あなたの人生 高価買取します

条件の条件

「斎藤さん

どうされますか。」

お姉さんは、相手との契約をどうするか、俺に質問してきた。


「僕でよろしければ、全然構いませんが…

一つお聞きしてもいいですか。」


「どうぞ。」


「詳細は言えないと思うので、可能な範囲でいいんですけど…

お相手の方はご病気なんですか？」


「病気？」


「はい。

余命あと僅かなのかなと思いまして。」


「いえ、生命にかかわる事は、隠してはいけない決まりとなっていますので、そちらのファイルに記載しております。

病歴、現在罹患している病気もありません。」



「そうなんですか…

じゃあ、なんで…」



「弊社のお客様は様々な方がおられます。

考え方もそれぞれあります。」



「そんなものですか…


理解致しました。


このお話をお受け致します。」



「有難うございます。

早速お相手の方にお伝え致します。

契約成立次第、先方の詳細をお渡しします。

その後、こちらで対面いただき、問題がなければＢＲＰＭを受けて頂きます。」



「わかりました。

宜しくお願い致します。」


俺は、お姉さんに頭を下げた。


俺の腐ったこの人生

全然惜しくなんかない。

勿論、寂しさもないし、悲しみもない。

俺には恋人もいなければ、友達すらいないのだから。

要らない人間が消えるだけのこと


でも、それは俺の精神が肉体から消えるだけで、俺の肉体は買ってくれた人が上手く導いてくれることだろう。