妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊

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第24章 密やかな再会

24-1

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戴冠式前夜、王城の大広間はまばゆい光で満ちていた。
各国からやってきた貴族たちが集い、礼服とドレスの色彩が波のように揺れる。
音楽が空気を華やかに染める中――アランは、遠巻きにその喧騒を眺めていた。

爵位継承から数年。
彼はもう、目立つ場所には立たなくなった。
ただ静かに、己の役目を果たす側で生きている。

「……相変わらず、眩しい世界だな。」

その中に――ゆっくりと歩む、ひときわ目を引く姿があった。
黒に近い青髪を整え、王太子の衣をまとったその人。

シリウス・アルベルト。

アランは思わず息を呑む。
人混みの中でも、その金の瞳だけは見逃しようがなかった。

(……変わらない。あの金の瞳。)

君臨する者の光。それでも――
どこか見慣れた、夜風のような優しさが宿っていた。

すれ違った瞬間、何も言葉は交わさず。
だが、お互いが視線だけで微かに頷いた。

密やかな再会の幕が、静かに上がる――。
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