知ってそうだ。

「でも護衛とか、それだけ?」
「他には近衛と第一から選出されるだろうな」
「あー、お兄さんが?」
「ああ。兄上の選出なら問題はない」

 そうだね。あのお兄さんが変な人選するわけない。

「護衛はいらないと言ったんだが、他国を公式に訪問するに当たり、それでは駄目だと一蹴された」
「あー……」
「少数ならアルフィオを同行させることも考えたんだがな」
「それって……道程短縮のため?」
「もちろん」

 アルフィオさん使いがやっぱり荒い。

「あ、アルフィオさんといえば、エアハルトさんは同行しないの?実家あるよね?」
「そういえばリーデンベルグの貴族家だったな」
「エアハルトさん行くならアルフィオさん一緒に行くって主張するよね。逆にアルフィオさん連れて行くって決めたら、ここぞとばかりにエアハルトさんは行かないって言いそう。離れられるーみたいな」
「……いや」
「?」
「アキが一声かければどんな条件でも同行するだろう、あいつは」
「そう?」
「そう。……よし。やはりエアハルトは連れて行かない。留守番決まりだな」

 ……なんかごめん、エアハルトさん……?
 でも俺も同行しなくていいかな……。最近慣れたけどね……。あの変なテンションに。










*****
この章も長くなりそ……
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