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第六話 誤算〜取り替えっこは蜜の味
#3 だってあなた、目の前で奥さんを寝取られてるじゃないですか? ※
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狂瀾する妻の姿に、男は呆然とした。
「ナミ、ナミ……」
「ずいぶん、よさそうですよね」
「う…」
「いきなりあんなすごいセックスを知ってしまって、奥さん、大丈夫ですかね」
「……」
「彼はね、この店のエースなんですよ。この人のからだをこんなにしたのもあの男でしてね」
「え?」
「この女性はとても知的な人でね、元はもっとストイックだったし、こういうことにも奥手だったんですが」
「あんっ」
ジョーにぴんと乳首を弾かれて、蝶子はビクビクと弾んだ。
「あ、またイキました。蝶子さん、あなたほんとに可愛いくなりましたね」とひとりごとのように呟き、耳たぶを撫でる。
「ね。あの男に大切に仕込まれて、こんなに可愛く素敵な女性になったんですよ」
「え…」
「ねえ、夫さん。いいことをお教えしますよ」
ジョーは夫に顔を寄せ、二人にしか聞こえない音量で囁いた。
「あの男はね、この女性に惚れてるんですよ」
「え?」
「本人は認めてませんがね。そして彼女も気づいてませんがね。でもだからね、あなたがこの女性を彼よりも善がらせてあげれば、彼へのいい意趣返しになると思うんですよ」
「意趣返し?」
「ええ。だってあなた、目の前で奥さんを寝取られてるじゃないですか? しかもあんな、あなたと経験したことがないようなすごいセックスですよね。これまで知らなかった快楽で、奥さんぐずぐすにされちゃったんですから。たしかにスワッピングをと来店されましたけれども、ここまでのおつもりではなかったのでは?」
「……」
「今まで普通のセックスしかされてこなかったでしょう? 失礼ですが、手練手管に長けておられるというわけでもなさそうです。今日はただ、ちょっとした好奇心から、少し刺激的な遊びをしてるのもいいかなと思われた。なのに奥さん、あんなに凄いことになってしまって。もうあなたに目も合わせないじゃないですか。…おっと、失礼!」
「いえ……」
夫は妻を見た。妻はDという男の上にまたがり、腰を振っていた。揺れる乳房を男が揉みしだいている。いつのまにか乳首が見たこともないほど勃起している。ぬらぬらと赤く鬱血したそこは、いったい男に何をどれだけされたのか。そしてどれほどの快楽だったのか。
「いろんな人を見てきましたが、ああなるともう普通のセックスではとうてい満足できないんです」
「それは…」
「今後もあなたが満足させてあげられるなら問題ない。でもそうでなければ、奥さんはきっとまたここに来てしまう」
「な」
「ここには、そんなお客様が幾らもいらっしゃいます」
「そんな…」
そんな話をしながらも、ジョーは蝶子を愛でつづけていた。そして、快楽だけを追い求めるとろけきった蝶子の姿をDからよく見えるようにして、今や自分が指先ひとつで彼女の心身を支配していることを見せつけてもいた。蝶子を焦らすのも、泣かせるのも、イカせるのも、ジョーの思うままだった。
蝶子は相変わらず自分をわかっていない。めっぽう口が弱いくせに、それで何度も失敗しているくせに、またもや男の甘言にのせられてうっかり唇を許したがために、手もなくこの有様だ。可哀想な蝶子は、今ならどんな命令にも従うだろう。
「もうひとつ言うと、彼はボクが育てたんです。だから彼が奥さんに何をどうしてるか、ボクには手に取るようにわかります。だからね、それと同じことをこのひとにね」
夫は啜り泣きながら、深くうなずいた。
「さあ、ボクの言うとおりに。3人で気持ちよくなりましょう」
「くそぅ」
「蝶子さん。待たせましたね。あなたの欲しいコレをあげますよ。ボクとこの夫さんでかわりばんこにね」
「もういいから、はやく……」
「ね、Dが見てますよ。凄い顔をしています。ああ、おっかないなぁ」
「Dが…」
「ええ、見てますよ。というか、ずっと見てましたね。あなたがあえなく完堕ちして、ボクらに散々イカされて、二人がかりでぐちゃぐちゃにされるのを、ずーっと凄い目で見てました。この人の奥さんをぐちゃぐちゃに抱き潰しながらね。きっとハラワタ煮えくりかえってることでしょう」
「ふふ。最高」
「この後も見せつけてやりましょう。今からボクら二人で、代わりばんこにあなたを犯しますね。ね、普通にヤルより、奴にはそういうプレイの方がキクでしょう?」
「さすが、わかってるわね」
「それに蝶子さん、あなたもね。だからしつこくネチネチいきますよ。覚悟してくださいね」
「誰に言ってるの?」
「あは、知りませんよ、そんな強気なこと言って。それとも、またキスして黙らせてほしいんですか?」
「ちょっと!」
「はは、冗談ですよ。あ、でもおクチはね、使ってもらいます」
「……」
「Dがいちばん嫌がるのが、あなたのおクチが犯されることなので。それをあいつの目の前で、ね?」
「まあいいけど、別に…」
「蝶子さん、そういうとこですよ」
「なにが」
「最高に可愛いってことですよ」
それを合図に、ジョーの指が蝶子の口に侵入してきた。
「ん、く、は…」
夫は下を指で掻き回している。長く器用な指だ。さっきとは別人のように巧みにいいところを探り当て、絶妙のあんばいで刺激してくる。さっきジョーに教えられたことが、もうパーフェクトだ。
(うそ、この人、飲み込みが早い…)
中の弱いところをカリカリと弄られ、思わず腰が揺れた。
「あんっ、あっ、あっ…!」
「では、ここからはボクらが楽しませてもらいます」
脚を開かれ、頭を撫でられ、いきなり絶頂が始まった。
かわるがわるに犯す、と言った言葉のとおり、男たちは二人がかりで存分に蝶子を貪った。
そして充分に高められていた蝶子の身体は、貪られるのと同じくらいに自らも快楽を貪り、際限なく快感を弾けさせた。
涙でぐちゃぐちゃに歪んだ視界に、ステージライトが眩しく沁みる。
ああ、見られている。全部、彼に見られている。
そう思うとますます興奮した。くらくらと、めくるめく陶酔に包まれ、また弾ける。
背徳は蜜の味。
危険な遊びは、男と女を抜き差しならないところに追い込んでゆく。
大人のエロスを楽しむ禁断の社交場、裏サロン eclipse(エクリプス)。
今夜もまた、常識を捨て去った酒池肉林の夜が更けていく。
完
「ナミ、ナミ……」
「ずいぶん、よさそうですよね」
「う…」
「いきなりあんなすごいセックスを知ってしまって、奥さん、大丈夫ですかね」
「……」
「彼はね、この店のエースなんですよ。この人のからだをこんなにしたのもあの男でしてね」
「え?」
「この女性はとても知的な人でね、元はもっとストイックだったし、こういうことにも奥手だったんですが」
「あんっ」
ジョーにぴんと乳首を弾かれて、蝶子はビクビクと弾んだ。
「あ、またイキました。蝶子さん、あなたほんとに可愛いくなりましたね」とひとりごとのように呟き、耳たぶを撫でる。
「ね。あの男に大切に仕込まれて、こんなに可愛く素敵な女性になったんですよ」
「え…」
「ねえ、夫さん。いいことをお教えしますよ」
ジョーは夫に顔を寄せ、二人にしか聞こえない音量で囁いた。
「あの男はね、この女性に惚れてるんですよ」
「え?」
「本人は認めてませんがね。そして彼女も気づいてませんがね。でもだからね、あなたがこの女性を彼よりも善がらせてあげれば、彼へのいい意趣返しになると思うんですよ」
「意趣返し?」
「ええ。だってあなた、目の前で奥さんを寝取られてるじゃないですか? しかもあんな、あなたと経験したことがないようなすごいセックスですよね。これまで知らなかった快楽で、奥さんぐずぐすにされちゃったんですから。たしかにスワッピングをと来店されましたけれども、ここまでのおつもりではなかったのでは?」
「……」
「今まで普通のセックスしかされてこなかったでしょう? 失礼ですが、手練手管に長けておられるというわけでもなさそうです。今日はただ、ちょっとした好奇心から、少し刺激的な遊びをしてるのもいいかなと思われた。なのに奥さん、あんなに凄いことになってしまって。もうあなたに目も合わせないじゃないですか。…おっと、失礼!」
「いえ……」
夫は妻を見た。妻はDという男の上にまたがり、腰を振っていた。揺れる乳房を男が揉みしだいている。いつのまにか乳首が見たこともないほど勃起している。ぬらぬらと赤く鬱血したそこは、いったい男に何をどれだけされたのか。そしてどれほどの快楽だったのか。
「いろんな人を見てきましたが、ああなるともう普通のセックスではとうてい満足できないんです」
「それは…」
「今後もあなたが満足させてあげられるなら問題ない。でもそうでなければ、奥さんはきっとまたここに来てしまう」
「な」
「ここには、そんなお客様が幾らもいらっしゃいます」
「そんな…」
そんな話をしながらも、ジョーは蝶子を愛でつづけていた。そして、快楽だけを追い求めるとろけきった蝶子の姿をDからよく見えるようにして、今や自分が指先ひとつで彼女の心身を支配していることを見せつけてもいた。蝶子を焦らすのも、泣かせるのも、イカせるのも、ジョーの思うままだった。
蝶子は相変わらず自分をわかっていない。めっぽう口が弱いくせに、それで何度も失敗しているくせに、またもや男の甘言にのせられてうっかり唇を許したがために、手もなくこの有様だ。可哀想な蝶子は、今ならどんな命令にも従うだろう。
「もうひとつ言うと、彼はボクが育てたんです。だから彼が奥さんに何をどうしてるか、ボクには手に取るようにわかります。だからね、それと同じことをこのひとにね」
夫は啜り泣きながら、深くうなずいた。
「さあ、ボクの言うとおりに。3人で気持ちよくなりましょう」
「くそぅ」
「蝶子さん。待たせましたね。あなたの欲しいコレをあげますよ。ボクとこの夫さんでかわりばんこにね」
「もういいから、はやく……」
「ね、Dが見てますよ。凄い顔をしています。ああ、おっかないなぁ」
「Dが…」
「ええ、見てますよ。というか、ずっと見てましたね。あなたがあえなく完堕ちして、ボクらに散々イカされて、二人がかりでぐちゃぐちゃにされるのを、ずーっと凄い目で見てました。この人の奥さんをぐちゃぐちゃに抱き潰しながらね。きっとハラワタ煮えくりかえってることでしょう」
「ふふ。最高」
「この後も見せつけてやりましょう。今からボクら二人で、代わりばんこにあなたを犯しますね。ね、普通にヤルより、奴にはそういうプレイの方がキクでしょう?」
「さすが、わかってるわね」
「それに蝶子さん、あなたもね。だからしつこくネチネチいきますよ。覚悟してくださいね」
「誰に言ってるの?」
「あは、知りませんよ、そんな強気なこと言って。それとも、またキスして黙らせてほしいんですか?」
「ちょっと!」
「はは、冗談ですよ。あ、でもおクチはね、使ってもらいます」
「……」
「Dがいちばん嫌がるのが、あなたのおクチが犯されることなので。それをあいつの目の前で、ね?」
「まあいいけど、別に…」
「蝶子さん、そういうとこですよ」
「なにが」
「最高に可愛いってことですよ」
それを合図に、ジョーの指が蝶子の口に侵入してきた。
「ん、く、は…」
夫は下を指で掻き回している。長く器用な指だ。さっきとは別人のように巧みにいいところを探り当て、絶妙のあんばいで刺激してくる。さっきジョーに教えられたことが、もうパーフェクトだ。
(うそ、この人、飲み込みが早い…)
中の弱いところをカリカリと弄られ、思わず腰が揺れた。
「あんっ、あっ、あっ…!」
「では、ここからはボクらが楽しませてもらいます」
脚を開かれ、頭を撫でられ、いきなり絶頂が始まった。
かわるがわるに犯す、と言った言葉のとおり、男たちは二人がかりで存分に蝶子を貪った。
そして充分に高められていた蝶子の身体は、貪られるのと同じくらいに自らも快楽を貪り、際限なく快感を弾けさせた。
涙でぐちゃぐちゃに歪んだ視界に、ステージライトが眩しく沁みる。
ああ、見られている。全部、彼に見られている。
そう思うとますます興奮した。くらくらと、めくるめく陶酔に包まれ、また弾ける。
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