イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

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「なに、燈真。お前捨てられた犬みたいな顔してんだ」
「え?」

 友達に言われて気が付く。俺、しょぼっとした顔してたんだ。確かに気は抜けたけども、そんな風に顔にまで出ていたとは意外だ。

「北門、今日の昼休みは来ないって」 
「ええええええ」

 周りで聞き耳を立てていた女子から悲鳴に似た声が上がった。耳がキンキンする、ヤメテ。

「寂しそうな顔すんなって。俺らがいるだろ」
「いや、別に寂しそうな顔なんてしてないし」

 っていったらみんながなんかニヤニヤしてる。むかっ。

「明日が美化委員の校外活動日だから、色々確認したかっただけだし。明日雨予報だから、もしかしたらやらないかもってさ」
「そうかあ? それにしちゃあ、あいつ毎日来てたのに、来なかったの初めてじゃないか」
「……そうだけど」
「下、見ろよ。いたぞ、イケメン君」

 窓辺にいた奴の声で、何故だかよくわからないけど、クラスの半分ぐらいが窓のところに机にぶつかる勢いで集まって張り付いた。北門効果恐るべし。
 俺もその勢いに乗せられて、ついつい窓の下を覗き込んでしまった。
 うちの教室の真下から、屋外のバスケットコートが見える。北門はそこで友人たちとスリーオンスリーをしていた。あいつバスケやるんだ。いいなあ。俺も混ざりたい。今度誘ってみようかな。
 楽しそうにしている北門を見ると、なんか安心する反面ちょっとだけ寂しい気分になった。なんでかしらんけど。

「……あいつ、友達いたんだ」

 ぽつっと独り言を呟いたつもりが、隣のサッカー部の奴に聞かれていたらしい。

「北門かあ? あいつ部内に友達多いよ。はっきり発言もするし、周りとの和も乱さないし、あの顔面で気遣いまでできていい奴だ。神様は不公平だろ。悔しいっ」
「そうなんだ……」

 てっきり北門はあの雰囲気や風貌で周りから少し距離を置かれているんだとばかり思っていた。だから知り合った年上の俺を慕って、あんな風に会いに来てくれているのだと思ってた。

(俺だけ、特別。って訳じゃないか)

 そんなのは俺の自惚れだったみたい。胸の中にいつかみたいな、謎のもやもやが生まれて、慌ててそれに気がつかないふりをした。
 北門たちの周りにはそれを見守っている女子の集団もいて、相変わらず放課後待ち伏せされたりしているのかなあと思ったりして、友達の中にはもう女子も含まれているのかなあなんて思ったり。

 北門はさ、テスト前とか部活がない日は俺と一緒に最寄りまで帰ったり、バイト先についてきたりするんだ。たまに庭仕事したり、ホールの片づけの手伝いとかもしてくれて、密かにあいつ目当てで通ってくるお姉さんたちもいるっぽい。
 前に連絡先聞かれてたから。断ってたけど。
 正直、何で目立つあいつが地味な俺の傍に居ようとするのか、よく分からない。
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