オマエが俺の犬になるのなら

第25話 受けか攻めか

由良に壁ドンをし、怖い表情をしているのではないかということに気づいたトモはハッとした。

なにやってんだ？俺。
どうしてイラっとした？

そりゃあもちろん、由良が教室で弁当を作ってきたとか、「トモくんに言われたとおり冷食もレトルト系も一切つかわず、調味料にもこだわったんだ」とか言ったから。

だよな？

由良を教室から連れ出したとき、そして壁際まで追い詰めたとき、なぜか浜井にイラっとして…って、そんなことあるわけない。

スッとトモが由良から離れようとしたとき、
「…まさかこれで終わりじゃないよね？」
制服を掴まれて引き留められた。

トモの制服を掴んでいるのは、確かに由良。
目の前にいるのも由良で間違いない。

それなのに、いつもとはまったく雰囲気が違う。
静かで落ち着いた、どちらかというと冷たいようなそんな口調。

トモはゴクリと息を呑む。

「ゆ…、由良…？」
自分でもびっくりするぐらい動揺した声が出ていて焦る。

そんなトモの声にハッとしたような顔をした由良は
「え、あ、あ、、、」
いつもの感じに戻っていた。

…え？
え～っと…。

これはどういうことだ？
さっきの表情…。

由良がまさかのドSとか、そんなことあったりするのだろうか？
もしそうだったら週末の予定が狂うんだけど…。

「なぁ由良、由良って、受けか攻めでいったらどっち？」

これはもう素直に聞くしかないと勇気を出したのに
「受け攻めってなに？」
きゅるんきゅるんのおめめでアッサリと聞き返されてしまった。

そ、そりゃあそうだよな。
こんな純朴そうなヤツがそんなこと知ってるわけないよな、うん。