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第5章 愛されることを知った日
14:君が、欲しい
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数日後の夜。城の中庭に吹き抜ける秋風が、木々の葉を、赤や黄色に染めはじめ、そっと揺らしている。
響人はヴァルトの執務室で黙々と書類を整理しながら、ふと胸に重く温かい気配を感じた。
「この書状は、今月の供給調整……次は食料庫の管理記録……っと」
細かな数字と向き合う響人の背後で、ヴァルトは静かにそれを見守っていた。長きにわたる竜王の務めの中で、響人と過ごす時間が、最も心安らぐものになっていた。
響人の一挙手一投足が愛おしく、その存在だけで胸が満たされる。
書類をめくる音、羽根ペンが紙に触れる音、時折、響人が小さくため息をつく音。すべてがヴァルトにとって愛しい音楽だった。
響人が眉をひそめて数字を確認している姿も、集中して唇を軽く噛む癖も、すべてが愛おしくて仕方ない。
「響人」
声に振り返ると、ヴァルトが背筋を伸ばして立ち、ゆっくりと膝をついた。目の前には、真剣な表情があった。
「え、な、なに?」
驚く響人を前に、ヴァルトは穏やかに口を開いた。
「そろそろ……はっきり伝えたいと思っていた」
その一言に、響人の心臓が跳ねた。まるで胸に光が射し込むように……。
ヴァルトの表情は今まで見たことがないほど真剣で、その瞳には深い愛情が宿っていた。
「響人、――お前が好きだ。心から、愛している」
響人は息を呑み、言葉を探す。胸の奥で何かが震えていた。時が止まったような静寂の中で、ヴァルそささすすそトの言葉だけが響いている。
「俺の番になってほしい。──誰でもない、俺だけの大切な人として、生きてくれ」
呼吸が止まるほど強い言葉だった。優しく、でも決して揺らぐことのない確信がそこにあった。ヴァルトの声は震えていたが、その想いの強さは疑いようがなかった。
「……俺なんかで、いいのか?」
響人はそっと吐き出した。過去の傷がまだ疼いている。自分に価値があるのか、愛される資格があるのか、心の奥底で常に疑問に思っていた。
「俺なんかと言うな。って言っただろ」
ヴァルトの声が、響人の心に染み入る。その声には叱責ではなく、深い愛情と心配が込められていた。
「お前のすべてが欲しい。過去も、受けた傷も、笑顔も、全部が俺の宝だ。お前を愛することが、俺の生きる意味になった。お前がいない世界など、俺には意味がない」
その言い方は、ずるいほど真っ直ぐだった。響人は、思わず涙ぐんだ。誰かにこんなにも真剣に愛されたことがあっただろうか。こんなにも大切にされたことがあっただろうか。
「……そんな風に言われたら……ずるいよ」
その声に、ヴァルトは優しく微笑んだ。響人の涙を見て、自分の胸も熱くなる。
「俺の番だ。俺だけの……ここにいるという証に、朝も夜も忘れぬよう刻んでやる。お前の心も身体も、すべてを俺の愛で満たしてやる」
そしてゆっくり立ち上がり、響人の肩をそっと抱き寄せる。その温もりが響人の震えを静めていく。
響人は精いっぱい微笑んで頷いた。心の奥で何かが溶けていくのを感じた。長い間凍りついていた心が、ヴァルトの愛によって温められていく。
「うん。……俺で、いいなら……よろしくお願いします。俺も、ヴァルトを愛したい」
ヴァルトはその答えを受け止め、額にやさしく口づけした。その唇は温かく、愛に満ちていた。
「愛してる、響人。この想いは永遠に変わらない。お前を幸せにする。必ず」
窓の外では秋風が木々を揺らし続けていたが、二人の間には春のような温かさが満ちていた。これが愛されるということなのだと、響人は初めて知った。
響人はヴァルトの執務室で黙々と書類を整理しながら、ふと胸に重く温かい気配を感じた。
「この書状は、今月の供給調整……次は食料庫の管理記録……っと」
細かな数字と向き合う響人の背後で、ヴァルトは静かにそれを見守っていた。長きにわたる竜王の務めの中で、響人と過ごす時間が、最も心安らぐものになっていた。
響人の一挙手一投足が愛おしく、その存在だけで胸が満たされる。
書類をめくる音、羽根ペンが紙に触れる音、時折、響人が小さくため息をつく音。すべてがヴァルトにとって愛しい音楽だった。
響人が眉をひそめて数字を確認している姿も、集中して唇を軽く噛む癖も、すべてが愛おしくて仕方ない。
「響人」
声に振り返ると、ヴァルトが背筋を伸ばして立ち、ゆっくりと膝をついた。目の前には、真剣な表情があった。
「え、な、なに?」
驚く響人を前に、ヴァルトは穏やかに口を開いた。
「そろそろ……はっきり伝えたいと思っていた」
その一言に、響人の心臓が跳ねた。まるで胸に光が射し込むように……。
ヴァルトの表情は今まで見たことがないほど真剣で、その瞳には深い愛情が宿っていた。
「響人、――お前が好きだ。心から、愛している」
響人は息を呑み、言葉を探す。胸の奥で何かが震えていた。時が止まったような静寂の中で、ヴァルそささすすそトの言葉だけが響いている。
「俺の番になってほしい。──誰でもない、俺だけの大切な人として、生きてくれ」
呼吸が止まるほど強い言葉だった。優しく、でも決して揺らぐことのない確信がそこにあった。ヴァルトの声は震えていたが、その想いの強さは疑いようがなかった。
「……俺なんかで、いいのか?」
響人はそっと吐き出した。過去の傷がまだ疼いている。自分に価値があるのか、愛される資格があるのか、心の奥底で常に疑問に思っていた。
「俺なんかと言うな。って言っただろ」
ヴァルトの声が、響人の心に染み入る。その声には叱責ではなく、深い愛情と心配が込められていた。
「お前のすべてが欲しい。過去も、受けた傷も、笑顔も、全部が俺の宝だ。お前を愛することが、俺の生きる意味になった。お前がいない世界など、俺には意味がない」
その言い方は、ずるいほど真っ直ぐだった。響人は、思わず涙ぐんだ。誰かにこんなにも真剣に愛されたことがあっただろうか。こんなにも大切にされたことがあっただろうか。
「……そんな風に言われたら……ずるいよ」
その声に、ヴァルトは優しく微笑んだ。響人の涙を見て、自分の胸も熱くなる。
「俺の番だ。俺だけの……ここにいるという証に、朝も夜も忘れぬよう刻んでやる。お前の心も身体も、すべてを俺の愛で満たしてやる」
そしてゆっくり立ち上がり、響人の肩をそっと抱き寄せる。その温もりが響人の震えを静めていく。
響人は精いっぱい微笑んで頷いた。心の奥で何かが溶けていくのを感じた。長い間凍りついていた心が、ヴァルトの愛によって温められていく。
「うん。……俺で、いいなら……よろしくお願いします。俺も、ヴァルトを愛したい」
ヴァルトはその答えを受け止め、額にやさしく口づけした。その唇は温かく、愛に満ちていた。
「愛してる、響人。この想いは永遠に変わらない。お前を幸せにする。必ず」
窓の外では秋風が木々を揺らし続けていたが、二人の間には春のような温かさが満ちていた。これが愛されるということなのだと、響人は初めて知った。
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