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手作りの魔導具
しおりを挟む「は?」
この女勇者は何を言ってるんだろうか?
一瞬で2人も凍りついたようだ。
「あの後色々考えてやっぱり優しくて心の大きな貴方に惚れました」
「いやいや。俺は」
「だめじゃ!」
「そうだめ!」
うんそうそう言ってやってくれ。
「「私と結婚する」のじゃ」
「「ぬ?!」」
えーと。
「俺のことはこの前話したばっかりだろ?」
「だから休戦協定を結んだのじゃ」
「うむ!」
「それをこの女勇者は事もあろうに結婚してくださいだと!」
「私が一番最初から一緒にいた」
「それは関係ないであろう」
「あのー、私は」
「「絶対ダメ」」
あー、熱くなっちゃって、
「分かった分かった、で?女勇者ちゃんは他にもいるでしょ?他の勇者とかテレビに映ってたよ?」
とりあえずは女勇者からどうにかしよう。
「あー、あいつはダメですね!昨日も喋る機会がありましたが魔王に謝罪する気もないなんて小さい男ですから」
そりゃダメだな、少しは自分がしたこと考えなきゃ。
「それに比べてケント様、私は貴方の虜になりました」
「いや。結婚はお断りします」
「え?なんでですか?そこのエルフと魔王のせいですか?」
「「なーにー?!」」
「おいやめろって!とりあえずこの話はなかったことで!」
俺は2人を連れて走って逃げた。
「私は諦めませんからね!」
「くっ!なんで俺なんだよ!」
「「たらし」じゃ」
「そんなんじゃねえだろ!」ギルドに着くと別室を借りて一息つく。
なんで女勇者までがこう来るんだ?
「あはは、大変そうですね」
「もう、大変どころじゃないですよ」
「それよりどこまでいきましたか?」
「あ、あぁ、40階層まで行ってきたよ」
「そりゃ凄い!」
今野さんは喜んでくれている。
「ミスティ、サーシャ、とりあえず機嫌直してマッピングの紙出してくれよ」
「ん!」
とマッピングの紙を渡して来る。
「ありがとうございます」
「後は今回は武器ばっかりですよ?」
「後ろに見えてますね」
ダガー、スピア、剣、弓、クロウ、
「凄いですね!黒銀シリーズですか!」
「そうですね、まぁ、数もありますし安めで売ってくれれば良いと思いますよ」
「それは安く売ってくれると」
「はい」
「ありがとうございます!」
それでも剣、弓、ダガーは十万、スピアは二十万。クロウは一つしかないので五十万だった。まぁ、安い方だろうな!
黒銀の剣は二つは貰ってきた。あの2人にあげるようだ。
ギルドから出ると、甘いものが食べたくなったので近くのクレープ屋に行くと2人の機嫌も治ってようやく普通に話ができるようになった。
「女勇者とは何もないから安心しろよ?」
「わからないのじゃ!」
「あいつは押しが強い」
「まあな、だけど2人を蔑ろにするつもりはないからな」
「ならいいのじゃ」
「よかった」
とりあえずなんとかなったな!
車に戻りギルドの駐車場から出ようとすると女勇者が走って追いかけてきていた。
急発進して振り切ったが、これは怖いぞ!
2人も唖然としている。
「こ、怖かった!」
「のじゃ」
「…」
ミスティは声も出ないようだな。
次の日は流石に休みにして買い物でも行くことにした。
「これなんてどうでしょうか」
「おー似合うじゃないか」
「そう?なら買おうかな」
「こっち!」
「ミスティもかわいいな」
「買う!」
女の買い物に付き合うのが男の甲斐性なわけね。
「はぁ、いっぱい買ったのじゃ」
「買った!」
でも今は手ぶらで街をぶらついている。まぁ、マジックバッグがあるからな。
そういえばと、スマホで連絡を取ると、
「はい、川崎鞄製作所です」
「あ、そちらでカバンをお願いした忠野というものなんですが」
「あ!あの、ちょっとかわりますね」
「忠野さん!あの皮はまだあるんですか?」
「ありますけど、まだ許可をとってないんですよ?」
「そうなんですか?カバンは出来上がっているので撮りにきてください!」
「はーい!どうも」
まぁ、バレちゃうわな。
鞄を取りに行くと、店員さんが出迎えてくれた。親父さんが、あの皮は鞄に革命をもたらす!あれはぜひうちに取扱させてくれ!と熱意が凄い。
とりあえずできたカバンを見せてもらうとシックな腰に巻くタイプのヒップバックになっている。
中に手を突っ込むとまぁまぁかな、容量以上は入るけど入って剣が3本くらいかな?
「まだまだ改良出来るはずだ!皮さえあれば!」
「それじゃあ売らないと約束してもらってこれを」
マジックバッグから皮を一枚取り出して渡すと、飛び上がるように皮を持っていった。あそこから鞣したり色々な工程があるんだろうなぁと思いながら店を出る。金は要らないとの事だった。
と言うわけでギルドの別室に来ている。
「なんですか?今日は休みじゃ?」
「とりあえず未完成品なんですが、魔道具が作れたので持ってきましたけど」
「ま、魔道具!?」
今野さんの驚きようがすごいな。
「ど、どんなものですか?」
「これなんですけど」
「ま、マジックバッグですか?」
「未完成といったじゃないですか」
「さ、触っても?」
「もちろん」
「うお!まじ凄いっすね!これで未完成ですか?」
「そうです。まだ改良するとの事でしたから」
今野さんは手を入れては出して広さを確認している。
「これ、革命ですよ!わかってますか?」
「わかってますよ。これを作る許可を得に来ましたから」
「今から行ってきます!!」
今野さんは走って行ってしまった。
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