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34.遅れて来た初恋が暴れ狂っている。
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正式に付き合い始めてから基臣が仕事を終えた後に向かう先は自宅ではなく薬師の診療所になった。
それでもまだ二人の仲は軽くキスなどはするものの至ってプラトニックである。
クレイヴァルとの関係に関して色々と考えるようになった基臣だったが、自分の今までの交際経験を思い起こすと如何に相手頼みと言うか……主体的に生きて来たつもりだったがこと恋愛面に関するスキルが皆無であることを痛感する毎日だ。
「どうした?」
食事を終えていつものソファーに並んで座るとクレイヴァルが穏やかな声と表情で優しく聞いてくる。
そのスマートとも言える振る舞いは基臣のコンプレックスを刺激するのではなく、別の疑問を産み出し日々悩みの種を増やしているのだ。
「いや……あの別にどうってことじゃないんだけど」
「そうか? 何か思うところがあるならいつでも聞くが」
涼しい顔で言われて基臣は内心複雑だ。
優しくて基臣の気持ちが追い付くのを待ってくれているのであろうクレイヴァルの余裕が最近ちょっと気に入らない。
だってその余裕の出所を探すと確実に「昔の恋人」やそれに類似する存在が出て来る可能性が極めて濃厚だからだ。
そしてそうなると基臣は自分自身が平然と口にしていた「女性としか付き合ったことがない」的な無神経極まりない言葉を思い出してこっそり悶絶する。
アデリー先生は「話し合えば良い」と言った。……確かにそれは基臣も全面的に賛成だ。
だって自分達は生まれも育ちも種族も年齢も全く違っている。
だから物わかりの良いフリをして違和感に目を瞑り時間だけを重ね、その結果生まれたすれ違いが決定打にならない内に色々と話し合っていた方が良いことだらけなことは明白だ。
「あ、あの……さ」
「どうした?」
静かに自分の言葉を待つクレイヴァルを見て基臣は自分の情けなさに泣きたくなる。
だってこれだけ協力的な相手を目の前にしても「話し合い」に持ち込む流れすら基臣は作り出せない。
それが情けないし、仮に聞いてその上でクレイヴァルの口からハッキリと「番いはしなかったが〇年付き合った人間が〇人いた」とか言われた日にはもう平常心を保てる自信がない。
――そう、つまりはそこだ。
基臣は自分で思っていた以上にクレイヴァルのことが好きで、自分のことは棚に上げてクレイヴァルの過去を受け止める自信がない。
遅れて来た初恋の凶悪なまでの破壊力の前では今までの全てが無力である。
この世界での『高魔力保持者』の持てる者の苦悩的な立ち位置を考えると、童貞説が有力だが……そんな保証が何処にある?
クレイヴァルの種族は本能に振り回されることなく『番』を理性で定める、とは前々から知っているから仮説を立てると『肉体関係を持つに至る相手と巡り合っていたが種々様々な事情により番うに至らなかった』――という可能性だってゼロではない。
いや、健全な精神と肉体を持つ成人男性に性欲があるのは普通だ。自然だ。寧ろない方がおかしい。
基臣だって童貞ではないし、元彼女だってそれなりにいた。
しかし『だから』こそ強く思うことがある。
自分でも女々しいと嫌と言うほど理解していることがある。
「随分思い悩んでいるように見える。何か負担や不安があるか?」
「……」
静かな声で言いながら自分の顔を覗き込んで来たクレイヴァルを見て基臣はまた自分本位の行動を恥じた。
クレイヴァルが優しいから踏み込んで来ないだけで、付き合い始めの一番楽しいであろう時期に相手が何かを思い悩んでいる様子だったら誰だって嫌だろう。
そこにようやく気付いた基臣は自分のちっぽけなプライドを自覚無く明後日の方向に放り投げていた。
「俺、多分お前の事すげぇ好きで」
「……うん?」
突然始まった基臣の熱烈な告白としか聞こえない言葉に、それまで平静を装いつつ内心とても緊張していたクレイヴァルの口から思わず普段は出ない間抜けな声が出た。
しかし基臣は何やら深刻な顔をしているのでクレイヴァルは理性総動員で聞くに徹する。
最近基臣が不意に考え込む様子が心配だったのは事実だ。
『ヒト』かつ『女性』としか交際経験のない基臣がふと我に返ってしまったのでは? という心配はなかなかに苦しかったこともまた事実なので本人が素直に白状してくれるのは素直にありがたい。
静かに続きの言葉を待っていると、基臣は「あー」とか「うー」とか仕事中はまず出ることのない言葉を発しながら続けた。
「お前がなんか色々慣れてるの……嫌なんだ」
「慣れ?」
「分かってる。分かってるんだ、俺だってそれなりの歳の大人だし自分だって今まで生きて来たから分かるんだ! でもなんかすげぇ嫌なんだよ! この感情の落としどころが分からなくて今混乱してるだけだから、お前は悪くない」
いつもより早口でそう言い切った基臣を見詰めてクレイヴァルは少し首を傾げたが、せっかく基臣が心の中に秘めていた事情を明かしてくれたのならきちんとそれらを受け止めて解決の糸口を探る以外の気持ちが無いので続ける。
「俺が何に慣れているか確認したい」
「……え?」
「……ん?」
静かなクレイヴァルの声に基臣が唖然としていると長い指が伸びて来て基臣の少し乱れた前髪を耳の方に流す。
その躊躇いのない動作と力加減という一連の流れを見て「コレだよ!」と内心思った基臣はクレイヴァルの指を思い切り自分の指でさす。
「まさにコレとかな!」
「前髪を寄せただけだろう? せっかくの瞳が見えなくなる」
「そういう言動もな?!――こういうのは、日本じゃ余程のイケメンかホストしか許されねえんだよ!」
「そうか。すまないが『いけめん』と『ほすと』について解説してくれ」
静かにそう返されて基臣が止まる。
クレイヴァルの言葉は客観的に見れば今の会話の流れでおかしい。でも、それはあくまでも日本基準だ。
クレイヴァルはきっとクレイヴァルなりに自分のことを理解しようとしてくれているから知らない単語があれば確認してくれる――ただそれだけなのだろう。
「『イケメン』は……なんだ、カッコいい男のことだ。あと『ホスト』は……なんだろうな? 顔が良くて喋りの上手い……男が女性を接客する店に勤めている奴のこと、だな」
「それは娼館に準ずる店か?」
「こっちの風俗に俺は行ったことがないけれど、『ホスト』は性的サービスメインじゃなくてあくまでも『喋り』で女性を楽しませる店だと俺は認識している」
基臣の説明を最後まで真面目な顔で聞いていたクレイヴァルは不思議そうにまた首を傾げた。
「恋人の瞳が見たくて邪魔な髪を寄せることが……何故『ほすと』になる?」
真っすぐな瞳で見据えられてそう問われた基臣は思わず言葉を失う。
――論点がズレている。それも、結構盛大に。
基臣が今したいのはこんなどうでも良い話ではないのだが、徐々に近付いてくる濃い灰色の瞳から視線を逸らせない。
そして軽く重なった唇が離れた直後、クレイヴァルは少しだけばつの悪そうな顔をして言った。
「すまない、真面目な話の途中だったな」
「いや……お前、だから……」
――俺が伝えたい『慣れてる』って……まさにこういうところなんだよ。
分かるか?
それでもまだ二人の仲は軽くキスなどはするものの至ってプラトニックである。
クレイヴァルとの関係に関して色々と考えるようになった基臣だったが、自分の今までの交際経験を思い起こすと如何に相手頼みと言うか……主体的に生きて来たつもりだったがこと恋愛面に関するスキルが皆無であることを痛感する毎日だ。
「どうした?」
食事を終えていつものソファーに並んで座るとクレイヴァルが穏やかな声と表情で優しく聞いてくる。
そのスマートとも言える振る舞いは基臣のコンプレックスを刺激するのではなく、別の疑問を産み出し日々悩みの種を増やしているのだ。
「いや……あの別にどうってことじゃないんだけど」
「そうか? 何か思うところがあるならいつでも聞くが」
涼しい顔で言われて基臣は内心複雑だ。
優しくて基臣の気持ちが追い付くのを待ってくれているのであろうクレイヴァルの余裕が最近ちょっと気に入らない。
だってその余裕の出所を探すと確実に「昔の恋人」やそれに類似する存在が出て来る可能性が極めて濃厚だからだ。
そしてそうなると基臣は自分自身が平然と口にしていた「女性としか付き合ったことがない」的な無神経極まりない言葉を思い出してこっそり悶絶する。
アデリー先生は「話し合えば良い」と言った。……確かにそれは基臣も全面的に賛成だ。
だって自分達は生まれも育ちも種族も年齢も全く違っている。
だから物わかりの良いフリをして違和感に目を瞑り時間だけを重ね、その結果生まれたすれ違いが決定打にならない内に色々と話し合っていた方が良いことだらけなことは明白だ。
「あ、あの……さ」
「どうした?」
静かに自分の言葉を待つクレイヴァルを見て基臣は自分の情けなさに泣きたくなる。
だってこれだけ協力的な相手を目の前にしても「話し合い」に持ち込む流れすら基臣は作り出せない。
それが情けないし、仮に聞いてその上でクレイヴァルの口からハッキリと「番いはしなかったが〇年付き合った人間が〇人いた」とか言われた日にはもう平常心を保てる自信がない。
――そう、つまりはそこだ。
基臣は自分で思っていた以上にクレイヴァルのことが好きで、自分のことは棚に上げてクレイヴァルの過去を受け止める自信がない。
遅れて来た初恋の凶悪なまでの破壊力の前では今までの全てが無力である。
この世界での『高魔力保持者』の持てる者の苦悩的な立ち位置を考えると、童貞説が有力だが……そんな保証が何処にある?
クレイヴァルの種族は本能に振り回されることなく『番』を理性で定める、とは前々から知っているから仮説を立てると『肉体関係を持つに至る相手と巡り合っていたが種々様々な事情により番うに至らなかった』――という可能性だってゼロではない。
いや、健全な精神と肉体を持つ成人男性に性欲があるのは普通だ。自然だ。寧ろない方がおかしい。
基臣だって童貞ではないし、元彼女だってそれなりにいた。
しかし『だから』こそ強く思うことがある。
自分でも女々しいと嫌と言うほど理解していることがある。
「随分思い悩んでいるように見える。何か負担や不安があるか?」
「……」
静かな声で言いながら自分の顔を覗き込んで来たクレイヴァルを見て基臣はまた自分本位の行動を恥じた。
クレイヴァルが優しいから踏み込んで来ないだけで、付き合い始めの一番楽しいであろう時期に相手が何かを思い悩んでいる様子だったら誰だって嫌だろう。
そこにようやく気付いた基臣は自分のちっぽけなプライドを自覚無く明後日の方向に放り投げていた。
「俺、多分お前の事すげぇ好きで」
「……うん?」
突然始まった基臣の熱烈な告白としか聞こえない言葉に、それまで平静を装いつつ内心とても緊張していたクレイヴァルの口から思わず普段は出ない間抜けな声が出た。
しかし基臣は何やら深刻な顔をしているのでクレイヴァルは理性総動員で聞くに徹する。
最近基臣が不意に考え込む様子が心配だったのは事実だ。
『ヒト』かつ『女性』としか交際経験のない基臣がふと我に返ってしまったのでは? という心配はなかなかに苦しかったこともまた事実なので本人が素直に白状してくれるのは素直にありがたい。
静かに続きの言葉を待っていると、基臣は「あー」とか「うー」とか仕事中はまず出ることのない言葉を発しながら続けた。
「お前がなんか色々慣れてるの……嫌なんだ」
「慣れ?」
「分かってる。分かってるんだ、俺だってそれなりの歳の大人だし自分だって今まで生きて来たから分かるんだ! でもなんかすげぇ嫌なんだよ! この感情の落としどころが分からなくて今混乱してるだけだから、お前は悪くない」
いつもより早口でそう言い切った基臣を見詰めてクレイヴァルは少し首を傾げたが、せっかく基臣が心の中に秘めていた事情を明かしてくれたのならきちんとそれらを受け止めて解決の糸口を探る以外の気持ちが無いので続ける。
「俺が何に慣れているか確認したい」
「……え?」
「……ん?」
静かなクレイヴァルの声に基臣が唖然としていると長い指が伸びて来て基臣の少し乱れた前髪を耳の方に流す。
その躊躇いのない動作と力加減という一連の流れを見て「コレだよ!」と内心思った基臣はクレイヴァルの指を思い切り自分の指でさす。
「まさにコレとかな!」
「前髪を寄せただけだろう? せっかくの瞳が見えなくなる」
「そういう言動もな?!――こういうのは、日本じゃ余程のイケメンかホストしか許されねえんだよ!」
「そうか。すまないが『いけめん』と『ほすと』について解説してくれ」
静かにそう返されて基臣が止まる。
クレイヴァルの言葉は客観的に見れば今の会話の流れでおかしい。でも、それはあくまでも日本基準だ。
クレイヴァルはきっとクレイヴァルなりに自分のことを理解しようとしてくれているから知らない単語があれば確認してくれる――ただそれだけなのだろう。
「『イケメン』は……なんだ、カッコいい男のことだ。あと『ホスト』は……なんだろうな? 顔が良くて喋りの上手い……男が女性を接客する店に勤めている奴のこと、だな」
「それは娼館に準ずる店か?」
「こっちの風俗に俺は行ったことがないけれど、『ホスト』は性的サービスメインじゃなくてあくまでも『喋り』で女性を楽しませる店だと俺は認識している」
基臣の説明を最後まで真面目な顔で聞いていたクレイヴァルは不思議そうにまた首を傾げた。
「恋人の瞳が見たくて邪魔な髪を寄せることが……何故『ほすと』になる?」
真っすぐな瞳で見据えられてそう問われた基臣は思わず言葉を失う。
――論点がズレている。それも、結構盛大に。
基臣が今したいのはこんなどうでも良い話ではないのだが、徐々に近付いてくる濃い灰色の瞳から視線を逸らせない。
そして軽く重なった唇が離れた直後、クレイヴァルは少しだけばつの悪そうな顔をして言った。
「すまない、真面目な話の途中だったな」
「いや……お前、だから……」
――俺が伝えたい『慣れてる』って……まさにこういうところなんだよ。
分かるか?
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