絶命必死なポリフェニズム ――Welcome to Xanaduca――

屑歯九十九

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第02章――帰着脳幹編

Phase 216:脱出場

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《カクリキOT-7》皇国に本社を置く金剛杵産業が開発した人体密着型運動補助外骨格Sm。もとは軍部の要請で兵士の能力向上を図って作られたが、その後、性能を下げた製品が民間にリリースされ、好評を博した一方で、製品を利用した犯罪、特に暴力事件が頻発し、僧兵集団が武装に取り入れるなどの事態が発生した。











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 よしあった、とマシューが積み重なる物の間から引っ張り出したのは、チューブと金属のフレームで筋肉の装甲を支えたような器具。それを頭から被って袖を通し、腰から垂れ下がる部位を両足にベルトで装着すると、まるでボディビルダーの上半身を再現したような奇怪な装いとなる。
 ソーニャには見覚えがあった。

「Congoshaw Industry製、筋力補助Sm『カクリキ』だね!」

「そうだ。お前も使ったことあるのか?」

「ううん。あまり多用しすぎると人体の限界以上の重量を運びたくなって体に良くないぞ、ってリックが言ってたから、近所のジムで”直接”Smの操作技術を鍛えて、Smを操作して物を運搬してた。それにガレージではクレーンがあったから」

「なるほどな、スロウスもあるしな」

 マシューが装着したカクリキは端的に言うと発達した筋肉で胸や背中、そして腕と脚を支えている。着用者の背骨に沿う金属製の背骨が、腰から膝にかけて剥き出しの筋肉と連結し、背骨の間にある構造から生えた細い管が、各筋肉の束につながっていた。
マシューは胸筋に当たる部分に取り付けられた摘みを捻り、その隣のボタンを押して、最後に別の摘みを何度も捻る。すると、摘まみから火花が発せられ、その度に筋肉が膨張と収縮を繰り返し、最後は膨らみを維持した。

「パンプアップ成功だね、メンテは大丈夫? いきなり痙縮けいしゅくとか起こさない?」

「安心しろ。つい……半年前にも使った覚えがあるから、栄養も残ってるはず。多分、大丈夫だ。俺はそっちの重いのを運ぶ。お前さんは」

 軽いほうだね! とソーニャは歩き出す姿勢で立ち止まり、ほかの機材はどうする? と続けて尋ねる。

 早速、プロトタイプのBバイオデベロッパーを持ち上げたマシューは、カクリキを見つけ出す過程で自分が散らかしたSm部品や金属パーツ、その他雑貨を足で蹴散らし、道を開いて扉に向かう。

「問題ない。別の機材をすでに準備してる。それと冷蔵庫の培養液は濃度の違うやつを持ってくるつもりだ。お前さんが持っていきたいものがあるなら、ここにある買い物カートを使うといい」

 マシューはそう言って、あごで隣の道具を示し。

「それに収まらないものは、今回は諦めろ」

 と付け加え、自身は足でドアの下部にあるペダルを踏んで開いた。
 わかった、と素直に答えるソーニャはさっそく、ドアの隣に行き、そして買い物カートと呼ばれたものを見て、これ買い物カートじゃない、と言いつつ、とりあえず上に置いてある段ボール箱や、ポットなどを取り除き、目についた薬剤や、冷蔵庫の品を詰め込んだ。
 室内に戻ってきたマシューに対し、ソーニャはカートを指さして尋ねる。

「これ乳母車だったけど使ってよかった?」

「乳母車? ああ、本当だ。ウェンディが怖がって一度も使ったことがなかったっけ……。安心しろ、思い出もクソもねえから……クソは、いや、あれは拭いたから存分に使いつぶせ」

「了解。それと扶養器に入れてある細胞は回収しちゃっていいかな?」

 視線が向かったのは、最初に原初生体モドキの一部を培養し見事驚かせてくれた装置だった。
 マシューは、もう1つバイオデベロッパーを持ち上げると。

「空の容器を隣に置いておいたから、それに入れてくれ。中には一番薄い培養液くらいしか入れてないが、一緒に入れれば少なくとも形は保全できるだろう。俺は根っこちゃんを運ぶ」

「根っこちゃん? ああ、原初生体モドキのことね。了解」

 扶養器から取り出した円筒形の容器の中身を口の広いボトルに移し、蓋をして密封したら、ソーニャは開け放たれた裏手のドアから、乳母車とともに飛び出し、マシューはベルトで固定した根っこちゃんを捕まえ、運んだ。

 しばらくして、外でシャッターが開くと、ガレージの中から中型トラックが飛び出した。運転手はマシュー。
 運転席の後ろの車内は一室になっており、一方に狭い施術台と流し台、もう一方には収納兼テーブルがあり、双方の上に薬品棚が並ぶ。テーブルには各種機材や小さいBデベロッパーも置かれ、狭い通路を大型の機材が占領した。ちなみに乳母車は、横を貫く軸を中心にパイプ椅子の要領で折りたたまれて、マシューのすぐ後ろに立てかけられている。

「すごいね! こんな設備まで用意してたなんて! というか最初からこれで逃げてれば……」

「ははは! 本当だな! まさか2ブロック先まで敵が近づいてるとは。最初に敵が来た時には息をひそめてやり過ごせたから油断した」 

「それは危険な賭け過ぎるよ。けど、本当に充実してるね、この車内」

 最初に触手の培養をした扶養器を少し小さくした機材や、遠心分離機、冷蔵庫、などの設備も備え付けられていた。おかげで、Bデベロッパーを置いたら、歩き回るスペースはなくなったので、テーブルや機材を足場とする。
 マシュー曰く。

「一国一城の主となると道楽も派手になるもんだろ? といっても、こっちが俺の最初の店なんだがな。こいつで、小さなゴブリンとかをよく直してたっけ。まあ、あのころと比べれば内装は様変わりして面影もないが」

「修理のための設備というより、ほぼ研究のための設備だよね、これ。そんで……」

「あるものは自由に使ってくれ。ただし、爆発は起こすなよ? 俺も、一度、いや、数えきれないくらい失敗したっけか。ガレージを持った後ここを拠点によ、俺も若かったからSmNAで一山当てようと思って研究に手を付けたが。本業が思った以上に忙しくなって……って、そんな話はいい。それよりソーニャはいいのか?」

 早速、棚を開けて薬品を調べていたソーニャは、何が? と聞き返し、電子計量器で量った薬をBデベロッパーに投入した。

「何がって、スロウスのことだ。あいつを放置していいのかよ?」

「近くに人がいないことは一応確認したし、絶対に人に危害を加えないことを命じたし、最後は1人の目標だけを攻撃するようにトランシーバーで連絡した。もちろん、若干規約違反の可能性はありますが! ええ、ですがこっちのほうが気になるので!」

「まあ、お前が後で訴追されないことを祈るよ」

「それにマイラと一緒に帰宅するのであいつはもう用済みだッ! 存分に戦って砕け散れ!」

「そんなこと言ってるとばちが当たるぞ?」

 なんの罰? とソーニャは半笑いで高級そうなボトルを開ける。
 不法投棄の罰とか? とマシューが適当に返答した瞬間、先の交差点にスロウスが転がり出た。
 いきなりの飛び出しに、マシューはハンドルを切ったし、スロウスも後転から即座に立ち上がり身を引く。
 揺れる車内では、ソーニャが、傾けていたボトルそのものをデベロッパーの容器内部へ落とし、あ! と声を上げる。直後、施術台から原初生体モドキも転落し、ボトルと運命を共にした。

「逃げるんじゃねぇよ!」

 サッカーフィストがアンドリューの声を上げてスロウスへと迫る。
 その目の前をマシューの車が過ぎ去る。
 サッカーフィストは勢いある巨体に見合わず、急停止して激突を回避すると、車を見送った。 
 邪魔くさい、と青年の声で唸り、車体が過ぎ去った直後、スロウスが低い姿勢からタックルをかます。
 片足に集中攻撃を受けて、サッカーフィストは姿勢が崩れる。
 それを見逃さないスロウスは、抱え込んだ相手の足を即座に持ち上げ、相手が立て直す前に、腰のベルトから斧を取り出す。

「舐めるな!」

 サッカーフィストの右腕の砲口が突き付けられ、山吹色やまぶきいろの光を発する砲門の奥底から、火花が収束して、密度を増して生まれる炎の濁流が吹き上がる。
 スロウスは即座に仰け反り、炎熱の濁流を回避し、繰り出されたサッカーフィストの足蹴を斧で受け止め、反動で飛び退く。
 車の後ろの窓を開いて顔を出したソーニャが、スロウス! 人間に危害は加えないでねぇ! と声を上げる。
 それに振り向くスロウス。

 赤い視界の中心に定めた小さな窓から、少女は手を振り、車が運んで行ってより小さくなっていく、はずだが、遠近法の条理に反し、むしろ赤い視界では、少女の姿は拡大して、強調される。
 スロウスは走り出し、サッカーフィストが勢いよく下ろした足は標的を外して地面を踏み鳴らすと、車を追いかけるスロウスを見送る、なんてことはしない。
 待て! とアンドリューが怒鳴り、自らも動く。
 サッカーフィストの右腕の武装マンデリンが火炎を噴出した。
 スロウスは一瞬避けようとするが、炎熱の射線上に主が乗る車両を思い出し、刹那の間、足が動かない。まっすぐ向かう炎はどこまでも伸びる上、砲台であるサッカーフィスト自体が迫っていた。
 スロウスは傍らに停めてあった普通乗用車を掴むと、乱暴に振り回し、ひっくり返し、車体の底を肩と二の腕で支えて、サッカーフィストへ押し付ける。横転車のルーフが受け取る炎熱の渦は確かな圧力が伴い、車の質量と束の間だけ拮抗する。
 しかし、瞬く間に車は熱によって穴を開けられ無用の長物にされた。
 軍配が上がった直後、敗者が罠を発動する。
 突然車両は盛大な炎を噴出し、放たれたマンデリンの炎熱に完全に両断された車体は、溶けた断面からより一層激しく炎を立ち昇らせた。それらはサッカーフィストの視界を染め、スロウスの姿を隠す。
 砲撃を止めたサッカーフィストは一歩引いた。

『流石に車の質量には斥力が足りないか。しかも燃料に引火した。面倒なことしやがって……ッ。本当に自立型なんだよな!?』

 アンドリューが炎を回り込もうとした瞬間。その炎から影が踊り出る。
 影の正体は手足を縮ませ体を丸めたスロウスで、炎を突破するために引き寄せていた手足を一気に開放する。瞬く間に斧を掲げる姿には欠片も慈悲が伺えない。
 思わずマンデリンを装備する腕を傘にするサッカーフィスト。その表皮は固く、また武装も堅牢。しかし、スロウスの振り下ろす斧も決してやわではなかった。
 肉厚の刃が打撃の威力を集約させ、腕に墜落し、マンデリンから延びる管の盛り上がりを割断する。
 硬い表皮の内側で鈍く激しい金属音が響いた。
 サッカーフィストはとっさに斧が襲う右腕を持ち上げるが、傷口に食い込む刃も、スロウスも離れず、髑髏どくろの面相が、暗い眼窩がんこうを見せびらかした。
 サッカーフィストは腰に巻いていたまわしの左脇に手を伸ばし、携えていた得物を左手で引き抜き、手中で回して握りなおすと、スロウスの喉元めがけて突き付ける。
 紙一重でスロウスは首を反って攻撃を回避し、首枷と刺突の刃が擦れ、火花が散る。
 深い傷口から斧を離脱したスロウスは、サッカーフィストの腹を蹴りつける。
 敵が伸ばす足にサッカーフィストは得物を振り下ろすが、空振りに終わり、結果、スロウスと距離が開く。
 アンドリューは一息ついて、得物である鉈を元の持ち主に見せびらかした。

『どうした? こいつを返してやろうってのに、いらないのか? そっちの武器も壊れたってのに』

 握る斧に明らかな刃毀はこぼれがあるスロウスは、全く反応しない、と思ったら、きびすを返して車を追いかけようとする。
 だから逃げるなって、と再びマンデリンを噴射したサッカーフィスト。しかし、今度は火花が広がって視界が奪われる。
 アンドリューは砲撃を止め、腕の傷口を覗き込む。
 ボニーから通信が入る。

『聞こえる? 右腕を攻撃されたみたいだね。意思伝達神経が絶賛断絶の警告を発してるよ。これじゃあサッカーからの意思がうまく武装に通じなくなる』

 傷口から覗く蛇のような金属の管は青や赤を呈する配線を晒し、断面から火花が散って、隙間から薄黄色の液体を漏らしていた。
 アンドリューは舌打ちし、走り出す。












※作者の言葉※
次の投稿は12月13日の金曜日に予定変更いたします。そしてキャンプ場に近づかないようにしましょう。



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