イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

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「転校先で、部活は?」
「あまり部活に力を入れている学校じゃなかったんで、それなりに。家もごたごたしてて、先輩とも離れてしまったから、なんかあの頃の記憶はあんまり思い出したくないせいか、曖昧なことも多いけど……」

 俺の方から北門の手を強く握った。北門も優しく握り返してくる。今はただ、勇気を出して告白してくれている、北門の手を握り返してやることしかできないでいた。

「嫌なら、話さなくてもいいぞ」

 北門はゆっくりと頭を振る。首を少し傾けて、頭に手をやってる。握った手はすごく大きいのに、まだ少し細い首をみたら、青年にはなり切れていない、こいつの幼さを感じた。
 俺がこいつに出来ることって何だろうって思ってしまう。何でもしてあげたいとも思ってしまった。

「俺、人の目を惹くみたいで、優しくしてくれる人は女子が多くて」
「うん、そうだな」

 とんでもないイケメンだからな。それだけじゃなくて、この放っておけない独特の雰囲気もうちのクラスの女子からも、来るたびにメロいって騒がれてる。

「中学生の時は、中学生だけじゃなくて、高校生からも一緒に遊びに行こうとかアプリで繋がろとか色々誘われて。頻繁だったからもう、面倒で傍に来るのを拒まなかった時期があった。好きだから付き合って欲しいって言われても、付き合いたいとかは思えなくて、誰にたいしても曖昧な態度を取っていた。だから近づいてくる人が多くても、俺から離れていく人も多くて。別にそれを追いかけることもなかった」
「……そっか」

 こいつの傍に居て、自分だけを見て欲しいと思った子たちは、多分寂しかっただろうし沢山泣いただろうなって、彼女たちに同情した。同情したけど、こいつの事を救ってあげられる人は誰もいなかったのかなと思って複雑な気持ちになった。
 これは奢りかもしれないけど、中学んときから俺がずっとこいつの傍に居てやれたら、良かったのにな。
 引っ越した後も東中で関わり合いがある人がいたのなら、どうして俺を頼ってくれなかったんだろう。悔しいな。

「一度だけ……。二個上の先輩から付き合ってくれないなら、最後にキスだけは欲しいって言われたことがあって……」
「え……」

 キスの二文字に思いの外ショックを受けて、俺は思わず声を出してしまった後、きゅっと唇を噛み締めた。
 胸が、ぎゅうって絞られたみたいに苦しい。これはなんのために覚えた痛みなのか、自分でも少しわかりにくかったけど。  
 北門が繋いでいない方の手がそっと俺の頬に触れてきた。いつもならもっと遠慮がないほどがしっと肩を組んでくるくせに、こんな風に壊れ物でも触るみたいにされると、むしろなんか切なくなる。

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