あなたの人生 高価買取します

交換の相手

「斎藤さん、あなたの人生を購入したいという人が現れ、脳の交換を希望されております。」

お姉さんの言葉に、俺は


「こんな腐った男の人生を誰が買うんですか。

死にかけのおじいさん？」

まだ半信半疑で、お姉さんに言った。


「そんな事はありません。
斎藤さんは、年齢もまだ二十歳で、体も健康です。
希望者はたくさんいますよ。」


「信じられないですけど。

その奇特な方はどなたですか？」


「ファイルをお見せします。

ただ、まだ契約前ですので、個人名、顔写真、住所などの情報は伏せておりますので、ご了承下さい。」



「わかりました。お願いします。」

俺がそう言うと、お姉さんはファイルを手渡してきた。



「えっ…」


俺は、そのファイルの1ページ目を見て、思わず声を上げてしまった。



「女性ですか？」


顔写真はぼかされていたが、まあまあ若めの女性であった。

老人一択と思っていただけに、本当にこれは意外だった。


年齢は35歳　既婚　子供が二人いる。詳しくは書いていないが、ところどころに金持ちな雰囲気が漂っている。


「お相手の方は女性です。
あなたのプロフィール、負債の金額など、詳細を伝えさえていただいています。」


ふーん、俺の個人情報の詳細は相手に伝えるんだ…

まあ、向こうはお客さんだから仕方ないか…