八尋学園平凡(?)奮闘記

キセイ

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第8話 天誅だってよ

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「皆さん、お待たせ致しました。只今より全学年交流会を始めます。」


女神な(?)副会長の言葉に体育館が揺れる程の歓声が上がる。
全学年が入っているだけあって体育館内は少し暑い。だが少し暑いで済んでいるのは冷房が備え付けられているという金持ち学校ならではの設備事情のお陰だ。
体育館に冷房とか頭おかしいなぁと思ってたけど、今はすごい助かる。この熱気はヤバい。

「では、ルールを説明します。各学年にはキング1人、クイーン1人、ルーク2人、ナイト2人、ビジョップ2人、ポーン8人というチェス駒持ちがいます。この方達は特別でハチマキをとると多くのポイントが得ることが可能です。」


副会長の説明でハチマキ(笑)と内心茶々を入れながらも真剣な顔で聞く。周りは恍惚とした表情で副会長を見ており、少し距離を置きたい衝動に駆られるが、どこに移動しても同じ様なので泣く泣くその場にとどまった。


「キング200、クイーン100、ルーク40、ナイト35、ビジョップ30、ポーン15、それ以外1ポイントという内訳です。しかし、私達生徒会は4名しかいません。なので会長は200、それ以外の3人は100ポイントとします。ポイントのカウントは皆さんに配った腕輪が行うので皆さんは特に何もしなくていいです。例え他人の取ったハチマキを奪ったとしてもカウントされませんのでご安心ください。主な説明は以上です。何か質問がある方は?......いませんね。なら生徒会、1年生、2年生、3年生の順に10分後毎に行動してください。....では皆さん、どうか楽しんでくださいね。」


副会長は舞台裏へと消えてった。結局副会長以外の生徒会役員達を見ることはなかったなぁ。もう逃げてるんだろうけどさ......。
朝の召集から居なかったからね?
生徒会役員のことだから豪華な衣装着てそうだなぁ。


「あ~、ちょぉいいか?」


舞台上からどこかで聞いたことのある声が聞こえた。
副会長が居なくなって代わりに姿を現したのは、白髪ピンクメッシュの男だ。


「風紀からの注意事項や。よぉ聞けよ。暴力はいくらでもええが、強姦は取り締まる。それと行き過ぎた行動もな。それ以外はスルーすんでぇ。何かあったら風紀の腕章つけとる奴にい言えばええから。ワイからは以上や。時間やから1年生はもう行きぃ。」


風紀って暴力を取り締まるための機関じゃないんですか?容認するんですか?
こういう所を見ると、ここの学園はやっぱりヤバいんだなぁと再認識する。


「よっしゃ、次は2年生や。」


いよいよかぁ。因みに俺は今単独行動してます。
何故かって?それは、あれだよ。.....ハグれた。
だって王道君すぐ居なくなるんだもん。
この前なんか俺と王道君が喋ってたら急に男が間に割り込んできて、王道君を攫っていったからね?
もう一瞬の出来事すぎて唖然としたよ。
だいたい王道君がいなくなるときは攫われていく時だから。イケメンに。

......イケメンホイホイと名付けようか。


というかさっきから周りの視線が痛いんですけど。この格好に文句があるなら製作者を通してくれませんか?


大人数が勢い良く出ていくため流されるように俺も外に押し出される。
その際、コケないよう必死で行動していたため、スリットから脚がモロ見えていたとか気にする暇がなかった。だからって痴漢のように触るのはどうかと思うぞ!?

誰だよ!俺の脚に手を這わせてワサワサ触った奴は!?金とるぞっ

クッソ最悪の気分だ。
取り敢えず人が居ないところで荒んだ心を落ち着かせたい。

俺は作戦会議(笑)で決められたエリアへ向かった。

その道中悲鳴や怒号が聞こえ、その度に身体を震わせたが、これは誰でもビビると思う。

視界一面に木々が生い茂っている所を歩いていて、いきなり悲鳴や怒号が聞こえたらビビるだろう?だから俺がチキンなわけではない。

俺が居るのは学園校舎横にある森林だ。虫が出るから嫌だとかなんとかとチワワ男子が嫌がった為俺がそのエリアに収まったのだが....まぁ隠れやすいから文句は言うまい。


「あ、見つけた。」


下見した時に隠れやすそうなところに目印を付けておいたのだ。
そして俺が隠れるのは木の上。
森林と考えれば隠れられる場所は限られてくるだろうがそれは仕方ない。木の上なんて誰もが思いつく隠れ場所だろう。だけど、ここで大事なのは限られた場所の中でいかに隠れるかではなく、いかに動けるかだと俺は思う。

木の上なら見つかっても俺なら素早く移動できる。今いる場所からどういう進路で動けば追ってくる相手を撒けるのかなど、何度も頭の中でシミュレーションした。


「こら待てー!!!!」

「あわわわわっ」

「そっち行ったぞ!」

「うわっ、囲まれた!?」


俺の居る木の下でどうやらピンチな人が居るようだ。王道君ならきっと助けに入るだろうが、俺はスルーする。
俺喧嘩できないし......。


「ギャーっ!捕まったァァァ!ってかお前だけじゃん!?囲まれたのかと思ったのによ~。」

「へへっ、頭も使わなきゃな。よっしゃ!!1ポイントゲット~!」

「ちぇっ、ほらハチマキやるよ.....」

「サンキュ。これで10ポイントか....」


おぉ!!
なんとっ、捕まって自分からハチマキを渡している人がいるぞ!?
俺が求めていた構図はこれなんだよ!
捕まったからって殴り掛かるようなことをしない彼らに拍手っ。


「もう10ポイントも取ったのか!?」

「俺なんてまだまだだぞ?会長なんかはもう100ポイント近くは取ってるって話だ。」

「100!?まだ開始して1時間も経ってないよな?」

「.....そういや制限時間なんてあったか?副会長はそこら辺何も言ってなかったが....。」

「あれ?確かに。え、もしかしてどこかの学年が全滅するまでとか?」

「.......」

「.......」


2人は神妙な顔をしてそれぞれ散っていった。なんか気づいちゃいけないことに気づいちゃったという顔だったね。

どこかが全滅するまでかー......その条件はきっついなぁ。もしその条件で終了なら狙うのは生徒会だ。だって4人しか居ないし。

でも一人一人化け物並みに強いんだよね。
あのちっこいビスクドールみたいな書記が会長並の体格のいい男を片手で投げ捨てたのは怖かったなぁ。


「ね、ここで?」

「いいじゃん、俺もう我慢できねぇし。」


また誰か来たー。しかもこの会話って、嫌な予感がするんですけど。
まさか、まさかだろ、おいおいおいおいっ、


「んっ、あぁっ、」

「ねぇ腰揺れてる。」

「だ、だって!あぅ、あっそこっ」


もーーーーーーーー!!!!!
こんなところで青姦ですか!?!?


ガサッガサガサっ!!


「え!?ちょ、まって!だ、誰かいるよ!?」


そうそう!俺がいるよ!
俺は近くの木を揺らしまくる。これは明らかに誰かいるだろってわかるほど激しく。
カーエーレー!!!


「んー?きっと童貞だよ。だから大丈夫、んっ」


てめっ!?
何が童貞じゃコラァ!

しかも童貞なら大丈夫ってどういうことだよ!?

なんか俺がここを去るのは気に食わねぇし....だからって他人の情事を見るのは嫌だけど。

これはもうアレですね.....天がやれと言ったということで、


「天・誅!!!!」


パシャッ、パシャッ


「きゃぅ!?」

「なっ!?」


カラーボールを投げつけ即座に逃げる!
ふははははっこれが俗に言うヤり逃げ!!

ざまーみろっ、童貞舐めんな!!

後ろからの怒号を背に俺は駆けるっ、木の上を!
なんかすごいスッキリしたわ。やはりカラーボールは世界を救う.....?

俺のカラーボールは中に特殊な蛍光色の液が入っていて、それは服に着いたりすると洗濯じゃ絶対に落ちないものだ。綺麗にするにはクリーニングに出さなきゃだめというとても面倒臭い特性を持っている優れものだから俺は重宝している。

学校指定の白いジャージに蛍光ピンクはさぞ映えるだろう。......あいつら脳内ピンク色だしお似合いか。

第2の隠れ場所にたどり着いた俺は走って乱れた衣装を適当に直す。
すっげぇ全力疾走したけど中身見えてないよな?
いや、中身って言っても腰布が見えるだけなんだが。
でも、走った時パンツに風が当たって寒かった.....。これノーパンだと直に当たってた可能性が.....パンツ履いててよかった。


「え~ここでやるの?僕恥ずかしいよ....」

「恥ずかしがってるお前も可愛い、もっとこっち来いよ。」


_(›´ω`‹ 」∠)_
誰か来たと思ったらまたバカップルだよ。

なんでピンポイントで俺の居る木の下で始めようとすんの?偶然だよね?わざとじゃないよね?

頼むからこれでどっか行って欲しいっ(切実に)

ガサガサガサッ!ガサガサガサッ!


「え!?だ、誰かいる?」

「大丈夫だろ。覗きが趣味の変態童貞だ。気にするだけ無駄だぜ。」

「もぉ~、んぁっ」


.........はぃ????
お前童貞に恨みでもあんの?(怒)
覗きが趣味の変態童貞ってなんだよ。

さっきのやつもそうだけどさ、何で童貞って決め付けるんだよ!?

俺は童貞だけどさっ

.....え?なに?やっちゃっていいんすか?

覚悟しろテメェら。(俺の)神様からのOKサインが出た。


「天誅!!」


パシャッ、ベチャッ

あ、泥ボール投げちゃった。


「んだこれ!?!?」

「わっ!?」


はい逃げマース。

ハレンチなお付き合いは(俺の)神様が許さない!
清いお付き合いをしなさい。

次見かけたらカラーボールの雨をふらせてやるからな?



その後、


「ここでシよ?ぇっなに!?」

「うぉっ!?」


はい天誅~


「キスしたい、あっダメだって!キスだけだからっ!んちゅ、ばかっあぁっ!」

「ここ、こんなにしてキスだけとか嘘でしょ?」

「あっ、違っ!もぅ....1回だけだよ?」


はいアウト~天誅!


「青姦って興奮するねぇ!!!」

「うんうん!それにしてもさっきの健気ワンコ系×ビッチは萌えたねっ、何度突き放しても健気に慕ってくるワンコに絆されてラブラブエッチ!あの2人めっちゃ幸せそうだったなぁ。」

「健気ワンコ攻めは下手するとヤンデレワンコ攻めに変化するから面白いよねぇ。さっきのビッチ君は選択を間違えなかった!あそこで首を振らなかったら確実にヤンデレワンコに堕ちてたよ!くっ、僕としてはヤンデレワンコ攻めも見たかったけど、あの2人が幸せならこの欲望は他にもってくっ!!」


うんうん、近くにラブラブエッチしてる人達がいるんだね?
話を聞いてるとなんだかやっと結ばれた感がしていたが、それでも俺は行くぞ!

このエリアから青姦を駆逐するのが俺の役目っ!

それにしても青姦してる奴多すぎ。

あの腐男子共の情報を盗み聞きしては、カラーボール投げに行ったんだけど.....多すぎぃ。
カラーボールの消費量がヤバいんだけど。

うん?そんな量のカラーボールどこに持ってたかって?
それは秘密ですよ。企業秘密。


というか、ゲーム中ですよ?

俺もハチマキ取らずにカラーボール投げまくってるけど......俺何してんだろ??


急にスンとなった。

でも仕方なくない?
俺が移動する先々で人が来ておっぱじめるんだもん。

これは俺に天罰が.....?

神様っ、俺が何をしたって言うんですか!?


はい、そこ天誅!

え?神をかたってるって?
はははは、何を言っているのやら。
神様ってリア充嫌いだろ?(偏見)

だから代わりに青姦好きなリア充共を罰しているのだ!!


喰らえ天誅!!!


よって、俺は悪くない!(`・ω・´)




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