蜘蛛の糸の雫

ha-na-ko

文字の大きさ
79 / 138
最後の夜

5. いままでにないほどの優しいSEX。

しおりを挟む
「うん……んん……んぁん……」

キスをされながら僕の肩に腕を回し、ゆっくりと後ろへと倒される。
ジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイも取っている社長の首に腕を回した。

舌は絡まり甘い吐息だけが漏れ、脳が痺れてくる。
唇が離れると、今度は僕の首元にキスを落としながら、鎖骨へと到達する。

「あっ!……本当に汗流してないので、汗臭いと思……んんっ!」

ふぅーふぅー……と肩で息をする社長。
僕の匂いに興奮してくれている……。
僕も社長の髪をなでながら、社長の匂いを嗅ぎ、ブルッと震えがくるほどの快感が走った。

ビクンッ!!

シャツの上から乳首を摘まれ、身体が跳ねる。
優しい吐息が聞こえ。

「友哉……」

ドキンッ!!!!

名前を呼んでくれた!?

心臓がバクバクと音を立て、きゅんと締め付けられるような感覚に陥った。

「友哉……友哉……」

何度も愛おしそうに僕の名前を呼び、シャツのボタンを外してチラッと見えたピンク色の乳首を優しく舌で舐めまわし、指を絡めるように手を繋ぐ。

ぴちゃ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅる……

「んっ!……んぁっ!……あっ!……ふぅんっ!」

ブルブルと痙攣を起こし、胸の突起から全身に電気が走る。その度ぎゅっぎゅっと握られた手に力が入る。

「……あっ!アッアアッッッ!!」

優しくもどかしい位の刺激なのに、声だけは押さえが効かない。

「気持ちいいかい?友哉……」

籠った低い声で呟かれ、切ない気持ちが込みあがってまた涙がこぼれた。


名前で呼ばれたのは何年振りだろう。
そして、いままでにないほどの優しいSEX。

まるで恋人同士の営みのように、手を握り、確かめ合うように唇を重ね、肌のぬくもりを味わい、互いの声と匂いに酔いしれる。
僕も思わず、いつも頭の中だけでしか呟いたことの無いことを口に出してしまった。



「あぁ……気持ちいい………弘和さ…ん……」


はっとした。


自分でも口走っているのにしばらく気づかず、驚いた社長の顔が飛び込んできて慌てて口を手で覆った。

「ごめんな…さい……」

社長は口に当てた僕の手をゆっくり退かすと、唇だけがかすかに触れるキスをした。

「いい……今夜はそう呼べ」

優しい、優しい声。

「弘和さん……弘和さん……」

僕が名前を呼ぶたびに視線を向けてくれた。
その瞳が熱く僕の胸を焦がす。

さっきまで女の人といちゃいちゃしていたなんて嘘のよう。
結婚するなんて、嘘のよう。

まるで、僕のもののよう……。




胸からお腹、わき腹、腰とキスをひろげ、僕はその甘い刺激に身を捩りながら、そんな錯覚に陥っていた。

社長がもうはちきれそうな僕のちんこに手をかけた。触れられただけで、ビクンと全身が震え、腰が浮く。そそり立つそれの裏筋を、躊躇無く大きく舐め上げた。

ビクビクビクビクビクッッ!!

「んんっああぁぁっっ」

背中を反らせ、痺れに似た快感に身を捩り、思わず社長の髪を掴んだ。だが、お構いなしとばかりに、今度は口いっぱいにほうばる。

くちゅっ!くちゅっ!くちゅっ!……

そのまま顔を上下させた。

「はぁん!あんっ!ああっ!……ひろ…かずさん!あっ!あぁっ!あっっ!」

ビュクビュクと社長の口内に先走りを吐き出しながら、硬さを増す肉棒の刺激に全身を震わせる。
声に出して名前を呼べるという喜びも更なる快感となり自分の声に煽られた。

暖かく吸い上げながら、社長は自分のシャツに手をかけ上着を脱ぐ。
逞しい肩や腕が汗で光って、上目遣いで見つめる鋭い瞳とが僕をゾクリとさせ、さらなる刺激となってもう何も考えられなくなっていた。
腰が勝手に動く中、社長の指先はアナルへとあてがわれる。
ローションを塗った人差し指がゆっくりと僕の中に侵入し、震える声が漏れた。

「ああぁぁ……あぁぁっ……あぅん……」

根元まで埋まるぐらいに奥が刺激されだすと、くいっと指を曲げていつものいいところを抉った。

「ひゃぁぁん!!」

「ここか……友哉。
………奥がいい?」

ビクビクと小刻みに痙攣を起こし涙目でこくんと頷くと、またそっと唇を寄せてきて味わうようにキスを交わし、頬をすり合わせ熱い吐息が混ざり合う。

はぁ……、はぁ……、はぁ……。

社長の視線は、ベッドへ横たえシーツを掴み切なく見上げる僕を常に見据え、僕は身体のナカを擦られる感覚に酔いしれ、荒い息と共に小さく声を漏らし続ける。
くちゅくちゅとゆっくり襞を慣らしながら、もう一方の手は同じタイミングで大きく硬くそそり立つ社長自身を扱き出していた。

どうしたのだろう。
シャワーを浴びる前まではあんなに怒っていたのに……。
こんな壊れ物のように大切に抱かれるなんてこと、初めてだ。


……もしかして、これが最後だからなのだろうか。


だったら………

今までの想いも、全部………。



「弘和さん……もっと、もっと……して」









しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

処理中です...