【R18】眩惑の蝶と花──また墓穴を掘りました?!

umi

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第五話 不覚〜シフォンドレスとレザーベルト

#2 ゆきずりの男と未知の快感 ※

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それから二時間後ーー。

「ああっ、ああっ、イク…またイクぅ……!」

ピンっと乳首を軽く弾かれただけだ。
でも、達しつづけてぐずぐずになった蝶子には、もうそれだけで充分すぎるのだ。

くにーー

「ひあんっ」

くにくにーー

「ああああああああーっ」

ぴんっ

「………!!!」

もう何をされても達してしまう。

「かわいいよ。すごくいい。ほんとにここが好きなんだね」

くにゅーーー

「あああああーーーーー」





二時間前、この半個室にインして最初の一時間は、ただただ上半身をマッサージされていた。
エッチさの全くない、真摯で巧みなマッサージだった。

だが、ちょうど一時間が過ぎたところで、男の手つきが変わった。
ねっとりと、いやらしく、まるで悪いクスリでも擦り込むかのように、蝶子の胸をまさぐりはじめたのだ。

(きた)

そう、これを愉しみにきたのだ。
ようやくである。

ザワザワと這い上がる快感。
いやらしい手つき。
絡みつく視線。

ああ、はやく。もっと触って。はやく触って。核心に触れてほしい。

心逸って思わず腰が揺れていることに、気づいているのか、いないのか。

けれど、それからまだしばらくは、エッチなマッサージが続くばかりだった。
焦れったさにたまりかねた蝶子が、なじる口調で言い放った。

「ねえ、あなたほんとにできるの? 胸のポルチオなんて」
「できるよ」

男の手つきが、再び変わった。
まるで、待っていたようだった。

「あっ」

思わず声が漏れる。

「あっ、んっ、ああっ」

胸の脇から腋窩に入り込んだ手が、蝶子を翻弄する。

「うそ、なにこれ、あっ、待って、あっ、あっ、ああっ」

胸をさするように揉まれているだけなのに、信じられないほどの快感が走る。
これはいったいどうしたことだろう。

「本気でいくよ」

「え、だめ、これ以上、だめ、いやあっ」

ビクンビクンと身体を跳ねさせて、蝶子は何度も絶頂した。
胸のポルチオは本当だった。
びっくりするほど気持ちよくて、怖くなるほど長い絶頂が、何度も訪れた。

胸を揉まれているだけなのに。

(すご…)

そのときの蝶子は知らなかったのだ。
まだまだ先があるということを。

(全身の感度が爆上がりしてる…)

ということは……。

どくんと心臓が跳ね上がった。
その時だ。

「そろそろ乳首もいこうか」
「え?」
「ん? もちろんするでしょ? 今夜はニップルイベントなんだから」
「そ」
「まさか、これで終わると思った?」
「え、だ…て」
「もっとすごくしてあげる」

ぞくっと身震いが走る。
だってこんな状態でそこを触られたら。

「まって、わたし…」

男はにっこり微笑んで、容赦なく手を進めてきた。

「好きなだけ、壊れるといいよ」

ぴんっーーー

「………!!!!」

快感に許容量があるとしたら、この瞬間、蝶子のそれは一気に限界を超えて爆発した。

しぬ。

ぴんーー

むり。

くにゅーー

たすけて。

ピンッーー

ああああああああーーー!

それからはもう、どこをどうされているのかも、何がどうなっているのかもわからず、ただただ快感に溺れて、絶頂を追い続けて、いつしか声も枯れてなお叫びつづけた。




ぐい、と脚を開かれる感覚に、ふと意識が浮上した。

(え?)

思うまもない。

男はなんの躊躇いもなく蝶子を貫き、圧倒的な熱と質量で深々と身体を掻き回した。

「ああああああーーーーっ」

そして気づく。

いつのまにか、フロア中央にある円形ステージ上にいた。

(いつから…?)

衆目監視のなか、ゆさゆさと使われる身体は、もう蝶子の意思にかかわりなく感じつづけるばかりだ。

裏サロンeclipse(エクリプス)に禁忌はない。
表のイリンクスでは許されないこんなプレイも、エクリプスでは客どうしの合意さえあればいくらでもできる。

「あっ! あっ! ひあっ!」

ずぷずぷと嬲られているのに洪水のように濡れて、はくはくと震えて、そこが熱を求めるのを留めるすべもない。

(もっと)

「ほしい?」

何も考えられずに頷いたあと、我が身を見つめる多くの目に気づいた。
だが、あまりの渇望の強さに、抑えることなどかなわない。

シフォンドレスにレザーベルト。豊かな胸の先で乳首が布に擦れて、蝶子を責め立てる。

「ああああああああーーーー」

それは蝶子がこれまで体験したことのない世界だった。

これまで、こんな扱いを男に許したことはない。
男は皆、蝶子にかしずく下僕だった。

乱暴に暴かれ、後ろから奥を突かれ、男のおもうままに揺すられて。
快感に媚びるように「イク、イク」と叫びながら絶頂するなど、これまでの蝶子なら決してしなかった。

支配的な快楽が蝶子をバラバラにしてゆく。
止まらない絶頂のなか、ガラガラと崩れてゆく。

もっと。

もっと。

めちゃくちゃにして。

もっと。

溺れたように気を失っていきながら、蝶子は少しだけ不安になった。

片道切符の列車にのって、取り返しのつかないところまで来てしまったような気がして。
もう、元の世界には戻れないような気がして。

その取り返しのつかなさは、なぜかあの「生贄の日」よりも強く蝶子を襲った。





「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
「ありがとう。たのしかったわ」
「お気をつけて」

(今日は一度もDに会わなかった)

いなかったのか、違うところにいたのか、離れたところで蝶子の恥ずかしい痴態を見ていたのか。

他の男に遊ばれていた姿を、彼がどこかで見ていればいいと思った。
どこにでもいる女のように、ただ身体だけを使われる様を、彼が見ていればいい。

(そっか)

わたし、それがしたかったんだ。

夜の闇に溶けてゆきながら、蝶子はふふ、と声をこぼした。


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