イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

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 俺は急に可哀そうになって北門の両腕を外側からぽんぽんってやった。

「あー、うそうそ、大丈夫だから。お前がなんか喧嘩腰だったからムキになっただけ」
「喧嘩腰……、そんなつもりじゃ……」

「じゃあ、なんでそんなに、気にするんだよ。あー。あの子のことが気になった? 一目惚れとか?」
「違います」

 冗談のつもりで言ったのに、食い気味に強く否定された。その目つきの激しさに、俺は胸の辺りを無意識に抑えて一歩下がり、北門の剣幕に押され背中をのけぞらせた。
 後ろは公園との境にある柵で、これ以上は後ろに下がれない。間髪入れずにがしゃんって俺の両側で音が立つ。
 北門が正面から両腕で俺を囲うようにして金網を握ったからだ。

「俺が気になるのは、先輩だけです」
「北門……」
「なんで気になるんだと思います?」

 またも、顔が近い。逃げられない状態で、覗き込んでくる琥珀色の綺麗な目。こいつの眼差しの強さに心を真っ直ぐに射抜かれる。もったいぶるつもりはなかったのに、衝撃で言葉がうまく出ない。

「ええと……」

 熱っぽい視線、掠れて切なげな声。こんなのまるで、こいつがあの子に嫉妬でもしてるみたいだろ。だけどなんでって? なんでって……。俺の方が聞きたいよ。

(北門、お前が俺の写真をロック画にしているのは、なんで?)

 それってさ、もしかして……。でも俺、男だし、こいつ女子にモテモテだし、いやそんなはずは……とか。色々頭を過ってしまう。
 い、意識してるわけじゃないぞって思うけど。意識しないでいられる? 無理だろこんなん!
 そんで顔が、すっごく近い、近いって! ちょっと顔を動かしたら唇が触れてしまいそうだ。心臓バクバクしてきた。その綺麗な顔で人の息の根を止められるぞ、お前っ!

「……なんで、あいつと俺が、付き合ってるとか、思ったんだ」

 なんとか絞り出した声は情けないほど小さくなった。

「親しそうだったから。あの人、燈真先輩に触ってた……」

 北門の手の下で金網がガシャンって悔しそうに揺れる。

「誰に対しても、ああいう感じの子なんだよ」

「……なんだよ、それ。先輩のこと、誰にも触らせたくないのに」

 北門はまるで独り言みたいに呟いた。
 逃げられないからせめて下を向いてたのに、北門の手が俺の重たい前髪をかき上げて、目線を合わせようとしてきた。
「親し気っていうなら、お前だって。最初から俺とすごく距離近かっただろう。お前はいいのかよ」

 その度にこっちは無駄にドキドキしてんだよ。

「俺はいいんです」
(はあ?! お前王様かっ)
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