ウェディング🍰に消費期限はございません!クリスマス🍰は31日を過ぎるとウェディング🍰に変わる?夢から逃げたオタの私は神歌い手らに溺愛される

西東友一

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「アオイ、アオイっ!」

 私は母親の声で目が覚める。

「今日の授業は・・・・・・・・・」

 体が凄い重いから今日は学校には行きたくないな・・・・・・って違う。もう私は社会人だ。

 久しぶりにスマホのアラームじゃなくて、母親の声で起きた。目を開けたら天井や布団、そしてベッドが実家の物だから学生時代と錯覚してしまった。それにしても歳をとるとこんなにも身体が重くなるとは思わなかった。それとも、こんなに身体が重いのは疲れているからなのか、それとも・・・・・・

「お母さんの声もだいぶ老けたな」

 それ以上考えたくなかった私は考えるのをやめて、鏡に映る自分を見る。あの頃よりももっと醜い。逆に、あの頃もブサイクだと思っていたけれど、今に比べれば超かわいい。

 誤解しないでね、「今」に比べればだから。私はそんなに可愛くなかった。あの頃、ちょっとしたことでできた肌荒れなんかでも、人と近くで話すと気にされると思って、いつも以上に目なんか合わせられなかった。けれど、あのくらいの肌荒れなんか今では化粧で誤魔化すけど調子がいい日の肌でも勝てない気がする。

「もっと、あの時自信を持ってアピールしたら、誰かと付き合えたりしたのかな?」

 背中を伸ばしながらそんなことを考える。

 ・・・・・・いや、それもないか。
 私がこんなふうになったのは中学生からだけど、学生の方が本能に従順だ。誰が上で誰が下、あいつはありで、あいつはなしでってランク付けして勝手になしにされる。そうやって評価している目つきでいることを隠さない人がたくさんいた。それが学生だ。本当に残酷な世界だ。

「本当に・・・・・・残酷な世界」

 私は着替えて顔を洗い、母のいるリビングへと向かった。

「おはよう、お母さん」

 私が顔を出すと、

「昨日はありがとうね、アオイ」

 と言って、ダイニングテーブルのご飯を「食べて」と案内された。

 久しぶりの母の手料理。
 暖かそうな湯気が出ていて美味しそうだ。

「いただきます」

 と小さく言って私はご飯に手をつける。

「・・・・・・おいしい」

 そう言うと「ふふっ」と母は嬉しそうにしながら、洗い物を続ける。あの頃は朝にご飯を食べるのは苦痛で「食べたくない」と言ったご飯が今ではこんなに美味しく感じられる。やっぱり、自分で料理をするようになって、改めて人にご飯を作ってもらえることのありがたさに気づいた。

「ねぇ、アオイって今いい人いるの?」

「うっ」

 私はお味噌汁でむせそうになるのを慌ててなんとかした。

(そうだ、忘れていた)

 父の交通事故ということで焦って帰ってきたけれど、私が実家と距離を置いた理由第一、結婚のプレッシャーをすっかり忘れたまま帰ってきてしまった。



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