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33 【番外編】2人の初でえと 6
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真っ白に染まる奇跡のような光景。
しかし、現実は無情だ。
ぐぅ~
俺の腹が鳴った。
仕方ないだろ!魔法の力は借りたけど、俺だって体力使ったら腹が減るんだよ!!
クラウスはクスクス笑うと、俺を膝から降ろし、どこかからランチボックスを出してきた。
もしかして、それも魔法?重い荷物持たなくていいのか?便利だな。
まあ、俺の荷物はクラウスが持ってくれるから、いらないけどさ。
目の前には、白や黒のカラフルなパンや、美味しそうなトマトやハム、レタス、卵が並んでいる。お、これは俺の好きなローストビーフちゃん♡
「美味い!これ、めっちゃ美味いな?!」
俺がほっぺたをリスみたいにパンパンにして頬張っていると、クラウスが嬉しそうに笑った。
「あなたが喜んでくれるかな、と思って頑張りました」
「え?まさかお前作ってないよな?」
だって王子だろ?一応っていうか、真面目に。しかもかなり忙しいはず。
「初デートであなたと食べる初めての食事を他人任せにするわけないでしょう?」
‥‥‥俺、食ってただけ。そういうもんだったの?
ちょっと、レイモンドとはでえとなるものもしたことないし、よくわからなかったよ。
「あなたはいいんですよ。存在だけで可愛いから」
そういうと、クラウスはチュッと音を立てて俺の頬にキスをした。
は、恥ずかしくなっちゃうだろぉぉ?俺の顔はもう真っ赤っかだ。
クラウスは心底嬉しそうにニコニコしてるし、もう、それでいいや、っておもちゃったよ。
で、でも照れくさいだろぉ?
クラウスの作ったサンドイッチに、まるで芸術品のようなスイーツまで振舞われ、ちょっと、こいつって、計り知れないと思ったところでクラウスが立ち上がった。
「食べ終わったなら、そろそろ帰りますか」
えー、もう~?俺、楽しんでたのにぃ。ついつい俺の口が尖ってしまう。
「デートと言ったらお出かけだけじゃないでしょ?後の予定もあるんですよ。さ、じゃ、そこに立って」
と俺を無理やり辛夷の樹の下に立たせた。
頭の上からひらひらと真っ白な花びらが舞い落ちてくる。
上を見るとたくさんの小さな白い小鳥が舞い踊っているようだ。
「うわあ、綺麗だなあ」
俺は改めて感心してしまった。
クラウスが何かを呟く声が聞こえてくる。
すると、突然頭の上から、白くて小さくて冷たいものが落ちて来始めたんだ。
白いものはドンドン増えてきて、俺の頭の上から静かに舞い降りてきた。
キラキラしてて、これはまたこれで、すごく綺麗だ。
陽の光を反射してきらめきながら俺の周りだけに降り注ぐ。
その白いものは見たことがなかったけど、何処かで見た何かに似ている。
もしかして‥‥‥
「もしかして‥‥‥これが、雪?」
目を輝かせてクラウスを見ると、クラウスも嬉しそうに微笑んでいた。
しかし、現実は無情だ。
ぐぅ~
俺の腹が鳴った。
仕方ないだろ!魔法の力は借りたけど、俺だって体力使ったら腹が減るんだよ!!
クラウスはクスクス笑うと、俺を膝から降ろし、どこかからランチボックスを出してきた。
もしかして、それも魔法?重い荷物持たなくていいのか?便利だな。
まあ、俺の荷物はクラウスが持ってくれるから、いらないけどさ。
目の前には、白や黒のカラフルなパンや、美味しそうなトマトやハム、レタス、卵が並んでいる。お、これは俺の好きなローストビーフちゃん♡
「美味い!これ、めっちゃ美味いな?!」
俺がほっぺたをリスみたいにパンパンにして頬張っていると、クラウスが嬉しそうに笑った。
「あなたが喜んでくれるかな、と思って頑張りました」
「え?まさかお前作ってないよな?」
だって王子だろ?一応っていうか、真面目に。しかもかなり忙しいはず。
「初デートであなたと食べる初めての食事を他人任せにするわけないでしょう?」
‥‥‥俺、食ってただけ。そういうもんだったの?
ちょっと、レイモンドとはでえとなるものもしたことないし、よくわからなかったよ。
「あなたはいいんですよ。存在だけで可愛いから」
そういうと、クラウスはチュッと音を立てて俺の頬にキスをした。
は、恥ずかしくなっちゃうだろぉぉ?俺の顔はもう真っ赤っかだ。
クラウスは心底嬉しそうにニコニコしてるし、もう、それでいいや、っておもちゃったよ。
で、でも照れくさいだろぉ?
クラウスの作ったサンドイッチに、まるで芸術品のようなスイーツまで振舞われ、ちょっと、こいつって、計り知れないと思ったところでクラウスが立ち上がった。
「食べ終わったなら、そろそろ帰りますか」
えー、もう~?俺、楽しんでたのにぃ。ついつい俺の口が尖ってしまう。
「デートと言ったらお出かけだけじゃないでしょ?後の予定もあるんですよ。さ、じゃ、そこに立って」
と俺を無理やり辛夷の樹の下に立たせた。
頭の上からひらひらと真っ白な花びらが舞い落ちてくる。
上を見るとたくさんの小さな白い小鳥が舞い踊っているようだ。
「うわあ、綺麗だなあ」
俺は改めて感心してしまった。
クラウスが何かを呟く声が聞こえてくる。
すると、突然頭の上から、白くて小さくて冷たいものが落ちて来始めたんだ。
白いものはドンドン増えてきて、俺の頭の上から静かに舞い降りてきた。
キラキラしてて、これはまたこれで、すごく綺麗だ。
陽の光を反射してきらめきながら俺の周りだけに降り注ぐ。
その白いものは見たことがなかったけど、何処かで見た何かに似ている。
もしかして‥‥‥
「もしかして‥‥‥これが、雪?」
目を輝かせてクラウスを見ると、クラウスも嬉しそうに微笑んでいた。
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