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「ユーディア。ちゃんと話をしよう。心なんて読まなくても、お前が尋ねてくれたことには俺は正直に答える。それがどんなに、俺にとって都合の悪い話でも」
「うん、分かった。ごめん。俺もちゃんと話すよ。だから聞いて」
姉にエドゥアルドが上花会で踊るパートナーを探らされたこと、エドゥアルドの方からリリールーを誘うように仕向けさせ、無理なら魔法薬を使えと脅されたこと。それらを正直に話すと、エドゥアルドは心底呆れたように溜息ついた。
「本当にごめん」
酒で感情の起伏が激しくなっていたユーディアの瞳から涙がぽろぽろと零れ落ちた。
「泣くなって。大したことじゃない。正直に聞いてくれればよかっただろ。上花会で踊るパートナーはいない。お前の姉さんを誘うつもりもない。俺には、他に好きな人がいるんだ」
「エド……」
(そうか、やっぱり好きな人がいたんだ……。俺と疎遠になったのは、そのせいなのかな)
想定していなかったわけではないが、面と向かって言われると思った以上に胸にずしんとくるものがある。半年前までは互いの全てを知っているような親友同士だと思っていたが、離れている間にエドゥアルドにはそんな相手ができていたのだ。
「じゃあ、俺が姉さんのいうこと聞いてたら、お前が好きな子を誘えなくなっちゃうんだったんだな。それって最悪だ。俺って酷い奴だ。本当に、バカなことした」
「本当だ。なんだってこんなバカなことをしでかす気になったんだ」
「だってさ。だって」
堪らない感情が押し寄せてきて、ユーディアは真正面から親友の逞しい胸に顔を埋めて抱き着いた。すぐさま背中に腕が回る。
ユーディアが鼻をずずっとすったら、花の香りがしてきた。いつのまにか月光花が満開になり、あたり一面甘い芳香を漂わせてている。
もう引き裂かれたくないとでも言わんばかりに、抱きしめあった二人は、暫し布越しに伝わる互いの体温だけを感じていた。
「こんなきっかけでもなけりゃ、お前に話しかけられなかった。なあ、俺、お前に何か悪いことした? この半年、どうして俺の事、避けたの? 俺はさっ」
こみ上げてきた涙で鼻の奥が再びツンっと痛む。
「すごく……、すごく寂しかった。何か俺に悪いとこがあるなら、すぐにでも謝りたかった。でも怖くて、聞けなかった。避けられるのも辛かったけど、面と向かって嫌いだって言われたら立ち直れないって思ったから。お前と正面から向き合うの、逃げたんだ」
「……俺も人のことは言えない。正面から向き合うのを避けた。お前に嫌われたくなくて」
「え……」
肩に手をかけ、お互いの顔が見える距離に優しく引き剥がされた。大きな掌が優しくユーディアの頬をら撫ぜ、ゆっくりと端正な顔が近づいてきた。薄々何をされるか想像がついたのに、ユーディアは避けることなくそっと目を閉じる。
「好きだ。ユーディア」
唇に柔らかな感触が伝わり、すぐに離れた後はまた腕の中に強く抱きしめられた。
すうっと息を吸い込むと、求めていた親友の懐かしい香りがした。彼の故郷の草花で作った香油の香り。うっとりしてしまう。彼の部屋に泊まった時は、ユーディアの手足にも優しく塗りこんで解してくれた、心穏やかになる香り。なのに今は胸の鼓動が忙しくて、落ち着かない気分になった。
「エド……。いつから、いつから俺の事が好きだった?」
「初めて顔合わせをした時からずっとだ」
「そんなに前から?」
「そうだ。一目見た時から心は惹かれていたが、付き合ってみて余計に愛おしくなった」
「そっか」
「うん、分かった。ごめん。俺もちゃんと話すよ。だから聞いて」
姉にエドゥアルドが上花会で踊るパートナーを探らされたこと、エドゥアルドの方からリリールーを誘うように仕向けさせ、無理なら魔法薬を使えと脅されたこと。それらを正直に話すと、エドゥアルドは心底呆れたように溜息ついた。
「本当にごめん」
酒で感情の起伏が激しくなっていたユーディアの瞳から涙がぽろぽろと零れ落ちた。
「泣くなって。大したことじゃない。正直に聞いてくれればよかっただろ。上花会で踊るパートナーはいない。お前の姉さんを誘うつもりもない。俺には、他に好きな人がいるんだ」
「エド……」
(そうか、やっぱり好きな人がいたんだ……。俺と疎遠になったのは、そのせいなのかな)
想定していなかったわけではないが、面と向かって言われると思った以上に胸にずしんとくるものがある。半年前までは互いの全てを知っているような親友同士だと思っていたが、離れている間にエドゥアルドにはそんな相手ができていたのだ。
「じゃあ、俺が姉さんのいうこと聞いてたら、お前が好きな子を誘えなくなっちゃうんだったんだな。それって最悪だ。俺って酷い奴だ。本当に、バカなことした」
「本当だ。なんだってこんなバカなことをしでかす気になったんだ」
「だってさ。だって」
堪らない感情が押し寄せてきて、ユーディアは真正面から親友の逞しい胸に顔を埋めて抱き着いた。すぐさま背中に腕が回る。
ユーディアが鼻をずずっとすったら、花の香りがしてきた。いつのまにか月光花が満開になり、あたり一面甘い芳香を漂わせてている。
もう引き裂かれたくないとでも言わんばかりに、抱きしめあった二人は、暫し布越しに伝わる互いの体温だけを感じていた。
「こんなきっかけでもなけりゃ、お前に話しかけられなかった。なあ、俺、お前に何か悪いことした? この半年、どうして俺の事、避けたの? 俺はさっ」
こみ上げてきた涙で鼻の奥が再びツンっと痛む。
「すごく……、すごく寂しかった。何か俺に悪いとこがあるなら、すぐにでも謝りたかった。でも怖くて、聞けなかった。避けられるのも辛かったけど、面と向かって嫌いだって言われたら立ち直れないって思ったから。お前と正面から向き合うの、逃げたんだ」
「……俺も人のことは言えない。正面から向き合うのを避けた。お前に嫌われたくなくて」
「え……」
肩に手をかけ、お互いの顔が見える距離に優しく引き剥がされた。大きな掌が優しくユーディアの頬をら撫ぜ、ゆっくりと端正な顔が近づいてきた。薄々何をされるか想像がついたのに、ユーディアは避けることなくそっと目を閉じる。
「好きだ。ユーディア」
唇に柔らかな感触が伝わり、すぐに離れた後はまた腕の中に強く抱きしめられた。
すうっと息を吸い込むと、求めていた親友の懐かしい香りがした。彼の故郷の草花で作った香油の香り。うっとりしてしまう。彼の部屋に泊まった時は、ユーディアの手足にも優しく塗りこんで解してくれた、心穏やかになる香り。なのに今は胸の鼓動が忙しくて、落ち着かない気分になった。
「エド……。いつから、いつから俺の事が好きだった?」
「初めて顔合わせをした時からずっとだ」
「そんなに前から?」
「そうだ。一目見た時から心は惹かれていたが、付き合ってみて余計に愛おしくなった」
「そっか」
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