オマエが俺の犬になるのなら

第18話 トモの過去を知る2人

「うわぁ、可愛い！由良って、なんかアイドルとかにいそうなタイプの感じだね。私、吉井結香。結香って呼んでね」
「俺は洸紀。そのままで」

お互いに自己紹介を終えたかと思ったら、いつの間にか筋肉の話で大盛り上がり。
すっかり仲良しになっていて驚く。

なんだ由良、筋肉のことなんか興味あるのかよ…。

プロテインや筋トレについて愉しそうに話している由良を見ているとなぜかイラっと…。
いやいや、すごいなぁ…と思ってしまう。

洸紀と吉井結香は、トモの過去を知りながらも仲良くしてくれる唯一の知り合い。

最初はたまたまジムで再開して声をかけられたときは鬱陶しいだけだったが、いまはときどき筋トレ関係の話をするまでになった。

2人の前ではとくに何を取り繕うこともなく自然にいられることがありがたい。
…けど。

「え～、お試しなんだ？会員になっちゃえばいのに！そしたら好きなときにいつでも来れるし、トレーニングマシンも使い放題。しかも月々2,980円だよ！お小遣いで通えちゃう」
「おい吉井結香、勝手に会員登録すすめるな。お前はジムのスタッフじゃないだろ？」

「別にいいじゃん。トモの友だちなんでしょ？それよりいい加減、苗字と名前をいっしょに呼ぶの、やめてくれない？」

そんなわちゃわちゃした状態で結局、由良はジムの会員になっていた。

「へへっ、これでいつでもトモくんといっしょにジムへ来れるね」

…なんでそうなるんだ…？！
このままでは埒が明かない。

心を鬼にしたトモはジムから出てすぐに命令を口にした。