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第二章 王国革命からの害虫貴族駆除編
116.余はトビアス。フランクフルト王国の第891代国王トビアスである!! ※ 4度目の害虫貴族駆除回(その7)
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「皆の者、改めて名乗らせてもらおう……余はトビアス。フランクフルト王国の第89代国王トビアスである!!」
ダンッと王錫を床に叩きつけながら宣言する国王トビアス。
その姿は王の貫録がにじみ出ており、相対者はとっさに跪く。
そんな中、衛兵長が再度声をあげる。
「ト、トビアス国王様……貴方様は死んだのでは?」
「はて?余はこの通りピンピンしておるぞ。誰から聞いたのだそれは」
「そ、それは……アーデル様が……?!」
台詞途中で衛兵長はハッと気づく。
そう、アーデルは別に王を殺しただなんて言ってない。
王錫についた赤い液体も王の血とは言ってない。
王の証たる王錫もマントも王冠も、強奪したとは言ってない。
そもそもアーデル自身が王座を簒奪したとは言ってないし、女王宣言もしてない。
全て早とちりだ。
「まぁよい。余はお飾りの王。死んでようとも生きてようとも対して問題ない存在。余が自室から長時間抜け出してる事に誰も気付かぬぐらいのどうでもよい存在だ。
おまけに王たる余が目の前にいても堂々と批判するような不敬者がおろうとも、罰する事すら出来ぬ無能な王。そうであろう、アーデル嬢」
「それに関しては返す言葉もありません」
「よいよい。皆にも伝えておくが、余に不敬を働いても別に罰する気はない。なにせお主らと接したのは大半が公の場でもないような場所であるからな。はっはっは」
王は笑うも、大半の者は冷や汗ものだ。
特にビィトが素性の知れない平民だからと調子こいてぞんざいに扱ったりした者は生きた心地しないだろう。
アーデル達も王都中が戦争に意識が向いている隙をついて王権を簒奪すべく、少数を率いて王の私室へと踏み込んだ時に明かされたトビアス国王のもう一つの顔を知った際には同じような戦慄が走ったのだ。
ただまぁトビアス王は何年も前にアーデルへ王権を渡す腹積もりだったので、王権の移行はアーデルの想定以上にスムーズだったのは救いであろう。
今回トビアス国王に暴露を促したのは、アーデル達が味わった何とも言えぬ想いを皆にも平等に味わってもらおうというもの。
そこに深い意味は全くないが、そんなアーデル達の思惑が周囲に気付くわけがない。
なぜ今ここで王の正体が明かされたのかっと、皆が必死に王たちの思惑を読もうと頭を巡らせていた。
アーデルとその側近達が浮かべている笑み。悪戯が成功したかのような笑みが何を意味するのか、その意図を必死になって読み取ろうとしていた。
大事な事なので二回言うが、深い意味は全くない。
よって、この暴露はアーデルの思惑を超えるほどの混乱を引き起こすのであった。
……
…………
………………
「さて、皆が落ち着いたところで話を元に戻そうと思う……いや、そもそも本題にすら入ってなかったな」
国王となったトビアスは王座に座りながら周囲を見渡す。
その際に脱線の原因となった者……
王の権限で議題が終わるまでは牢獄行きを見送られたトリネー含む馬鹿子息達に視線を送るも、ふんっと生意気な態度を崩さないトリネー以外は戦々恐々としていた。
アーデルと違ってトビアスは先代の王妹の子という正当な王家の血筋によって就任していた国王。
例えお飾りであっても王は王だ。
加えて先ほどから王としての貫録を出しながら、話を進めているのだ。
その様からみて、特にビィトとしての姿を見て来た者は悟った。
王は今まで無能を装っていただけだと……
ただ、さすがに今回の企み……クズの婚約破棄騒ぎや戦争を利用した馬鹿貴族達の粛清やアーデルに王位を簒奪させた企みの黒幕だとは気付いてない。
アーデルに自分がビィトだと明かしても全ての黒幕だとは明かしてない。
ドム爺やマイヤーがいうには、その事実を明かせばアーデル達はトビアスを国を滅ぼした愚王としてではなく王国のために自ら幕引きを引いた最期に相応しい王として歴史に残してしまうと予測していた。
アーデルの治世を滞りなく進めるために愚王として処刑される覚悟を決めていたトビアスは、こんな国の危機でさえも引きこもり続ける愚王だと印象付けたかったが……
アーデルの子どもじみた悪戯心のせいで、表舞台に立たされたわけだ。
最初こそ不本意な想いはあれど、よくよく考えれば表に出ないのはただのエゴ。子供じみたわがままで若輩なアーデルにこれ以上の多大な負担をかけてしまうわけにはいかない。
それに気付いた事もあり、ここからはまだ女王(仮)なアーデルではなくお飾りながらも王として君臨中のトビアスが場を仕切る事にした。
ダンッと王錫を床に叩きつけながら宣言する国王トビアス。
その姿は王の貫録がにじみ出ており、相対者はとっさに跪く。
そんな中、衛兵長が再度声をあげる。
「ト、トビアス国王様……貴方様は死んだのでは?」
「はて?余はこの通りピンピンしておるぞ。誰から聞いたのだそれは」
「そ、それは……アーデル様が……?!」
台詞途中で衛兵長はハッと気づく。
そう、アーデルは別に王を殺しただなんて言ってない。
王錫についた赤い液体も王の血とは言ってない。
王の証たる王錫もマントも王冠も、強奪したとは言ってない。
そもそもアーデル自身が王座を簒奪したとは言ってないし、女王宣言もしてない。
全て早とちりだ。
「まぁよい。余はお飾りの王。死んでようとも生きてようとも対して問題ない存在。余が自室から長時間抜け出してる事に誰も気付かぬぐらいのどうでもよい存在だ。
おまけに王たる余が目の前にいても堂々と批判するような不敬者がおろうとも、罰する事すら出来ぬ無能な王。そうであろう、アーデル嬢」
「それに関しては返す言葉もありません」
「よいよい。皆にも伝えておくが、余に不敬を働いても別に罰する気はない。なにせお主らと接したのは大半が公の場でもないような場所であるからな。はっはっは」
王は笑うも、大半の者は冷や汗ものだ。
特にビィトが素性の知れない平民だからと調子こいてぞんざいに扱ったりした者は生きた心地しないだろう。
アーデル達も王都中が戦争に意識が向いている隙をついて王権を簒奪すべく、少数を率いて王の私室へと踏み込んだ時に明かされたトビアス国王のもう一つの顔を知った際には同じような戦慄が走ったのだ。
ただまぁトビアス王は何年も前にアーデルへ王権を渡す腹積もりだったので、王権の移行はアーデルの想定以上にスムーズだったのは救いであろう。
今回トビアス国王に暴露を促したのは、アーデル達が味わった何とも言えぬ想いを皆にも平等に味わってもらおうというもの。
そこに深い意味は全くないが、そんなアーデル達の思惑が周囲に気付くわけがない。
なぜ今ここで王の正体が明かされたのかっと、皆が必死に王たちの思惑を読もうと頭を巡らせていた。
アーデルとその側近達が浮かべている笑み。悪戯が成功したかのような笑みが何を意味するのか、その意図を必死になって読み取ろうとしていた。
大事な事なので二回言うが、深い意味は全くない。
よって、この暴露はアーデルの思惑を超えるほどの混乱を引き起こすのであった。
……
…………
………………
「さて、皆が落ち着いたところで話を元に戻そうと思う……いや、そもそも本題にすら入ってなかったな」
国王となったトビアスは王座に座りながら周囲を見渡す。
その際に脱線の原因となった者……
王の権限で議題が終わるまでは牢獄行きを見送られたトリネー含む馬鹿子息達に視線を送るも、ふんっと生意気な態度を崩さないトリネー以外は戦々恐々としていた。
アーデルと違ってトビアスは先代の王妹の子という正当な王家の血筋によって就任していた国王。
例えお飾りであっても王は王だ。
加えて先ほどから王としての貫録を出しながら、話を進めているのだ。
その様からみて、特にビィトとしての姿を見て来た者は悟った。
王は今まで無能を装っていただけだと……
ただ、さすがに今回の企み……クズの婚約破棄騒ぎや戦争を利用した馬鹿貴族達の粛清やアーデルに王位を簒奪させた企みの黒幕だとは気付いてない。
アーデルに自分がビィトだと明かしても全ての黒幕だとは明かしてない。
ドム爺やマイヤーがいうには、その事実を明かせばアーデル達はトビアスを国を滅ぼした愚王としてではなく王国のために自ら幕引きを引いた最期に相応しい王として歴史に残してしまうと予測していた。
アーデルの治世を滞りなく進めるために愚王として処刑される覚悟を決めていたトビアスは、こんな国の危機でさえも引きこもり続ける愚王だと印象付けたかったが……
アーデルの子どもじみた悪戯心のせいで、表舞台に立たされたわけだ。
最初こそ不本意な想いはあれど、よくよく考えれば表に出ないのはただのエゴ。子供じみたわがままで若輩なアーデルにこれ以上の多大な負担をかけてしまうわけにはいかない。
それに気付いた事もあり、ここからはまだ女王(仮)なアーデルではなくお飾りながらも王として君臨中のトビアスが場を仕切る事にした。
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