ボケるな執事!俺は異世界でも真面目に生きたいんだ!

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第39話:王城召喚、やっぱり普通に終わらない

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朝一番、屋敷に急報が届いた。

「レオン・フェルドリン様、至急王城へお越しください。」

「……何事だ?」

文面には理由が書かれていない。
急ぎ馬車の準備を命じると、当然のようにクラウスが付き添う。

「王城ってことは……緊張感持って行けよ?」

「承知しております。」

――そう言った五分後。
現れたクラウスは、またもや「闇を抱えた中年剣士」衣装を着ていた。

「おいィ!!」

「今回は“謎の護衛”という立ち位置で。」

「謎すぎるんだよ!!!」

馬車の中でもレオンは何度も説得を試みたが、クラウスは聞く耳を持たず、そのまま王城へ。

玉座の間に通され、国王陛下の前に進み出る。
緊張した空気の中、陛下が口を開いた。

「フェルドリン卿、急に呼び立ててすまぬ。」

「いえ……して、御用件は?」

「実は……城の厨房で、食材の紛失が相次いでおってな。」

「……は?」

どうやら食材泥棒が城内に潜んでいるらしい。
陛下はそれをレオンに調査してほしいと言う。

「もちろん、私も協力いたします。」

クラウスが一歩前に出た瞬間、周囲の兵士たちがざわつく。

「な、なんだあの格好は……。」

「怪しいぞ……。」

「護衛です」と言い切ったクラウスは、調査に同行。
厨房を見回るやいなや、鍋の中を覗き込み――

「このスープ、犯人の好みの味です。」

「そんなわかり方あるか!!」

しかも次の瞬間、厨房の隅から小さな影が飛び出した。
追いかけたクラウスは一瞬で捕まえる。

「陛下、犯人を確保いたしました。」

現れたのは、痩せた子供。
お腹を空かせ、城の残り物をこっそり盗んでいたという。

「……こいつは……。」

レオンが事情を聞き、城の孤児院へ預けるよう進言。
陛下もそれを了承し、事件はあっさり解決した。

帰り道、馬車の中。

「……なあ、あの子供、すげぇ懐いてたな。」

「ええ。笑顔がレオン様に似ておりましたので。」

「……そういうことさらっと言うなって……。」

クラウスはわずかに口元を緩めた。

「また一人、レオン様を慕う者が増えましたね。」

「……お前もその一人だろ。」

「当然でございます。」

レオン・フェルドリン、19歳。
王城召喚でもツッコミ役を外せない領主。

クラウス・イーデン、27歳。
主を慕う気持ちにおいて、誰よりも確信犯な執事。

――王城の一件は、またひとつ二人の絆を深める出来事になった。
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