美少女救済作戦~30歳男、異世界TS転生で美少女チート勇者になり、 美少女救済に立ち上がってみる

MINATSUKI

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96 戦いの後で (6)

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***
 
 
 「……クレイア、」と、苦く微笑むマミに、
クレイアが、黒髪の男を見据えながら、「……こんな奴の為に、
神を超えた勇者のマミさんが手を穢す必要なんて無い。
こういう奴を殺す為に、暗殺者のわたしがいる。」と。
 
 黒髪の男が、どこか狼狽えた様に、震える。
本当に覚悟が出来ている眼ではない。
 
 「…クレイア、」と、マミが、「……誰も殺していない相手を
殺した事が無いのは、クレイアもだろ…?、
それが、きみの誇りでもあり、
きみの事をみんなが信じている理由でもあるはずだ。
だったら、きみにこいつを殺させる訳にはいかない。」と。
 
少し苛立つ様に、「…こいつを生かしておく訳にはいかないの…!。」と、
言い張るクレイアに、
マミが、「…クレイア……」と、クレイアの肩をそっと抑えながら。
 
 クレイアが、思わず、どこか切なげに、「…こんな奴に、
マミさんの手を穢させる訳にも、マミさんを貶めさせる訳にも、
マミさんの幸せを壊させる訳にもいかないの……!!!!、
…こういう言い方はマミさんに悪いとも思うけど、
マミさんはもう希望なの…!!!!、
エルクヴェリアの希望だし、エルクヴェリアだけの希望じゃない、
宇宙の希望でもあるの……!!!!、
言っちゃ悪いけど、希望であるマミさんには
自分の手を穢す権利なんてもう無いの……!!!!、
……わたしにとっても、マミさんは……!!!!、
…だったら……!!!!」と、マミの瞳を見詰めて。
 
 ミーユが、フレナが、フィリスが、マリンが、
言葉を失くしたまま、クレイアとマミを見詰めている。
 
 マミが、クレイアの瞳を見詰めて、「…クレイア、
凶悪殺人者でない限りは決して殺さない、それは、
きみがきみのご両親から受け継いだ志なんだろう…?。
だったら、その志に反する様な真似をきみにさせる訳にはいかない。
そんな事をさせてしまったら、きみのご両親に申し訳が立たない。
…それは、クレイアの家族として、おれにとって譲れない一線だよ。」と。
 
 思わず、クレイアの瞳に涙が浮かんで、「…でも、
こんな奴を生かしておく訳には……!!!!」と。
 
 不意に、竜族皇帝レイミナが、黒髪の男を見据えて、「…僭越ですが、
この者は私に殺させて頂けませんか……?」と、マミとクレイアに。
 
 「…!!」クレイアが、思わず震えて、
マミが、「…陛下。」と、苦く微笑み、
レイミナが、「……綺麗事だけで竜族皇帝を務めているつもりは
ありませんよ。エルクヴェリアの災いを放置しておく訳にもいきませんしね、
竜族皇帝としても。…まあ、手を穢した事で皇帝にふさわしくないと
見做される様ならアリテアなりフレナなり皇帝家に養子縁組という形で
皇位を譲るという手も有りますし。」と、微笑みつつ、
ただ鋭いというだけでは表現し切れない瞳で。
 
 フレナが、「…駄目ですよ、陛下。…わたし、こんな事で
竜族皇帝の座に就きたくなんてありませんから。」と、苦く微笑み、
レイミナが、「…私を止めようという気持ちはうれしいんだけど…、
…フレナ、あなたに他に名案が有りますか…?、
…代案無しの批判を私が認めた事が有りますか……?」と。
「……!」フレナが、思わず言葉を失う。
 
 「…陛下、」と、それでもレイミナを止めようとするマミに、
レイミナが、「…マミ様、私に殺させて頂けませんか…?、
…何よりもこの者は、私の逆鱗に触れましたから……。」と。
 
 黒髪の男を除く周囲の一同が、震える。
「竜族の逆鱗に触れる」という事が、どういう事が、
誰もが知っているから。
まして皇帝の逆鱗に触れたとなれば。
「……!!!!」黒髪の男だけは、その意味を分からず、
ただ異様な何かをレイミナに感じて、怯え、震えている。
 
 「…陛下、」と、敢えてマミが口を開く。「…お気持ちは
とても有難いのですが、ここは、わたしに任せて頂けませんか…?。
…これは、勇者として、わたしが向き合わなければならない事でもあります。
…それに、この者は、地球人で日本人でもありますから、
…元は地球人で一日本人水野正美であった身としても、
わたしはこの者に向き合わない訳にはいきません。
……今まで一度たりとも手を穢した事など無い陛下に
手を穢させるのは、わたしとしても不本意です。」と、苦く微笑んで。
 
数瞬、間が有って、
 
ふと、レイミナが、少女の様に、「…だめ、
レイミナって呼んで下さらないと言う事聞きませんから。」と、
敢えて拗ねてみせて、
苦笑しつつマミが、「…じゃあ、
レイミナ、ここはおれにやらせて。」と、静かに、明確に、告げて、
レイミナが、「はいマミ様…!」と、敢えて無邪気に微笑み、
フレナが些かの頭痛に頭を押さえてみせる。
 
 あらためて、マミの瞳が、黒髪の男の瞳を、見詰める。
「……!!!!」なぜか、黒髪の男が、たじろいで、震える。
 
 「……いろんな事言ってたけど……」と、マミが、黒髪の男に、
静かな瞳で、「……それが、お前の本心か……?」と。
 
 「……何が言いてえ!!!!?、糞が!!!!、
死ね!!!!、死ね!!!!」激昂する黒髪の男に、
 
 無造作に差し伸べる様なマミの手指から、
虹色の光粒子が、放たれて。
 
 不意に、唐突に、黒髪の男が、「……なんで俺ばっかり
みじめでいなきゃいけないんだよ!!!!!!!!?。
どいつもこいつもみんなみじめになりやがれ!!!!!!!!」と、
ほんのわずかの涙も瞳に浮かんでいないのに、
なぜか泣いてでもいる様に、
激昂して。
 
 クレイアが、「……偉そうにいろいろ言ってたけど、
結局、本心は妬みと僻みだった、…って事……?」と、
蔑む瞳で。
 
 レイミナが、「……こんな奴の為にマミ様の御手を煩わせるより、
やっぱり私が殺した方が……」と、口にして、
 
 不意にミーユが、「…陛下…!」と、レイミナに、
「……なぜだか解らないんですけど、なにか、違和感が……」と、
困惑した表情で。
 
 クレイアが、レイミナが、フレナが、一同が、
思わずミーユを見詰め、黒髪の男を見詰めて、戸惑って。
 
 マミが、なんとなく苦く微笑んで、
黒髪の男に、「……それがお前の本心か……?」と。
 
 「……何が言いてえ!!!!!!!!?」と、
またも黒髪の男が激昂して。
 
 マミが、手指から虹色の光粒子の奔流を放って、「……これが、
お前の処分だ。
……おれに思い付く事の出来た、唯一の手段だよ……。」と。
 
 虹色の光粒子が、黒髪の男を包み込む。
 
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