20 / 47
絡み合う唇
しおりを挟む
「おい、服を着ろ。出掛けるぞ……」
夜に外から戻った時貞は、ボクサーパンツ姿でテレビを観ていたヒロトに声を掛ける。スタジオとマンションの往復以外は外出を許可されていなかったヒロトは、満面の笑顔を浮かべて「わかった!」と返事をした。
時貞がヒロトを連れて行った場所は、繁華街にある洒落たバーだった。マスターと馴染みのような時貞は、カウンターに座ってマスターと話し出す。自分には関係無い話だと、ヒロトは店内を見て回っていた。
「スッゲー! こんな大人な空間に来るのは初めてだ……」
小さなガラスの雫が沢山垂れ下がったシャンデリアの下で、グランドピアノが静かに音を奏でている。初老の男が譜面も見ないで弾く曲は、時貞のお気に入りのポップスだった。
店内では静かに会話する年齢層が高いカップル。恰幅のよい中年の男性が、静かにブランデーの入ったグラスを傾けている。その空間に立つヒロトは金髪のロングヘアーで、ビジュアル系の男性が好む服装だ。ヒロトは少し居心地の悪い気分になったが、ピアノの音が心地よく、無意識にメロディーを口ずさむ。
するとピアノを弾く初老の男性が反応し、ニコッとヒロトに笑いかける。それは合図であり「セッション」のお誘いでもあった。
ヒロトはその提案に乗ることにし、ピアノの伴奏で歌い出す。マイクは無かったが、ヒロトの声は店内に響き渡り、客の関心を引き寄せた。
「時貞さん、あの子は誰ですか? 良い声だね……」
マスターが時貞にソッと尋ねる。時貞は「俺のお気に入りのカナリアだ。良い声で鳴くんだよ」とニヤリと妖しく笑う。それを聞いて「ああ、そういうこと」と、マスターもニヤッと笑うのだ。
数曲歌い終わったヒロトは、上機嫌でカウンターに座っている時貞の元に戻ってきた。時貞は「良い声だったぞ」と、ヒロトの頭を撫でる。それを満足そうに目を細めて受け入れるヒロトを見たマスターが、「随分と仲がよろしいのですね」と微笑んでいた。
「え……? いや、そういうんじゃないです……!」
ヒロトは必死に取り繕うが、マスターは「お熱いことで」と返してくるのだ。ヒロトは顔を真っ赤にして下を向き「ち、違う……」と小さく呟く。
「ねえ、君はバンドで歌とか歌ってるの?」
ピアノを弾いていた初老の男性が、ピアノを弾き終わってヒロトに話しかけてきた。ヒロトは瞬時に顔を上げて「はい! バンドでボーカルです」と答える。
「良い発声だよねえ。声量もあるし……。ボイストレーニングとか受けてるの?」
「え……? ボイストレーニングなんて高くて無理です。俺は自己流でやってきました」
それを聞いた初老の男性は「自己流でこれ? 凄いなあ! プロに習えばもっと上手くなるよ!」と興奮気味だった。
それを「いや……」と照れながら聞いているヒロトを、時貞は微笑みながら見ている。そして二人の会話に混ざるようにゆっくりと口を開いた。
「コイツはポップスに合いそうな声を持ってると思うんだが、誰か良いトレーナーを知っているか? レッスン料は俺が払う」
時貞の言葉を聞いて目を見開いて驚くヒロトは、「え……? マジで?」と声を漏らす。
「そうですねえ……。私の知り合いに良いトレーナーが居ますよ。聞いておきますから、分かりましたら時貞さんにご連絡します」
「やったーー! トレーナーとかスゲえ!」
興奮するヒロトは時貞に抱きついていた。その行動に「おい……!」と少し驚いた時貞だったが、嬉しそうなヒロトの笑顔を見て諦めた様に、ヒロト抱きつかれたまま笑うのだった。
****
マンションに戻った二人は激しく求め合う。ボイストレーニングを受けられる興奮から、上機嫌のヒロトは、いつもなら最初は恥ずかしがるのに、今夜は自分から服を脱ぎ捨てていった。
ヒロトの長い金髪が汗で背中に引っ付く。それを掴む時貞は、グッと引っ張りヒロトの身体を弓なりにした。
対面座位から身体を後ろに思いきり倒されたヒロトは、反った身体の所為で、ブリッジに近い格好になった。そしてグッポリと男根を咥え込んだ排泄孔から、男根が出入りする様子が時貞からあからさまに見える。引く時は肉棒に引っ張られて中が少し突き出し、逆に突き刺す時は吸盤のように窄まりがギュウッと吸いついた。
「良い眺めだ……。カナリヤ、鳴けよ。俺に歌を聴かせてくれ……!」
ヒロトは上体を起こし、時貞のお気に入りの歌を口ずさむ。その少し悲しい歌詞は、時貞の過去の何かを思い出させる。ヒロトは歌いながら、時貞の頬を手で触れた。その手をソッと触る時貞は、ヒロトの手のひらに顔を擦り付けてから、手の甲に唇を落とす。
二人の視線が交差し、自然と互いの顔が近づいていく。
互いを啄む様に何度も軽く唇を重ね、もう一度、離れて互いの目を見つめる。
今度は勢いよく重なる二人の唇は、互いの舌を絡ませて吸いつきあう。キスを何度も女としたことのあるヒロトだったが、初めての時貞とのキスは、それのどれとも比べものにならない位に情熱的だった。
下半身でも激しく絡み合い、同時に唇でも絡み合う二人は、頭を真っ白にして快楽を貪っていた。
「ヒロト……、お前は俺のモノだ! 分かったな……!」
「時貞……!」
快楽の雄叫びを上げるヒロトは下半身を痙攣させた。そして時貞の肉棒は、ドクドクと脈打つたびに、次から次へと噴き出す白濁をヒロトの中に注ぎ込んだのだった。
夜に外から戻った時貞は、ボクサーパンツ姿でテレビを観ていたヒロトに声を掛ける。スタジオとマンションの往復以外は外出を許可されていなかったヒロトは、満面の笑顔を浮かべて「わかった!」と返事をした。
時貞がヒロトを連れて行った場所は、繁華街にある洒落たバーだった。マスターと馴染みのような時貞は、カウンターに座ってマスターと話し出す。自分には関係無い話だと、ヒロトは店内を見て回っていた。
「スッゲー! こんな大人な空間に来るのは初めてだ……」
小さなガラスの雫が沢山垂れ下がったシャンデリアの下で、グランドピアノが静かに音を奏でている。初老の男が譜面も見ないで弾く曲は、時貞のお気に入りのポップスだった。
店内では静かに会話する年齢層が高いカップル。恰幅のよい中年の男性が、静かにブランデーの入ったグラスを傾けている。その空間に立つヒロトは金髪のロングヘアーで、ビジュアル系の男性が好む服装だ。ヒロトは少し居心地の悪い気分になったが、ピアノの音が心地よく、無意識にメロディーを口ずさむ。
するとピアノを弾く初老の男性が反応し、ニコッとヒロトに笑いかける。それは合図であり「セッション」のお誘いでもあった。
ヒロトはその提案に乗ることにし、ピアノの伴奏で歌い出す。マイクは無かったが、ヒロトの声は店内に響き渡り、客の関心を引き寄せた。
「時貞さん、あの子は誰ですか? 良い声だね……」
マスターが時貞にソッと尋ねる。時貞は「俺のお気に入りのカナリアだ。良い声で鳴くんだよ」とニヤリと妖しく笑う。それを聞いて「ああ、そういうこと」と、マスターもニヤッと笑うのだ。
数曲歌い終わったヒロトは、上機嫌でカウンターに座っている時貞の元に戻ってきた。時貞は「良い声だったぞ」と、ヒロトの頭を撫でる。それを満足そうに目を細めて受け入れるヒロトを見たマスターが、「随分と仲がよろしいのですね」と微笑んでいた。
「え……? いや、そういうんじゃないです……!」
ヒロトは必死に取り繕うが、マスターは「お熱いことで」と返してくるのだ。ヒロトは顔を真っ赤にして下を向き「ち、違う……」と小さく呟く。
「ねえ、君はバンドで歌とか歌ってるの?」
ピアノを弾いていた初老の男性が、ピアノを弾き終わってヒロトに話しかけてきた。ヒロトは瞬時に顔を上げて「はい! バンドでボーカルです」と答える。
「良い発声だよねえ。声量もあるし……。ボイストレーニングとか受けてるの?」
「え……? ボイストレーニングなんて高くて無理です。俺は自己流でやってきました」
それを聞いた初老の男性は「自己流でこれ? 凄いなあ! プロに習えばもっと上手くなるよ!」と興奮気味だった。
それを「いや……」と照れながら聞いているヒロトを、時貞は微笑みながら見ている。そして二人の会話に混ざるようにゆっくりと口を開いた。
「コイツはポップスに合いそうな声を持ってると思うんだが、誰か良いトレーナーを知っているか? レッスン料は俺が払う」
時貞の言葉を聞いて目を見開いて驚くヒロトは、「え……? マジで?」と声を漏らす。
「そうですねえ……。私の知り合いに良いトレーナーが居ますよ。聞いておきますから、分かりましたら時貞さんにご連絡します」
「やったーー! トレーナーとかスゲえ!」
興奮するヒロトは時貞に抱きついていた。その行動に「おい……!」と少し驚いた時貞だったが、嬉しそうなヒロトの笑顔を見て諦めた様に、ヒロト抱きつかれたまま笑うのだった。
****
マンションに戻った二人は激しく求め合う。ボイストレーニングを受けられる興奮から、上機嫌のヒロトは、いつもなら最初は恥ずかしがるのに、今夜は自分から服を脱ぎ捨てていった。
ヒロトの長い金髪が汗で背中に引っ付く。それを掴む時貞は、グッと引っ張りヒロトの身体を弓なりにした。
対面座位から身体を後ろに思いきり倒されたヒロトは、反った身体の所為で、ブリッジに近い格好になった。そしてグッポリと男根を咥え込んだ排泄孔から、男根が出入りする様子が時貞からあからさまに見える。引く時は肉棒に引っ張られて中が少し突き出し、逆に突き刺す時は吸盤のように窄まりがギュウッと吸いついた。
「良い眺めだ……。カナリヤ、鳴けよ。俺に歌を聴かせてくれ……!」
ヒロトは上体を起こし、時貞のお気に入りの歌を口ずさむ。その少し悲しい歌詞は、時貞の過去の何かを思い出させる。ヒロトは歌いながら、時貞の頬を手で触れた。その手をソッと触る時貞は、ヒロトの手のひらに顔を擦り付けてから、手の甲に唇を落とす。
二人の視線が交差し、自然と互いの顔が近づいていく。
互いを啄む様に何度も軽く唇を重ね、もう一度、離れて互いの目を見つめる。
今度は勢いよく重なる二人の唇は、互いの舌を絡ませて吸いつきあう。キスを何度も女としたことのあるヒロトだったが、初めての時貞とのキスは、それのどれとも比べものにならない位に情熱的だった。
下半身でも激しく絡み合い、同時に唇でも絡み合う二人は、頭を真っ白にして快楽を貪っていた。
「ヒロト……、お前は俺のモノだ! 分かったな……!」
「時貞……!」
快楽の雄叫びを上げるヒロトは下半身を痙攣させた。そして時貞の肉棒は、ドクドクと脈打つたびに、次から次へと噴き出す白濁をヒロトの中に注ぎ込んだのだった。
11
あなたにおすすめの小説
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
学園一のスパダリが義兄兼恋人になりました
すいかちゃん
BL
母親の再婚により、名門リーディア家の一員となったユウト。憧れの先輩・セージュが義兄となり喜ぶ。だが、セージュの態度は冷たくて「兄弟になりたくなかった」とまで言われてしまう。おまけに、そんなセージュの部屋で暮らす事になり…。
第二話「兄と呼べない理由」
セージュがなぜユウトに冷たい態度をとるのかがここで明かされます。
第三話「恋人として」は、9月1日(月)の更新となります。
躊躇いながらもセージュの恋人になったユウト。触れられたりキスされるとドキドキしてしまい…。
そして、セージュはユウトに恋をした日を回想します。
第四話「誘惑」
セージュと親しいセシリアという少女の存在がユウトの心をざわつかせます。
愛される自信が持てないユウトを、セージュは洗面所で…。
第五話「月夜の口づけ」
セレストア祭の夜。ユウトはある人物からセージュとの恋を反対され…という話です。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
俺の体に無数の噛み跡。何度も言うが俺はαだからな?!いくら噛んでも、番にはなれないんだぜ?!
汀
BL
背も小さくて、オメガのようにフェロモンを振りまいてしまうアルファの睟。そんな特異体質のせいで、馬鹿なアルファに体を噛まれまくるある日、クラス委員の落合が………!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる