義妹を溺愛するクズ王太子達のせいで国が滅びそうなので、ヒロインは義妹と愉快な仲間達と共にクズ達を容赦なく潰す事としました(略称:クズぷちっ)

やみなべ

文字の大きさ
96 / 229
第二章 王国革命からの害虫貴族駆除編

⑨5.わしもこんな現実に気付かなければよかったと後悔しとるよ(SIDE:アインズ) ※ 1度目の害虫貴族駆除回(その3)

しおりを挟む
「どうする……どうすればいいんだ!!」

 どうあがいても敗北な戦況を前にし、アインズは頭を抱えて悩んでいた。
 開戦前までは王国軍に敗北なんてありえないっと息巻いてただけあって、敗北時にどうするかなんて全く考えてなかったのだ。

 だが、現実は御覧の有様である。


「アインズ様。何を心配なさってるのでしょうか?明日になれば援軍が来るのでしょう」

「今度は1万もの人数が来るのですから、今度こそ圧勝間違いないでしょう。はっはっはっは」

「馬鹿が!!ここから王都まで徒歩だと1日はかかる!!ましてや1万の軍勢ではさらに日数がかかる……どう計算しても間に合わんわ!!!」

 そう、間に合わない……
 今回の戦争期間は開戦からきっかり24時間と決められており、時間内に決着が付かなければ大将同士の一騎打ちとなる。

 王国軍の大将であるデルフリは王国内で敵なしと言われてるも、実際の腕前は一般人にすらストレート負けしかねないほどのへっぽこ。

 一騎打ちなんてまず勝ち目がない。

 大将同士の一騎打ちでなく代理や複数人で襲うという案も考えたが、教会に意義を唱えたツヴァインの末路が脳裏に浮かんだ事もあって即座に却下。

 あくまでルール内で勝つ必要があるわけだ。
 だからこそアインズはこの絶体絶命のピンチを前にして打開策を考える。

 突如打開策のアイデアがひらめいてくれるわけもなければ、仲間がきて助けてくれるわけもない。

 いや、一応周囲には同僚の貴族もいる事はいるが、大半は『明日になればなんとかなる』と気楽に考えている連中だ。
 何の頼りにもならないのは確定的に明らか。

 同じ空気を吸い続けていたら気楽さが伝染しかねないからっと自天幕へと戻って一人になるも、それで事態が好転するわけでもない。

「本当にどうすればいいんだ……」


 先ほどから何度ぼやいたかわからない言葉を紡ぎながら、非情な現実……
 敗北後の自身の運命を嘆いていると予想外の所から助けがでてきた。

「ふふふ……どうやら貴方はそこらの夢心地な有象無象と違って、しっかり現実が見えているようですね。もっとも、目覚めるのが少々遅かったようですが」

「ふん、わしもこんな現実に気付かなければよかったと後悔しとるよ。それより何の用だ?マイヤーよ。よもやこの状況を打倒する策があるとでも」

「くくく……当然ですよ。我に策あり。むしろ、この戦況は予定調和なのですよ」

「ほぅ。つまり貴様は自軍にこれほどまでの被害を出すのが最初からわかっていたと?」

「当然っと言いたいとこですが、ここまでの被害はさすがに計算外。私の予想では6割程度の被害だったのですが、まさか⑨割を超えるとは……皆様の無能っぷりに少々呆れてるところです」

「相変わらず口の減らない奴だな」

「いいではないですか。アインズ様は貴方のご子息やクズ殿下と違って気兼ねなく私の素が出せるのですから。ふふふふふ……」

 そう笑うマイヤーは普段の姿。クズ王太子の腰ぎんちゃくをしてる姿と同一人物と思えないほどの変貌ぶりだった。
 だが、アインズはマイヤーが優秀な反面、貴族だろうと目上だろうとお構いなしに人を小馬鹿にするような素を持っているのを最初から知っていた。
 あのクズ王太子が無能ながらも都合のよい神輿として担げるのは、マイヤーが表と裏の両方で適切にサポートしているからといっても過言ではない。

 つまり、クズを都合の良い神輿として担ぐにはマイヤーのお膳立てが必要不可欠なのだ。
 なのでアインズはマイヤーを咎める事なく話を促す。

「して、その策とはなんだ?」

「信用するのですか?私のような悪党の言葉を」

「お主の本性は悪辣であっても、味方にすれば頼もしい存在なのは確かだ。それにここで負ければクズ殿下のお付きとして参戦したお前にも被害が及ぶ。この戦争、何が何でも勝たねばならんのだろう。信用するからさっさと話せ」

「貴方様は思慮足らずで愚かなご子息アインと違って賢明なお方ですね。いいでしょう、私がとっておきの策を授けましょう。その策は…………


夜襲です」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

女神に頼まれましたけど

実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。 その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。 「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」 ドンガラガッシャーン! 「ひぃぃっ!?」 情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。 ※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった…… ※ざまぁ要素は後日談にする予定……

婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?

ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」  華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。  目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。  ──あら、デジャヴ? 「……なるほど」

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ

タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。 灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。 だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。 ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。 婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。 嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。 その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。 翌朝、追放の命が下る。 砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。 ――“真実を映す者、偽りを滅ぼす” 彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。 地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...