義妹を溺愛するクズ王太子達のせいで国が滅びそうなので、ヒロインは義妹と愉快な仲間達と共にクズ達を容赦なく潰す事としました(略称:クズぷちっ)

やみなべ

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第三章 義姉妹拉致からの帰還、そしてクズインガオホーからの超ざまぁ編

1⑨⑨.“私は”誓ってあげるわよ。“私は”ね

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「じゃあね。アーデルちゃん、向こうに帰ったら手はず通りやるのよ」

「はい。クレア様、一か月間ありがとうございました。この御恩は一生忘れません……っと言いたいとこですけど、ここで過ごした日々は元の世界に戻った瞬間忘れてしまうのですよね」

「ごめんなさいね。ここには知識一つにしても外へ出してはいけないモノに溢れてるから、そういう処置を施してるのよ」

「それはまぁ……当然でしょうね」

 聖女修行は実戦形式で行われていたが、本当に全て実戦だったわけではない。
 時には講座を受けたり参考書となりそうな本を読みふけったりする等、じっくり知識を蓄える時間も多々あった。

 そうして読んだ本の中には絶対外に出してはならないような内容が詰まった禁制本もたまに混じってるわけであり、そういう本に当たった時はクラーラ共々焦ったものだ。

 もちろん危険なのは本だけではない。
 例をあげれば棚に無造作と置かれてる薬。大半はまだ人間の常識に収まるものだが、たまに難病を治す奇跡の薬やら人を化け物に変えてしまう煙を周囲にまき散らす悪魔の薬といった常識から遺脱した薬が混ざっている。
 おまけにそれらの製法はしっかり確立されているため、それなりの知識と技術と材料があれば誰でも作れてしまうのだ。

 そうした知識が外へと漏れないよう、訪れた者の記憶を消去させるのは当然の処置とも言えよう。

「まぁでも、記憶を消してるわけでないから切っ掛けさえあればある程度思い出せるわよ。むしろ、そうでないとここでの修行が無意味になるでしょうし」

「そ、そうですか」

 それだと処置の意味ないのでは……なんて思いつつ、アーデルは何気なく視線を横に向ける。
 そちらではオニオンだけでなくチャカボやビスナに加えてもう一人、普段は地下に籠ってるせいで滅多に姿を現わさない幹部クラスの悪魔。皆から『博士』と呼ばれてるサツマを合わせた4人。さらに温泉宿の従業員悪魔達が見送りにきてくれていた。
 特に従業員とはクラーラ共々修行中にお世話となっていた関係上、密に関わるので必然的に仲良くなったのだ。

 そういうことでクラーラはロンジュと共に外部との物販関係を行事ってるビスナと制作者であるサツマの一派と商談中。
 最初こそビスナの存在にロンジュは驚いたが、ビスナの人間形態アキナはサクラ商会と懇意にしてる関係上、以前からロンジュと面識あったというか、あったからこそ試験を任せたというか……
 ビスナ達が扱う商品はこの聖域で採れたものや作られたものという、人間社会では手に入る機会が滅多にない超貴重品が大半だ。
 それらを修行終了記念と課題クリアーの報酬代わりに卸しても良いとの事なので、二人は目の色を変えて商談に挑んでいた。

 そんなクラーラ達を後目にアーデルは自身と仲良くなった者をみると……

「アーデルさん、外での対戦の時は遠慮なく行かせてもらいますよ」

「手加減なんか一切なしですからね」

「え、えぇ……」

 クラーラと仲良くなったのが内政を司る文官タイプとすれば、アーデルと仲良くなったのは荒事を司る武官タイプだ。

 彼等彼女等とはクレアとの実戦修行を終えた後での自主トレに付き合ってくれたり、時には模擬戦の相手を勤めてくれたりとお世話になっていた。
 アーデルもそこはしっかり感謝しているし対決もやぶさかではない。

 だが、外で対決となると話は簡単に済まなくなる。

 なにせアーデルは聖女であり、彼等彼女等は悪魔。
 ここでは所属や肩書なんか一切無視した付き合いが出来るのでつい忘れそうになってしまうが、本来聖女と悪魔は宿敵同士。

 聖女は人々を救うのが役目であれば悪魔は……

「大丈夫よ。特大の悲劇を生むような悪事はパパ審判の神様より先に私が許さないから、アーデルちゃんは聖女や悪魔なんて立場を気にせず純粋な気持ちで戦えばいいのよ」

「それ……信じていいのですよね?」

「もちろん。“私は”誓ってあげるわよ。“私は”ね」

「……では、貴方達はどうなんでしょうか?特に残虐行為が大好きというチャカボさん」

「おやおや、なぜここで私を名指しするのでしょうか?アーデルさん。仮に誓わないといえば……どうしますか?」

「そりゃぁもちろん……」

 退治する。

 アーデルはそれを有言実行っとばかりに……修行の成果を披露すべく、深く腰を落としてのせいけんづきの構えを取る。

 そうして拳に聖女の力を注ぎ込んでる最中。



 パン!!


「はい、そこまで」


 クレアが唐突に手を打ち鳴らした事で集中力を乱され、拳に注がれていた聖女の力が霧散してしまった。
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