✕✕が弱い俺の社内事情

麟里(すずひ改め)

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4章

21話《落胆》

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 「やっちゃった……」

 俺は2階に下り休憩スペースの自販機で炭酸飲料を買い、椅子に座って頭を抱えた。

 「米沢と一緒にいる所は見られてるし、あんな言い方して逃げてきちゃうし……どうしよう、今の状況で戻るのもあれだしな」

 どう考えても悪いのは俺だが、言い残したのがあれだから謝るにも謝れない。
 
 「やっぱりこの会社俺に合ってないのかな……」
 
 雅斗さんの誘いに乗らなければこんなことにならなかったはずだ、なんて今更ながら思う。
 買っていた飲料も飲み終え、することを失ってしまった俺は呆然と立ち尽くした。
 そろそろ戻ってみようかなんて思った時に、1人誰かが入ってきた。

 「お、可愛い先客じゃん。えっと愁里君、だったっけ?」

 「はい、そうですけど……」

 「俺、この階で働いてる桝谷っていうの、よろしくね。……ふーん、愁里君って噂通りいい顔してるね~」

 いきなり隣に来た彼は俺の頬に手を添え、ニヤリと笑った。

 「何言ってるんですか……しかも噂通りってなんなんですか?」

 「あれ、知らない?新しく来た子がめっちゃ可愛いって噂になってるんだけど」

 「そ、そうなんですか」

 「うん、あと色気がヤバいっていうのも一緒に広まってるかな?」

 「え……」

 「ほんとに知らなさそうだね、でも俺にもわかる気するな……」

 桝谷さんは俺の背筋をつぅ、と指で撫でた。

 「ひぅっ……」

 「ん、どした?感じちゃった?」

 「そんなことないです!すいません俺行かなきゃなので、失礼しま……」

 そう言って逃げようとしたのだが、腕を捕まれてしまいそれを阻まれた。

 「離してくださいって……」

 「やだね」

 彼は俺の腕を握ったまま、休憩スペースを出ていく。
 強引に引かれ、たいした反抗も出来ずに俺は多目的トイレに連れ込まれた。
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