千年経ったら花畑~親から拒絶された人間が、他人に受け入れられるはずがない――深い絶望を抱きつつ、何食わぬ顔で生きる男の、救いと開放の物語~

建設会社勤務の宮坂は、ゲイという理由だけで親から勘当され、親族からもその存在を消されていた。このことは同僚で親友の石倉だけが知る秘密。けれど宮坂の恋人、羽田の存在までは知らない。宮坂が羽田の立場を気遣い、隠しているからだ。また、親族で唯一励まし続けてくれた祖母は一年前に他界。その際に宮坂は家族からの陰湿な仕打ちによるショックも重なり、祖母の死を知った直後の数日間の記憶を消失している。それ以降、宮坂は深い孤独と疎外感にさいなまれながら上司の藤野と仕事に打ち込む。一方、支店から転勤して来た田島は出世に異常な執着を見せ、社長や取締役達に取り入る。加えて、工事物件の横取りや積算金額の改ざん、女性社員への嫌がらせなど、卑劣な行為は事欠かない。そんな田島が、日頃から積算の件で対立している藤野を失脚させようと宮坂に近づく。だが藤野を尊敬する宮坂は相手にせず不発に終わる。すると今度はこの報復とばかりに宮坂を潰そうと画策し、宮坂の「秘密」をどこからか探り出して社内で吹聴して回る。これを知った宮坂は絶望のあまり卒倒し、病院へ搬送される――

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