剣しか取り柄がないという事で追放された元冒険者、辺境の村で魔物を討伐すると弟子志願者が続々訪れ剣技道場を開く

burazu

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追放されてからの生活

稽古に工夫

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 パルプ道場が完成し、シーナとジョーンも剣の稽古にしっかりと励んでいるし、基礎的な修行や俺との実戦訓練ばかりじゃあ少し単調になってくる頃だろうし、少し稽古に工夫を凝らしてみるか。

「シーナ、ジョーン、2人共少し止まってくれ」
「はい」
「おう」
「2人共、結構真面目に剣の稽古に取り組んでくれてはいるが、今のメニューだけでは単調だろうしちょっと工夫を凝らしてみようと思う」

 俺が工夫を凝らしてみると発言するとその事に疑問を抱いたシーナがその疑問をぶつける。

「あの、師匠、稽古に工夫を凝らすと言っても具体的にはどのようにするんですか?」
「うん、シーナもジョーンも元々得意武器があるし、それもメニューに取り入れようと思う」
「え?いいんですか?ここって剣術道場のはずなのに」
「確かに剣術道場とは名のっているが、そこまで細かくこだわる必要はないかと思ってな、だけど、さすがに道場内で本物を使うのはまずいから、また安全なやつを作らないとな」

 2人の得意武器の稽古の為に木などを使ってまた新しいものを作ると発言すると今度はジョーンが疑問をぶつけてきた。

「俺としては槍の稽古もできるのはありがてえが、いくら単調になるからって、なんでそんな稽古メニューを組み入れたんだ?」
「ああ、シーナはエルフだし、また森で過ごす事もあるから弓の腕は鈍らせちゃあいけないと思ってな、ジョーンにしてもまた傭兵に戻るなら、槍の練度も上げた方がいいだろう?」
「そういう事か、なかなか粋な師匠だな、それであんたは弓や槍に詳しいのか?」
「いや、全く、だから時間だけは決めるが稽古内容は2人に任すよ」

 稽古時間こそ俺が決めるが、内容を任せると言った時の2人の表情が一瞬あっけにとられたような表情をするが、すぐに俺に対して返答をする。

「い、いいんですか?自由にさせてくれるのはありがたいんですが、師匠はこの剣術道場の師範なのに」
「そうだぜ、いや別に俺達だって技術的なアドバイスは求めてねえが、もう少しなんていうかよ……」
「シーナ、ジョーン、俺は最初に2人にはのびのびと剣を学んで欲しいと言った。もちろん俺が定めたメニューはこなして欲しいが、このままじゃあ2人共剣ばかりになると思ったから、少しでもこういう時間を作らないとしないんじゃないかと思ってな」
「師匠、やっぱり優しいですね」
「気前が良すぎる気もするが、そこまで言ってくれるなら、遠慮なくさせてもらうぜ、あ、アドバイスはいらねえから稽古は見届けろよな。師匠の義務だろう」

 ジョーンに言われるまでもなく見届けるつもりだったさ、この工夫を提案したのは俺なんだからな。
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