オマエが俺の犬になるのなら

第21話 意味不明の行動

とつぜん成実から告白されて困惑していたトモの前に
「ちょっと待った！」
スッと割り込んできたのは由良。

「ゆ…、由良？」

あ…、ダメだ。
こいつ、絶対に余計なことを言う。

2人だけの約束があるから、俺の犬になったとはもう言わないだろうけど。
俺と付き合っているとか、言いそう…。

そんなことになったらいろいろと噂になって、それこそ俺の高校生ライフがヤバくなる。

自業自得とはいえ、過去に親友の水島大和を独占したいがために本人はもちろんまわりにいた友だちまでも苦しめてきた俺が誰かと付き合っているなんてそいつらにバレたら…。

ダメだ。
絶対にそれだけは阻止しなければ。
由良にも迷惑がかかってしまうかもしれない。

「ちょ、ちょっと由良…」

困惑するトモと
「由良くん…？」
不思議そうな成実。

頼む。
頼むから由良、余計なことは言わないでくれ。

俺は身を潜めて生きるべき人間なんだ。
だから…。

それなのに由良は
「ダメ！成実ちゃんのことは友だちだけど、トモくんのことは譲れない」
大きな声で堂々と言い切った。

あぁ…、やっぱり、いちど道を外した人間はいくら反省しても普通の生活を送ってはいけないのかもしれない…。

「…え？それって、由良くんが日野くんと付き合ってるってこと…？」

成実に聞かれた由良は「そうだよ！」とでも言うかと思ったのに、チラリとトモを見てから
「…ま、まだ僕の片思いだよ」
なぜかそんなふうに答えた。

「は？だったらいいじゃん。邪魔しないでよ」
そう成実に怒られてタジタジの由良。

そりゃあ、そうなるわな。

こいつは一体なにがしたかったんだ？
まったくもって意味不明。

俺には由良がわからない…。