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第二章 王国革命からの害虫貴族駆除編
⑨5.わしもこんな現実に気付かなければよかったと後悔しとるよ(SIDE:アインズ) ※ 1度目の害虫貴族駆除回(その3)
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「どうする……どうすればいいんだ!!」
どうあがいても敗北な戦況を前にし、アインズは頭を抱えて悩んでいた。
開戦前までは王国軍に敗北なんてありえないっと息巻いてただけあって、敗北時にどうするかなんて全く考えてなかったのだ。
だが、現実は御覧の有様である。
「アインズ様。何を心配なさってるのでしょうか?明日になれば援軍が来るのでしょう」
「今度は1万もの人数が来るのですから、今度こそ圧勝間違いないでしょう。はっはっはっは」
「馬鹿が!!ここから王都まで徒歩だと1日はかかる!!ましてや1万の軍勢ではさらに日数がかかる……どう計算しても間に合わんわ!!!」
そう、間に合わない……
今回の戦争期間は開戦からきっかり24時間と決められており、時間内に決着が付かなければ大将同士の一騎打ちとなる。
王国軍の大将であるデルフリは王国内で敵なしと言われてるも、実際の腕前は一般人にすらストレート負けしかねないほどのへっぽこ。
一騎打ちなんてまず勝ち目がない。
大将同士の一騎打ちでなく代理や複数人で襲うという案も考えたが、教会に意義を唱えたツヴァインの末路が脳裏に浮かんだ事もあって即座に却下。
あくまでルール内で勝つ必要があるわけだ。
だからこそアインズはこの絶体絶命のピンチを前にして打開策を考える。
突如打開策のアイデアがひらめいてくれるわけもなければ、仲間がきて助けてくれるわけもない。
いや、一応周囲には同僚の貴族もいる事はいるが、大半は『明日になればなんとかなる』と気楽に考えている連中だ。
何の頼りにもならないのは確定的に明らか。
同じ空気を吸い続けていたら気楽さが伝染しかねないからっと自天幕へと戻って一人になるも、それで事態が好転するわけでもない。
「本当にどうすればいいんだ……」
先ほどから何度ぼやいたかわからない言葉を紡ぎながら、非情な現実……
敗北後の自身の運命を嘆いていると予想外の所から助けがでてきた。
「ふふふ……どうやら貴方はそこらの夢心地な有象無象と違って、しっかり現実が見えているようですね。もっとも、目覚めるのが少々遅かったようですが」
「ふん、わしもこんな現実に気付かなければよかったと後悔しとるよ。それより何の用だ?マイヤーよ。よもやこの状況を打倒する策があるとでも」
「くくく……当然ですよ。我に策あり。むしろ、この戦況は予定調和なのですよ」
「ほぅ。つまり貴様は自軍にこれほどまでの被害を出すのが最初からわかっていたと?」
「当然っと言いたいとこですが、ここまでの被害はさすがに計算外。私の予想では6割程度の被害だったのですが、まさか⑨割を超えるとは……皆様の無能っぷりに少々呆れてるところです」
「相変わらず口の減らない奴だな」
「いいではないですか。アインズ様は貴方のご子息やクズ殿下と違って気兼ねなく私の素が出せるのですから。ふふふふふ……」
そう笑うマイヤーは普段の姿。クズ王太子の腰ぎんちゃくをしてる姿と同一人物と思えないほどの変貌ぶりだった。
だが、アインズはマイヤーが優秀な反面、貴族だろうと目上だろうとお構いなしに人を小馬鹿にするような素を持っているのを最初から知っていた。
あのクズ王太子が無能ながらも都合のよい神輿として担げるのは、マイヤーが表と裏の両方で適切にサポートしているからといっても過言ではない。
つまり、クズを都合の良い神輿として担ぐにはマイヤーのお膳立てが必要不可欠なのだ。
なのでアインズはマイヤーを咎める事なく話を促す。
「して、その策とはなんだ?」
「信用するのですか?私のような悪党の言葉を」
「お主の本性は悪辣であっても、味方にすれば頼もしい存在なのは確かだ。それにここで負ければクズ殿下のお付きとして参戦したお前にも被害が及ぶ。この戦争、何が何でも勝たねばならんのだろう。信用するからさっさと話せ」
「貴方様は思慮足らずで愚かなご子息と違って賢明なお方ですね。いいでしょう、私がとっておきの策を授けましょう。その策は…………
夜襲です」
どうあがいても敗北な戦況を前にし、アインズは頭を抱えて悩んでいた。
開戦前までは王国軍に敗北なんてありえないっと息巻いてただけあって、敗北時にどうするかなんて全く考えてなかったのだ。
だが、現実は御覧の有様である。
「アインズ様。何を心配なさってるのでしょうか?明日になれば援軍が来るのでしょう」
「今度は1万もの人数が来るのですから、今度こそ圧勝間違いないでしょう。はっはっはっは」
「馬鹿が!!ここから王都まで徒歩だと1日はかかる!!ましてや1万の軍勢ではさらに日数がかかる……どう計算しても間に合わんわ!!!」
そう、間に合わない……
今回の戦争期間は開戦からきっかり24時間と決められており、時間内に決着が付かなければ大将同士の一騎打ちとなる。
王国軍の大将であるデルフリは王国内で敵なしと言われてるも、実際の腕前は一般人にすらストレート負けしかねないほどのへっぽこ。
一騎打ちなんてまず勝ち目がない。
大将同士の一騎打ちでなく代理や複数人で襲うという案も考えたが、教会に意義を唱えたツヴァインの末路が脳裏に浮かんだ事もあって即座に却下。
あくまでルール内で勝つ必要があるわけだ。
だからこそアインズはこの絶体絶命のピンチを前にして打開策を考える。
突如打開策のアイデアがひらめいてくれるわけもなければ、仲間がきて助けてくれるわけもない。
いや、一応周囲には同僚の貴族もいる事はいるが、大半は『明日になればなんとかなる』と気楽に考えている連中だ。
何の頼りにもならないのは確定的に明らか。
同じ空気を吸い続けていたら気楽さが伝染しかねないからっと自天幕へと戻って一人になるも、それで事態が好転するわけでもない。
「本当にどうすればいいんだ……」
先ほどから何度ぼやいたかわからない言葉を紡ぎながら、非情な現実……
敗北後の自身の運命を嘆いていると予想外の所から助けがでてきた。
「ふふふ……どうやら貴方はそこらの夢心地な有象無象と違って、しっかり現実が見えているようですね。もっとも、目覚めるのが少々遅かったようですが」
「ふん、わしもこんな現実に気付かなければよかったと後悔しとるよ。それより何の用だ?マイヤーよ。よもやこの状況を打倒する策があるとでも」
「くくく……当然ですよ。我に策あり。むしろ、この戦況は予定調和なのですよ」
「ほぅ。つまり貴様は自軍にこれほどまでの被害を出すのが最初からわかっていたと?」
「当然っと言いたいとこですが、ここまでの被害はさすがに計算外。私の予想では6割程度の被害だったのですが、まさか⑨割を超えるとは……皆様の無能っぷりに少々呆れてるところです」
「相変わらず口の減らない奴だな」
「いいではないですか。アインズ様は貴方のご子息やクズ殿下と違って気兼ねなく私の素が出せるのですから。ふふふふふ……」
そう笑うマイヤーは普段の姿。クズ王太子の腰ぎんちゃくをしてる姿と同一人物と思えないほどの変貌ぶりだった。
だが、アインズはマイヤーが優秀な反面、貴族だろうと目上だろうとお構いなしに人を小馬鹿にするような素を持っているのを最初から知っていた。
あのクズ王太子が無能ながらも都合のよい神輿として担げるのは、マイヤーが表と裏の両方で適切にサポートしているからといっても過言ではない。
つまり、クズを都合の良い神輿として担ぐにはマイヤーのお膳立てが必要不可欠なのだ。
なのでアインズはマイヤーを咎める事なく話を促す。
「して、その策とはなんだ?」
「信用するのですか?私のような悪党の言葉を」
「お主の本性は悪辣であっても、味方にすれば頼もしい存在なのは確かだ。それにここで負ければクズ殿下のお付きとして参戦したお前にも被害が及ぶ。この戦争、何が何でも勝たねばならんのだろう。信用するからさっさと話せ」
「貴方様は思慮足らずで愚かなご子息と違って賢明なお方ですね。いいでしょう、私がとっておきの策を授けましょう。その策は…………
夜襲です」
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