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オナーニッビュル国国都で

さんじゅういちわめ

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 クソ王太子サマがゼルによって何度も意識をぶっ飛ばしながらも一昼夜アンアン啼いている……のを放置して、まずはエルを王太子の部屋へと移動させる。
 あ、朝……というか疲れて眠った子供たちは昼過ぎまで寝てた。
 俺の幻影魔法を駆使して豪勢なベッドに子供たちが寝ているのを隠しながら王太子サマがそこにいるように見せ、時間を稼いでおきました。
 王太子サマのご飯と収納から取り出したご飯を子供たちに与え、ジュークと子供たちにもう1度幻影魔法をかけて、城を脱出させる。
 エルがくったりしていたから、子供たちを家に帰すのはジュークに任せた。
 エルをクソ王太子サマのベッドに転がして、俺はちょぉおっと金目のモノを拝借。
 国宝級のお宝とかそういうんじゃなくて、ずーっとほったらかされていた宝石を幾つか、ね。
 たんまり溜め込んでいたから選択するのに時間がかかったよ……。
 勉強代だと思って諦めておくれクソ王太子サマ、ははは。

 まともに仕事をしていなかったクソ王太子のおかげで、ジュークが夕方も遅くに戻って来るまで、大して困ることもなかった。
 MAPを使ってジュークの位置は絶えず確認していたから魔法も掛けたしね。
 だーれにもバレなかったよ。
 クソ王太子サマが部屋に居るように見せかけた魔法は、監視らしき人達をも騙しました。
 勇者ってしゅごい!
 その頃にはエルも起きて、ちょっと怠そうにしながらもまあまあ元気になっていた。
 子供たちをジュークに任せっきりになってしまったので、そこは謝り、エルと3人でご飯にする。
 そしてエルにお風呂に入るように言って、俺はゼルにクソ王太子と共に上がってくるように伝える。

 ゼルに突っ込まれたまま運ばれてくるクソ王太子サマは……半分白目を剥いて舌をでろんと垂らし、色んな汁できったない顔をしていた。
 若干ジュークが引いてるけど気にしない!
 ベッドの上に落とさせて、クソ王太子サマが気付くのを待つ。
 どれだけかの時間……暇なのでこの先どうするかを話し合いながら待っていたら、漸くクソ王太子が意識を取り戻した。

「……おぇ、の……へや……?」
「そうだな」

 ポツリと呟いた声に返事をしたらビックリしてこっちに顔を向けた。
 身体は動かしにくそうだが、まあそうなるよな。
 丸1日はずっこんばっこん犯されてたんだから。
 ベッドのそばにある椅子に悠然と腰掛ける俺に、その膝に座る半透明な子供……ゼル。
 そんな俺たちの後ろに立つジュークとエル。
 4対の目に見つめられてクソ王太子サマは居心地悪そうにしている。

「さて、記憶はあるかな?」
「……ああ……」
「じゃ、約束は忘れんなよ?」
「……ああ……」
「俺達もしばらくはこの国に居るだろうし……見張りでもつけておくか」

 約束を反故にされたらどうしてやろうかな、なんて考えながら何か見張りに使えるモノはないかと思案する。
 ここはやっぱり『SP交換』ですかね。

 ウィンドウを開き並ぶ文字を見遣る。
 そうして見つけたのは『約束の指輪』というものだ。
 指輪、とは言っても形が残るわけではない。
 お互いの小指に紋章を刻むような形になるらしい。
 そして約束を反故にすると……そこから腐り落ちるというアイテムだ。
 クソ王太子と繋がりが出来るのはあんま嬉しくないが、知らないとこで反故にされても困る……いや、困らないけどさ!
 せっかくゼルが調教してくれたんだから、有効に活用したいよね。
 こういう跡を残しておけば、俺達のことは忘れないだろうから、何かあったら脅sおっとあまりここに居るのも面倒だ。
 さっさとクソ王太子の左の小指に『約束の指輪』を填めると、そこに魔力を流す。

「復唱しろ。『二度と娯楽目的で非道なことはしない』」
「……二度と娯楽目的で非道なことはしない」

 小指にあった指輪がほわーんと光ると、次いでぱぁっと弾けるように光って消える。
 だがその小指には仄かに光る跡があり、もし約束を破ったら俺にそれがわかるようになっている。
 わあ、凄い。
 エルに手を出さなきゃこんなことにはならなかったのにな!
 ご愁傷様!

「よし、じゃあいこっか」
「ああ」
「ん」
「それじゃあな」

 ベッドで草臥れたままのクソ王太子に手をひらりと振って、俺達は王城を後にした。
 そうして馬を預けた所で1頭馬を購入し、荷台を引かせてそのまま王都も出発することになった。
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