SURVIVOR

SURVIVOR

2002年3月4日

子供の頃
よく弟はクローゼットにお化けがいると言った。
俺は兄として勇敢な姿を弟に見せるためにクローゼットの扉を開け弟に言った。
幽霊なんかいないと。

きっと母を早くに失ったせいで弟は幽霊がいるなんて妄想を始めたんだろう。
弟は母が死んだ日に赤髪の男を見たと言っていた。
周りの大人は誰一人信じなかった。
もちろん俺もだ。
6歳にもなって幽霊に怯える弟は可愛いが毎回こうだと俺が参ってしまう。

ただ母の死因は不自然だった。
目から血を流し身体中の骨が砕けていたらしい。
医者が言うにはこんな死に方は初めて見たと言っていたそうだ。

母がいなくなり俺たちは2人きりになってしまった。
父は俺が産まれてすぐに出て行き家族3人だった。
だけど3人で充分だった。
だが今は2人だ。
だから弟は俺が守ると決めた。

あの晩は満月だった。
いつもの様に近所の犬は鳴き、親戚のおじさんとおばさんは喧嘩していた。
そしていつもの様にクローゼットに怯える弟。
だがこの晩は違った。
いつもの様にクローゼットを開け弟に幽霊なんかいないと言ったその時
黒い腕が俺の身体を掴んだ。
俺は不思議なことに恐怖を感じなかった
ただただ意識が朦朧としていく中で母の叫び声と赤髪の男が母に何かしているのだけが見えた。
次に目が覚めた時弟は泣きながら俺に抱きついていた。
弟は一言俺に言った。
赤髪の男が母を殺したと。
その日を境に俺は幽霊を信じる様になった。
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