130 / 229
第二章 王国革命からの害虫貴族駆除編
12⑨.チェックメイト……か(SIDE:ビィト)
しおりを挟む
「ぎょぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
どっごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!
地下にまで響き渡ったドム爺の断末魔と轟音。
それで全てを察したマイヤーはやれやれっと言わんばかりに立ち上がった。
「陛下。私は48の殺人技の一つ。『大空旅行』でもってゴミ焼却場までダイレクトに放り込まれたであろうエロ爺を回収してきます。
本来ならそのまま汚物として焼却処分したいところですが、状況が状況なだけにそれはまずいでしょうから……はぁ」
溜息混じりに隠し部屋を出るマイヤー。
マイヤーは嫌味で陰険で人の神経を逆撫でするのが大好きな人種。さらに長年クズ王太子のお目付け役として行動し続けた事もあって、並大抵の事では動じない胆力もある。
そんな彼が頭を抱える辺り、ドム爺の愚行は相当アレだったようだ。明日に国の運命が決定付けられるという場面でなければ、まず間違いなく焼却にかかるだろう。
「まぁドム爺様が行ったのは立派な犯罪。焼却したい気持ちはわからなくもないか」
ビィトは一人残された部屋でテーブルをみる。
テーブルの上では勝負途中のチェスの盤面が残されていた。
なんてことはない。総責任者であるドム爺が戻ってくるまでの暇つぶしだ。
なぜこんな時にっと思うだろうも、ドム爺やマイヤー曰く、こんな時にこそ行うものらしい。
凡人であるビィトでは全く理解できない考えである。
いろんな意味を含めてなのだが……
改めてテーブルの盤面をみれば、勝負はすでに決まったも同然。
どんな馬鹿でも次の一手でビィトがチェックメイトに持ち込めるものであった。
「チェックメイト……か」
ビィトは独り言ちながら盤面の流れを振り返る。
最初は定石通りに攻めるも中盤戦へと入る前にビィトは奇策を……
クイーンを5Fに攻め込ませるという奇策を繰り出した。
この奇策を最初に披露したのはハイジだった。
ビィトは最初こそ『あ~これはまた考えなしで打ったな』と思うも、横からみていたドム爺はなぜか『むぅ……これは興味深いっと』唸らせるだけのものがあった。
ドム爺の反応をみて、改めて冷静に見定めたら……ドム爺が唸ったのもわかる程の革新的な一手だったのだ。
ただ、ハイジの頭では自分で打った奇策を全く活かすことが出来ずにあっさり瓦解。
これはこれでハイジらしいと言えるも、そうしたハイジの思いつきを形にするのが昔からのビィトの役目。
ビィトはハイジの繰り出した偶然の一手を奇策として活用できるよう研究した。
その成果は確かにあった。
おそらく王国トップ3に入るであろうドム爺相手に一時は優勢まで追い込むも、詰めまでの道筋を誤って逆転負けだ。
結論からいえば、ハイジが生み出す奇策は定石から外れてるだけあって使いこなすには相当な地力とセンスが必要であり、凡人であるビィトでは到底手に負えなかった。
そんな奇策の数々をマイヤーは次々と自分のモノとしていた。
マイヤーはドム爺が手塩にかけて育てた直弟子であり、策略に関しては右に出る者なしと言われるほどの鬼才持ちだ。
クズとそのクズに寄生して利益をかすめ取ると狡い貴族連中だけでなく、アーデルと愉快な仲間達からも信頼を得られるほどの絶妙な立ち位置をキープし続けるその才覚はまさに鬼才ともいえよう。
チェスでも定石通りの攻めと受けだけでなく、ビィトでは到底使いこなせないっと匙を投げた奇策の数々を平然と使いこなすという、変幻自在ともいえる打ち筋は蝙蝠よろしくに自分の立ち位置を絶妙に調整できる彼だからこそ出来る芸当だ。
だからこそ、ビィトはこの盤面……
いくら必殺の奇策を使ったからといっても、マイヤーの地力であれば十分逆転可能なのに、彼は最初から勝負を捨てるかのように攻めた。
クイーンを無視し、ひたすらにキングを取るために駒を動かした。
その様は……
“クイーンであるアーデル様を無視し、キングであるクラーラ嬢を追い求める。手の届かないところへ逃げてもお構いまし。そうした中でクイーンがようやく邪魔な事に気付いて排除に動くも、クイーンを取った程度ではもう戦況は覆せない。まるでクズ王太子の行動そのものですよね”
その言葉に導かれるまま、ビィトはクズの今までの行動を思い起こすのであった。
どっごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!
地下にまで響き渡ったドム爺の断末魔と轟音。
それで全てを察したマイヤーはやれやれっと言わんばかりに立ち上がった。
「陛下。私は48の殺人技の一つ。『大空旅行』でもってゴミ焼却場までダイレクトに放り込まれたであろうエロ爺を回収してきます。
本来ならそのまま汚物として焼却処分したいところですが、状況が状況なだけにそれはまずいでしょうから……はぁ」
溜息混じりに隠し部屋を出るマイヤー。
マイヤーは嫌味で陰険で人の神経を逆撫でするのが大好きな人種。さらに長年クズ王太子のお目付け役として行動し続けた事もあって、並大抵の事では動じない胆力もある。
そんな彼が頭を抱える辺り、ドム爺の愚行は相当アレだったようだ。明日に国の運命が決定付けられるという場面でなければ、まず間違いなく焼却にかかるだろう。
「まぁドム爺様が行ったのは立派な犯罪。焼却したい気持ちはわからなくもないか」
ビィトは一人残された部屋でテーブルをみる。
テーブルの上では勝負途中のチェスの盤面が残されていた。
なんてことはない。総責任者であるドム爺が戻ってくるまでの暇つぶしだ。
なぜこんな時にっと思うだろうも、ドム爺やマイヤー曰く、こんな時にこそ行うものらしい。
凡人であるビィトでは全く理解できない考えである。
いろんな意味を含めてなのだが……
改めてテーブルの盤面をみれば、勝負はすでに決まったも同然。
どんな馬鹿でも次の一手でビィトがチェックメイトに持ち込めるものであった。
「チェックメイト……か」
ビィトは独り言ちながら盤面の流れを振り返る。
最初は定石通りに攻めるも中盤戦へと入る前にビィトは奇策を……
クイーンを5Fに攻め込ませるという奇策を繰り出した。
この奇策を最初に披露したのはハイジだった。
ビィトは最初こそ『あ~これはまた考えなしで打ったな』と思うも、横からみていたドム爺はなぜか『むぅ……これは興味深いっと』唸らせるだけのものがあった。
ドム爺の反応をみて、改めて冷静に見定めたら……ドム爺が唸ったのもわかる程の革新的な一手だったのだ。
ただ、ハイジの頭では自分で打った奇策を全く活かすことが出来ずにあっさり瓦解。
これはこれでハイジらしいと言えるも、そうしたハイジの思いつきを形にするのが昔からのビィトの役目。
ビィトはハイジの繰り出した偶然の一手を奇策として活用できるよう研究した。
その成果は確かにあった。
おそらく王国トップ3に入るであろうドム爺相手に一時は優勢まで追い込むも、詰めまでの道筋を誤って逆転負けだ。
結論からいえば、ハイジが生み出す奇策は定石から外れてるだけあって使いこなすには相当な地力とセンスが必要であり、凡人であるビィトでは到底手に負えなかった。
そんな奇策の数々をマイヤーは次々と自分のモノとしていた。
マイヤーはドム爺が手塩にかけて育てた直弟子であり、策略に関しては右に出る者なしと言われるほどの鬼才持ちだ。
クズとそのクズに寄生して利益をかすめ取ると狡い貴族連中だけでなく、アーデルと愉快な仲間達からも信頼を得られるほどの絶妙な立ち位置をキープし続けるその才覚はまさに鬼才ともいえよう。
チェスでも定石通りの攻めと受けだけでなく、ビィトでは到底使いこなせないっと匙を投げた奇策の数々を平然と使いこなすという、変幻自在ともいえる打ち筋は蝙蝠よろしくに自分の立ち位置を絶妙に調整できる彼だからこそ出来る芸当だ。
だからこそ、ビィトはこの盤面……
いくら必殺の奇策を使ったからといっても、マイヤーの地力であれば十分逆転可能なのに、彼は最初から勝負を捨てるかのように攻めた。
クイーンを無視し、ひたすらにキングを取るために駒を動かした。
その様は……
“クイーンであるアーデル様を無視し、キングであるクラーラ嬢を追い求める。手の届かないところへ逃げてもお構いまし。そうした中でクイーンがようやく邪魔な事に気付いて排除に動くも、クイーンを取った程度ではもう戦況は覆せない。まるでクズ王太子の行動そのものですよね”
その言葉に導かれるまま、ビィトはクズの今までの行動を思い起こすのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる