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第7章 夜会のダンス
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音楽が終わっても、
まだ殿下の手が俺の腰にあった。
ほんの一瞬。
でも、その一瞬が永遠みたいに長く感じられた。
「……っ、ありがとうございました、殿下。」
慌てて距離を取る。
けれど、腕を離すより早く、
周囲のざわめきが広がっていた。
「今の、見た?」
「王太子殿下と……リステア令息が?」
「まさか、あれは練習では?」
「でも、ずいぶん――」
(はい、出ました。社交界恒例の“囁き実況”。)
貴族たちの視線が一斉にこちらに注がれる。
どこか、熱を帯びている。
「ち、ちがいますよ!? 今のはあくまで礼式であってですね!」
言いたい。言いたいけど言えない。
だって、王太子の前で弁明とか、社会的に自殺行為だ。
殿下は――何も言わない。
ただ、静かに俺の方を見ていた。
金の瞳が、夜会の灯に照らされて光る。
笑っているようで、考えているようで、読めない。
(いや、待って。
今の顔……どっちの意味の“笑み”ですか。
慈悲? 興味? それとも、俺の動揺を楽しんでる??)
周囲の視線が刺さる。
フローラ嬢も、遠くの柱の陰からこちらを見ていた。
リリィは完璧な微笑で場を整えているが、
扇子の陰の唇が、かすかに上がっている。
(リリィ、なんか……楽しそうじゃない?)
音楽が再び流れ始めた。
けれど、誰も踊らない。
“王太子が、誰と踊ったか”――
それがこの夜会の話題すべてを支配していた。
「殿下……?」
俺が小声で呼ぶと、
シリウス殿下はゆるく首を振った。
「……心配するな。礼式の範囲だ。」
「そ、そうですよね! ですよね!? 礼式ですとも!」
あわてて同意した俺に、殿下が小さく笑った。
低い声で、囁くように。
「君がそう言うなら、そういうことにしよう。」
(“そういうことにしよう”ってなに!?
曖昧にするタイプ!? 誤解解かないタイプ!?)
拍手が遠くで起きる。
誰かが、わざとらしく微笑みながら言った。
「麗しい舞でしたわね。」
(やめてください、それ、誤解しか生まないやつ!)
けれど、殿下は少しも動じなかった。
むしろ、穏やかにその言葉を受け止めて――
視線だけを、俺に戻した。
「……君の踊りは、印象的だった。」
その言葉の意味を、
俺は最後まで理解できなかった。
ただ、音楽だけが流れていた。
さっきよりも、少しだけゆっくりと。
まるで、二人の鼓動に合わせるように。
まだ殿下の手が俺の腰にあった。
ほんの一瞬。
でも、その一瞬が永遠みたいに長く感じられた。
「……っ、ありがとうございました、殿下。」
慌てて距離を取る。
けれど、腕を離すより早く、
周囲のざわめきが広がっていた。
「今の、見た?」
「王太子殿下と……リステア令息が?」
「まさか、あれは練習では?」
「でも、ずいぶん――」
(はい、出ました。社交界恒例の“囁き実況”。)
貴族たちの視線が一斉にこちらに注がれる。
どこか、熱を帯びている。
「ち、ちがいますよ!? 今のはあくまで礼式であってですね!」
言いたい。言いたいけど言えない。
だって、王太子の前で弁明とか、社会的に自殺行為だ。
殿下は――何も言わない。
ただ、静かに俺の方を見ていた。
金の瞳が、夜会の灯に照らされて光る。
笑っているようで、考えているようで、読めない。
(いや、待って。
今の顔……どっちの意味の“笑み”ですか。
慈悲? 興味? それとも、俺の動揺を楽しんでる??)
周囲の視線が刺さる。
フローラ嬢も、遠くの柱の陰からこちらを見ていた。
リリィは完璧な微笑で場を整えているが、
扇子の陰の唇が、かすかに上がっている。
(リリィ、なんか……楽しそうじゃない?)
音楽が再び流れ始めた。
けれど、誰も踊らない。
“王太子が、誰と踊ったか”――
それがこの夜会の話題すべてを支配していた。
「殿下……?」
俺が小声で呼ぶと、
シリウス殿下はゆるく首を振った。
「……心配するな。礼式の範囲だ。」
「そ、そうですよね! ですよね!? 礼式ですとも!」
あわてて同意した俺に、殿下が小さく笑った。
低い声で、囁くように。
「君がそう言うなら、そういうことにしよう。」
(“そういうことにしよう”ってなに!?
曖昧にするタイプ!? 誤解解かないタイプ!?)
拍手が遠くで起きる。
誰かが、わざとらしく微笑みながら言った。
「麗しい舞でしたわね。」
(やめてください、それ、誤解しか生まないやつ!)
けれど、殿下は少しも動じなかった。
むしろ、穏やかにその言葉を受け止めて――
視線だけを、俺に戻した。
「……君の踊りは、印象的だった。」
その言葉の意味を、
俺は最後まで理解できなかった。
ただ、音楽だけが流れていた。
さっきよりも、少しだけゆっくりと。
まるで、二人の鼓動に合わせるように。
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ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
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