義妹を溺愛するクズ王太子達のせいで国が滅びそうなので、ヒロインは義妹と愉快な仲間達と共にクズ達を容赦なく潰す事としました(略称:クズぷちっ)

やみなべ

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第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編

12.アレをクズ呼ばわりなんてもう私達の中では常識になってるのだから

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 ここはフランクフルト王国の王城のやんごとなき会議室。
 本来なら重鎮以外決して立ち入る事ができない場だ。

 そういう意味では、王太子デルフリも次期国王として会議に参加する権利はある。

 というか、現国王トビアスは部屋から出てこない引きこもりだ。デルフリが次期国王であれば、例えお飾りであっても王代理としてこの会議に参加する義務がある。

 むしろ、参加しなければ次期国王の立場を放棄するに等しい行為だ。
 そんな会議をデルフリは毎回サボっていたので、アーデルとその側近達はもうすでに王太子を見限っていた。

 それでも今日は遅刻しながらも顔を出すなんて珍しいっと思ったら……



「アーデル!懇親会を開くぞ!!!準備しとけ!!」

 これである。


「「「「「「…………はぁ?」」」」」」

 アーデルとその側近は驚きのあまり、つい間の抜けた声をハモらせてしまうのも無理はない。
 だが、元凶である王太子のデルフリにとっては癪に障る反応だったようだ。


「なんだその態度は!!」

 威嚇するかのごとく、ガンっと扉を蹴りつけ……



「……っっっ!!!」

 扉が頑丈だった事もあって、痛そうに足を抑えてうずくまってしまった。


「それで懇親会とはどういうことでしょうか?(…………痛い思いしたくないなら、扉蹴らなければいいのに)」

 アーデルは周囲が思い描いてる事を代表して口にしたい衝動へとかられつつも、それを口に出したら話が進まないと判断。
 思わぬ形で中断してしまった会議をできるだけ早く再開するため、真意を聞き出すことを優先した。
 その声に答えてくれたのはデルフリが取り巻きのごとく連れている男、マイヤーであった。彼は厭味ったらしく眼鏡をグイっと整えながら言い放つ。

「殿下のお言葉通りですよ。3日後に王国の未来を担う若者達と交流を深める懇親会を開きますのでこの申請書に書き記してる通り対応お願いします。ささ、デルフリ様。いつまでも田舎臭い娘達の相手をせずお仕事をしましょう。王太子様にしか出来ない、崇高なお仕事がお待ちです」

「そ、そうだな。お前たちも崇高な俺を見習うがいい」

 そう言い残したデルフリは護衛を兼ねた騎士団長の子息ペーターに肩を持たれながら、足を引きずりながら部屋から立ち去った。
 その様はもはや突っ込みどころありまくりなため、アーデル含む会議室の面々は理解が及ぶのに数秒かかった。

「アーデル様を筆頭とする将来王国を背負われるであろう皆さま!会議中だというのに不届き者を通してしまって申し訳ありません!!」

 我に返った時を見計らったかのように顔を出して来た守兵が申し訳なさそうに謝ってくる。

「別にいいのよ。この会議はあのクズにも出席義務があるわけだし、入室を阻まなかったのは正しい行い。貴方達は職務を忠実に遂行しただけの話でしょう」

「そう言ってくださると幸いですが……仮にも婚約者で王太子でもあるデルフリ様をクズ呼ばわりはどうかと思います」

「それこそいいのよ。アレをクズ呼ばわりなんてもう私達の中では常識になってるのだから」

「「「「「「その通りです!!」」」」」」

 アーデルがはっきりきっぱり口にすれば会議の参加者達も皆同意するかのごとく頷いた。
 その雰囲気に守兵は思わず引き気味になるも……
 目立たぬところに鎮座している老人。会議での最高責任者でお目付け役であろう爺やが何も言わないのであれば、守兵の立場ではこれ以上食い下がるわけにはいかない。

「わかりました。なら我々も空気を読んで……先ほどの発言は聞かなかった事にしましょう」

 即座に顔を引き締め、敬礼しながらパタンっと扉を閉める。
 こうして嵐が過ぎ去って静寂が訪れる中、アーデルはつい『はぁっ』と溜息を付いた。
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