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ゲオルクがやさしい眠気から目を覚ますと、誰かの背中で揺られていた。
橙色の光が足元を照らす。夜の道らしい。湿った土を踏む音と、カンテラの金属がからからと揺れる音と、誰かの血液が流れる音が一緒に聞こえていた。
「起きたか?」
みじろぎすれば、ゲオルクの体を背負っていた男がほのかに笑いを交えて聞いてきた。起きた、と素直に答えれば、もう少しで宿屋に着くと言う。その言葉を聞いて早いなとだけ思い、しばらくその歩くのに任せていた。
次第に意識がはっきりしてきて、流石におかしい、と気がつく。今までの旅程を考えれば、数日歩かないと宿屋には着くはずがない。
「迷いの森は、ドライアドが協力してくれたんだ。お前が邪魔な竜を殺したから、その礼に」
「意思疎通出来るのか?」
朝方のこれと同じことを聞いてしまった、とゲオルクは後悔する。が、コルヌはそれを持ち出すことなく出来ない、とあっさり答えた。
「でも俺はテイマーだからな、習性から鑑みて、多少言いたいことがわかるくらいだ。魔物研究さまさまだな!」
学院都市にお礼状を書かないとと陽気に言うので、本当にこの男は今日致命傷を負ったのかと不思議になってくる。もしくは戦闘中竜淋病に感染したか。半眼になるゲオルクを放っておいて、機嫌のいいらしいコルヌは今日あった奇跡とやらをつらつらと語ってくれた。
「そんで外に出たら、昨日引っ掛けておいた冒険者がまだいたから降ろして回復してやったんだ。ちょうどドライアドからポーションをもらっていて、俺はもうすっかり体力も戻ってたからさ」
何だそれは、と思い返すが記憶がない。
「覚えてねーの? 昨日ドライアドの解説しながら引っ掛けてた、あの人だよ」
「お前がドライアドでも何でもない木の根に転んでたのは覚えている」
「何でそんなことばっか!」
と言いながら、それは少しだけだが記憶の片隅にあった。ドライアドのからかいで遭難させられた新人を、はやにえのように木に括り付けておいたのだ。どうやら入り口の方に移動は出来たらしいが、珍しいことに宿屋から回収が来ていない。
「そしたらいたく感謝されて、宿屋の近くまで飛んで送ってくれたんだよ。その人はまた森に挑戦するらしいけど」
追加された情報に思わず瞠目する。今まで多くの遭難した新人は見てきたが、その日のうちにまた挑む人間は初めて──直接見てはいないが──見た。普通は食糧も英気も尽きているので調達しに宿屋に戻るのだ。
「正気か?」
「変な奴もいるもんだよな……」
遭難者とてゲオルク達に言われたくはないだろうが、運の悪いことにそういう思考を持つ人間はここには居なかった。
そうこうしているうちに、遠くの方にカンテラと同じ橙色の光が見えてくる。夜の街道にぽつんと佇む光はよく目立った。
「宿屋だ!」
コルヌの足が早まる。上下に激しく揺られることとなったゲオルクも、一瞬だけ安心しかけて。
それがいつものものとは違うことに──ひどく懐かしい気配のすることに、気がつく。
「……!」
遠い光だ。気のせいとも思える、事実コルヌはまだ呑気に疲れたなぁと笑っていた。しかし嫌な予感は拭えない。どうして、と理不尽に嘆く子供が視界の端に映った気がして、ゲオルクはコルヌを振り払い走り出した。
「っ、おい、ゲオルク!?」
睡眠を経たことによってある程度回復したらしい体は軽かった。けれどその軋みに意識を割くほど余裕があったわけでもない。足を動かせば動かすほど夜の景色が流れ、飛ぶように過ぎていき、代わりに灯火の正体がはっきりと輪郭をもつ。
ぱち、と火花が弾けた。そこからは叫び声が絶えず聞こえてきていた。誰かが混乱したように水の魔法を唱えて、精神が揺らいでいるからこそ魔力が上手く練れないでいる。
火傷の痕がひどく痛む。門をくぐり、結界を通れば、さらにその輪郭ははっきりした。
「早く、消火を!」「どうして、どうして」「あの中には魔導書が」「どけ、ああ私の薬草達!」「そんなことどうでも良いだろ! 中の人は無事なのか」「警備隊の到着はまだか!」「嫌よ嫌よ、せっかく宝物を奪えたのに!」
宿泊客らしい、冒険者だとか商人だとかが口々に自分勝手な思いを叫んでいる。押し合いへし合い屋敷の中に入ろうとするものだから、カンテラの光に惑わされて炎の中に身を投げる虫を何となく思い出す。
屋敷は燃えていた。
轟轟と、最期の命を燃やし尽くすようにただ、炎に巻かれ包まれている。その姿は刹那的で眩しくて、こんな炎でなければ美しいとすら思えるのだろうと感想を抱く。
その中心で、肉の焼けるような臭いがした。
「──ミスラ?」
女の笑い声は、妖精のような無邪気さを含んでいる。炎の中心で女が踊っているような気がした。憎悪を含んだ笑い声。滴るような美しい執念と怒りのもと。
ゲオルクはその女が、何にこうも笑っているのかがわからなかった。
子供が手遊びをするような、捨てられた女が男を殺すときのような、どちらともつかない、とにかく純粋ななにかを込めた笑い声が耳を犯す。
ざり、と砂利を擦るような音が聞こえた。
「……なんだ、これ……」
門の前。ゲオルクを追いかけて走ってきたらしいコルヌが、息を切らしていた。
「鳥頭」
「どういうことだ!? 何で屋敷が燃えて、ここのお嬢ちゃんは!」
無理もないが、コルヌは青ざめて矢継ぎ早に質問を投げかけてくる。聞かれたってゲオルクにはわからない。ただミスラのことを聞かれたのだろう、と判断し、多分中にいるとだけ応えを返す。
それがもっとも欲しくて、欲しくない答えだったのだろう。あからさまに絶望的な顔をして、コルヌはしゃがみ込んだ。
「……どう、して……」
そうして、何事か呟いていた。
それが王都の聖句だと理解するまで少し時間がかかる。
「鳥頭?」
そういう気質であるのは重々理解していたが、この男の博愛のようなものは少し話しただけの女にも向かうらしい。呆れようとして、その取り乱し方が異常だということに否応なしに思い至る。
「あの人はこれを、選んだのか」
驚くほど空虚な声だった。かみさまが何かを見届けて、それが不服だったときみたいな。干渉できない壁と不服さが同時に出た、とにかくコルヌという人間に見合わない、空虚さと諦観を煮詰めたような声でそう言った。
肩が跳ねる。なぜかそれが怖い、と感じた。
思わず目を逸らした先に、子供がいる。ミスラと目元がよく似ていた。今朝話していたインキュバスの、と思い至るその前に、子どもの表情がどこかの誰かによく似ていて。
「あ」
ゲオルクが言葉を漏らし、ようやくコルヌが子供に気がつく。しかしもう遅い。
子供はなんのためらいもなく、火に飛び込んだ。
「っおい!」
蝶が明るい場所に釣られて火に飛び込むように、子供も火に包まれるその瞬間にためらいがない。走って屋敷に入って行ったそれを止められる人は誰もおらず。
その背を追いかけたコルヌの腕を、ゲオルクは思わず掴んだ。ぎっ、と強い眼光で睨みつけられる。
「離せ!」
「……ッ」
焼け落ちていく屋根、焼けこげた両親、花の髪飾り。
「お前には、なにもわからない」
その中で炎に焼かれることひとつなかったあの、無力感も。一緒に死にたい、一人は寂しいと嘆いたこの心も。未だ見る夢の中に、炎に巻かれて死ぬ夢があることも。
──それが悪夢でないことも、何一つ解らないくせに。
「死んだ方が幸せなんだ」
口からこぼれ落ちていた。喘ぐように捲し立てる。
「生きていたって地獄を見る。お前が今助けたところで失ったものは変わらない、今死んで、隣で息をしない方が幸せなことだってある。幸福な記憶のまま、無力なまま、一緒にいたいと思うんだ。だから!」
「だから見捨てろって?」
冷えた声に気が付かず、そうだ、と言葉にする寸前。ぱしん、と何かが破裂する音と共に、頬に痛みが走った。
頬を平手で叩かれた、と理解する前に、鎮痛な──自分が焼かれたみたいな顔をするコルヌが、目に入って。
「出来るかよ、俺は大人だ」
その眼光と確固たる言葉に、身がすくんだ。教会の女神像を初めて見たときのような心地がゲオルクを襲う。
すくんだ拍子に腕を振り払われる。その瞬間コルヌはゲオルクに見向きもせず、誰も近づけない屋敷へと走って行った。
橙色の光が足元を照らす。夜の道らしい。湿った土を踏む音と、カンテラの金属がからからと揺れる音と、誰かの血液が流れる音が一緒に聞こえていた。
「起きたか?」
みじろぎすれば、ゲオルクの体を背負っていた男がほのかに笑いを交えて聞いてきた。起きた、と素直に答えれば、もう少しで宿屋に着くと言う。その言葉を聞いて早いなとだけ思い、しばらくその歩くのに任せていた。
次第に意識がはっきりしてきて、流石におかしい、と気がつく。今までの旅程を考えれば、数日歩かないと宿屋には着くはずがない。
「迷いの森は、ドライアドが協力してくれたんだ。お前が邪魔な竜を殺したから、その礼に」
「意思疎通出来るのか?」
朝方のこれと同じことを聞いてしまった、とゲオルクは後悔する。が、コルヌはそれを持ち出すことなく出来ない、とあっさり答えた。
「でも俺はテイマーだからな、習性から鑑みて、多少言いたいことがわかるくらいだ。魔物研究さまさまだな!」
学院都市にお礼状を書かないとと陽気に言うので、本当にこの男は今日致命傷を負ったのかと不思議になってくる。もしくは戦闘中竜淋病に感染したか。半眼になるゲオルクを放っておいて、機嫌のいいらしいコルヌは今日あった奇跡とやらをつらつらと語ってくれた。
「そんで外に出たら、昨日引っ掛けておいた冒険者がまだいたから降ろして回復してやったんだ。ちょうどドライアドからポーションをもらっていて、俺はもうすっかり体力も戻ってたからさ」
何だそれは、と思い返すが記憶がない。
「覚えてねーの? 昨日ドライアドの解説しながら引っ掛けてた、あの人だよ」
「お前がドライアドでも何でもない木の根に転んでたのは覚えている」
「何でそんなことばっか!」
と言いながら、それは少しだけだが記憶の片隅にあった。ドライアドのからかいで遭難させられた新人を、はやにえのように木に括り付けておいたのだ。どうやら入り口の方に移動は出来たらしいが、珍しいことに宿屋から回収が来ていない。
「そしたらいたく感謝されて、宿屋の近くまで飛んで送ってくれたんだよ。その人はまた森に挑戦するらしいけど」
追加された情報に思わず瞠目する。今まで多くの遭難した新人は見てきたが、その日のうちにまた挑む人間は初めて──直接見てはいないが──見た。普通は食糧も英気も尽きているので調達しに宿屋に戻るのだ。
「正気か?」
「変な奴もいるもんだよな……」
遭難者とてゲオルク達に言われたくはないだろうが、運の悪いことにそういう思考を持つ人間はここには居なかった。
そうこうしているうちに、遠くの方にカンテラと同じ橙色の光が見えてくる。夜の街道にぽつんと佇む光はよく目立った。
「宿屋だ!」
コルヌの足が早まる。上下に激しく揺られることとなったゲオルクも、一瞬だけ安心しかけて。
それがいつものものとは違うことに──ひどく懐かしい気配のすることに、気がつく。
「……!」
遠い光だ。気のせいとも思える、事実コルヌはまだ呑気に疲れたなぁと笑っていた。しかし嫌な予感は拭えない。どうして、と理不尽に嘆く子供が視界の端に映った気がして、ゲオルクはコルヌを振り払い走り出した。
「っ、おい、ゲオルク!?」
睡眠を経たことによってある程度回復したらしい体は軽かった。けれどその軋みに意識を割くほど余裕があったわけでもない。足を動かせば動かすほど夜の景色が流れ、飛ぶように過ぎていき、代わりに灯火の正体がはっきりと輪郭をもつ。
ぱち、と火花が弾けた。そこからは叫び声が絶えず聞こえてきていた。誰かが混乱したように水の魔法を唱えて、精神が揺らいでいるからこそ魔力が上手く練れないでいる。
火傷の痕がひどく痛む。門をくぐり、結界を通れば、さらにその輪郭ははっきりした。
「早く、消火を!」「どうして、どうして」「あの中には魔導書が」「どけ、ああ私の薬草達!」「そんなことどうでも良いだろ! 中の人は無事なのか」「警備隊の到着はまだか!」「嫌よ嫌よ、せっかく宝物を奪えたのに!」
宿泊客らしい、冒険者だとか商人だとかが口々に自分勝手な思いを叫んでいる。押し合いへし合い屋敷の中に入ろうとするものだから、カンテラの光に惑わされて炎の中に身を投げる虫を何となく思い出す。
屋敷は燃えていた。
轟轟と、最期の命を燃やし尽くすようにただ、炎に巻かれ包まれている。その姿は刹那的で眩しくて、こんな炎でなければ美しいとすら思えるのだろうと感想を抱く。
その中心で、肉の焼けるような臭いがした。
「──ミスラ?」
女の笑い声は、妖精のような無邪気さを含んでいる。炎の中心で女が踊っているような気がした。憎悪を含んだ笑い声。滴るような美しい執念と怒りのもと。
ゲオルクはその女が、何にこうも笑っているのかがわからなかった。
子供が手遊びをするような、捨てられた女が男を殺すときのような、どちらともつかない、とにかく純粋ななにかを込めた笑い声が耳を犯す。
ざり、と砂利を擦るような音が聞こえた。
「……なんだ、これ……」
門の前。ゲオルクを追いかけて走ってきたらしいコルヌが、息を切らしていた。
「鳥頭」
「どういうことだ!? 何で屋敷が燃えて、ここのお嬢ちゃんは!」
無理もないが、コルヌは青ざめて矢継ぎ早に質問を投げかけてくる。聞かれたってゲオルクにはわからない。ただミスラのことを聞かれたのだろう、と判断し、多分中にいるとだけ応えを返す。
それがもっとも欲しくて、欲しくない答えだったのだろう。あからさまに絶望的な顔をして、コルヌはしゃがみ込んだ。
「……どう、して……」
そうして、何事か呟いていた。
それが王都の聖句だと理解するまで少し時間がかかる。
「鳥頭?」
そういう気質であるのは重々理解していたが、この男の博愛のようなものは少し話しただけの女にも向かうらしい。呆れようとして、その取り乱し方が異常だということに否応なしに思い至る。
「あの人はこれを、選んだのか」
驚くほど空虚な声だった。かみさまが何かを見届けて、それが不服だったときみたいな。干渉できない壁と不服さが同時に出た、とにかくコルヌという人間に見合わない、空虚さと諦観を煮詰めたような声でそう言った。
肩が跳ねる。なぜかそれが怖い、と感じた。
思わず目を逸らした先に、子供がいる。ミスラと目元がよく似ていた。今朝話していたインキュバスの、と思い至るその前に、子どもの表情がどこかの誰かによく似ていて。
「あ」
ゲオルクが言葉を漏らし、ようやくコルヌが子供に気がつく。しかしもう遅い。
子供はなんのためらいもなく、火に飛び込んだ。
「っおい!」
蝶が明るい場所に釣られて火に飛び込むように、子供も火に包まれるその瞬間にためらいがない。走って屋敷に入って行ったそれを止められる人は誰もおらず。
その背を追いかけたコルヌの腕を、ゲオルクは思わず掴んだ。ぎっ、と強い眼光で睨みつけられる。
「離せ!」
「……ッ」
焼け落ちていく屋根、焼けこげた両親、花の髪飾り。
「お前には、なにもわからない」
その中で炎に焼かれることひとつなかったあの、無力感も。一緒に死にたい、一人は寂しいと嘆いたこの心も。未だ見る夢の中に、炎に巻かれて死ぬ夢があることも。
──それが悪夢でないことも、何一つ解らないくせに。
「死んだ方が幸せなんだ」
口からこぼれ落ちていた。喘ぐように捲し立てる。
「生きていたって地獄を見る。お前が今助けたところで失ったものは変わらない、今死んで、隣で息をしない方が幸せなことだってある。幸福な記憶のまま、無力なまま、一緒にいたいと思うんだ。だから!」
「だから見捨てろって?」
冷えた声に気が付かず、そうだ、と言葉にする寸前。ぱしん、と何かが破裂する音と共に、頬に痛みが走った。
頬を平手で叩かれた、と理解する前に、鎮痛な──自分が焼かれたみたいな顔をするコルヌが、目に入って。
「出来るかよ、俺は大人だ」
その眼光と確固たる言葉に、身がすくんだ。教会の女神像を初めて見たときのような心地がゲオルクを襲う。
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