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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺
79 今までの俺、これからの君と side 北門
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(そういえば……。前回の雨の日の清掃活動の帰り時。先輩が商店街のおじいちゃんにものすごく気に入られて、なんか色々話をされていたな……。別れ際なんて握手までしてたっけ)
先輩は、無自覚の人たらしだ。俺自身が身をもって体験しているからよくわかる。
それは老若男女問わずに発動される魅力のようなものだ。先輩は第一印象もいいけど、知れば知るほど余計にこの人なんかいいなって好感が増すタイプだと思う。
姿勢が良くて、礼儀正しくて、話し方も柔和で、人懐っこい笑顔がすごく可愛い。
俺の先輩は誰がどう見ても孫や息子にしたい好青年ナンバーワンであることは間違いない。
(でもね……。『今日は俺を優先してくれないの? 恋人同士になったばっかだよ』)
そんな風に言ったらきっと先輩は困った顔をして、なんとか俺の事を優先しようとするかもしれない。
でもそれじゃダメなんだ。
俺が目指しているのは、先輩が自由に伸び伸びと、先輩らしくいられる場所で生きてくれるのを、一番傍で見守れる、そんな大人の男になること。
(ずっとずっと、手に入れたかった人がやっと俺の掌の上まで来てくれた。ぎゅっと握りしめて、どこにも行かせたくない。でも、しつこくして先輩に嫌われたくない。我儘な本音はなるべく隠しておきたい)
俺だけ見て欲しい。
今すぐ先輩を俺しかいない場所に連れ去りたい。独り占めしたい。
何時だって触れていたくてうずうずする。そう心は喚いてる。
離れていた時間、会えなかった時間、先輩がどんなふうに今の先輩になったのか何もかも知りたい。
沢山話したいよ。
それでこれから大人になるまでに経験する何もかもを、全て先輩と一緒に手を繋いで乗り越えていきたい。
(先輩、燈真先輩。こっち見て)
真っすぐに前を向いたまま、先輩が俺の手をぐっと強く握り返してくれた。
俺よりは少し小ぶりだけど、厚みがあって力強く温かい手だ。胸の中にじわっと安堵感が広がった気分だ。
(先輩って……。やっぱすごい)
「すいません、俺たち、この後用事があるんです。どうだよな? 唯」
「え……。はい」
はっきりとそう断って、先輩はすくっと立ち上がる。
先輩の立ち姿はいつでも潔く、格好が良くて。俺は見惚れてしまう。
先輩は首を巡らせ、俺を見下ろして、にっこり笑う。
「唯、そろそろ行こうか」
「はい」
(ああ、この笑顔。本当にズルい)
これだけで俺は天まで上るような気分になったけど、人目を一応気にして、俺の方からつないだ手を離してしまった。
先輩は、無自覚の人たらしだ。俺自身が身をもって体験しているからよくわかる。
それは老若男女問わずに発動される魅力のようなものだ。先輩は第一印象もいいけど、知れば知るほど余計にこの人なんかいいなって好感が増すタイプだと思う。
姿勢が良くて、礼儀正しくて、話し方も柔和で、人懐っこい笑顔がすごく可愛い。
俺の先輩は誰がどう見ても孫や息子にしたい好青年ナンバーワンであることは間違いない。
(でもね……。『今日は俺を優先してくれないの? 恋人同士になったばっかだよ』)
そんな風に言ったらきっと先輩は困った顔をして、なんとか俺の事を優先しようとするかもしれない。
でもそれじゃダメなんだ。
俺が目指しているのは、先輩が自由に伸び伸びと、先輩らしくいられる場所で生きてくれるのを、一番傍で見守れる、そんな大人の男になること。
(ずっとずっと、手に入れたかった人がやっと俺の掌の上まで来てくれた。ぎゅっと握りしめて、どこにも行かせたくない。でも、しつこくして先輩に嫌われたくない。我儘な本音はなるべく隠しておきたい)
俺だけ見て欲しい。
今すぐ先輩を俺しかいない場所に連れ去りたい。独り占めしたい。
何時だって触れていたくてうずうずする。そう心は喚いてる。
離れていた時間、会えなかった時間、先輩がどんなふうに今の先輩になったのか何もかも知りたい。
沢山話したいよ。
それでこれから大人になるまでに経験する何もかもを、全て先輩と一緒に手を繋いで乗り越えていきたい。
(先輩、燈真先輩。こっち見て)
真っすぐに前を向いたまま、先輩が俺の手をぐっと強く握り返してくれた。
俺よりは少し小ぶりだけど、厚みがあって力強く温かい手だ。胸の中にじわっと安堵感が広がった気分だ。
(先輩って……。やっぱすごい)
「すいません、俺たち、この後用事があるんです。どうだよな? 唯」
「え……。はい」
はっきりとそう断って、先輩はすくっと立ち上がる。
先輩の立ち姿はいつでも潔く、格好が良くて。俺は見惚れてしまう。
先輩は首を巡らせ、俺を見下ろして、にっこり笑う。
「唯、そろそろ行こうか」
「はい」
(ああ、この笑顔。本当にズルい)
これだけで俺は天まで上るような気分になったけど、人目を一応気にして、俺の方からつないだ手を離してしまった。
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