第一王子から断罪されたのに第二王子に溺愛されています。何で?

藍音

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51 【番外編3】お久しぶりの再会 4

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「ふっ」
半泣きだったレイモンドは立ち上がった。
「私にだって恋人はいるのだぞ。それはそれはかわいいやつなのだ」
へー、よかったね。
「髪も目も茶色で可愛らしいのだ。そう、例えれば、鳥とか?土とか?木の幹とか?泥水とか?そんな感じだ」
「そうですか」
ちょっと語彙力がなくて、恋人さんが気の毒になってくる。泥水ってさあ。
まさかとは思うけど、褒めてたんだよね?それとも、妄想?
「まあ、いつかは会わせてやってもいいが」
「ふふふ、楽しみにしております」
「そうか。では、そのためには、良い子を頑張って産むのだ。跡を取れる男子が望ましいが・・・まあ、そうでなくてもいいだろう。楽しみにしておるからな」

レイモンドの目がふっと緩んで優しくなった。

「体に気をつけろ。今日は邪魔したな」

そういうとレイモンドが俺の手を取った。

「そういえば、この間、街で健康茶なるものを販売しておったな。まだ試作品とのことだったが体に良さそうだ、なんとか手に入れてあとで届けさせよう。それか非番の日にでも持ってくるか・・・」
おれ、それ持ってる。っていうか、作ってる。社長だから。
でも、なんかちょっと嬉しくなってきた。
なぜか、このレイモンドは嫌いじゃない。
それに全然ピリッと来ない。

もしかして、もしかすると。
「まさか、本当に恋人がいるの?」
「お前は一体何を聞いていたのだ!」
「だって、まさか本当にいるとは思わなかった。鳥だの土だのって、誰も本当だとは思わないよね?」

なあんだ。本当にレイモンドに好きな人ができたんだ。
だから、俺に変な下心を持たなくなったから、気持ち悪くなくなったんだ。
なあんだ。
それなら最初からそういってくれればいいのに。
言ってたか。俺が信じなかっただけで。

俺は嬉しくなってくつくつと笑い出した。
「もしかして、今日はクラウスに会いにきたんだね」
「最初からそういっておろう」
「ははは」俺、自意識過剰だったな。
「クラウスに言っておくよ。きっと会いたがるよ」ちょっと嘘だけどな。
にっこりと笑ってレイモンドを見上げる。
これからは、兄の一人として付き合えるんだね。きっとクラウスのためにもいいことに違いない。
ニコニコ笑って見上げると、レイモンドの顔が赤く染まってきた。

「いや、その、だからお前は俺の初恋・・・そ、そんな笑顔で見上げるな・・・」

レイモンドが後ずさった。

「どうしたの?」

俺が小首を傾げてレイモンドの手に触れた瞬間。

ビリビリビリビリーーーーー!!!!!

「うぎゃあああああああああああ」

ものすごい勢いの電流が走り抜け、レイモンドは白目をむいて倒れてしまった。


「ルーリク!!」

ぽかんとした俺の目の前に、突然、クラウスの背中が現れた。
俺を後ろ手にかばうが、すっかり伸びているレイモンドを見ると焦ったように俺を見る。

「大丈夫か!怪我はないか!・・・ちっ、兄上。なんでこの離宮に近づけたんだ。そんなはずないのに・・・」

ブツブツと口の中でレイモンドへの文句を言いながら、俺を両手でさすり、怪我がないかを確かめている。

「いや、俺は大丈夫だけど。ちょっとピリッとしただけで・・・なんでかわからないけど、レイモンドがキモくなくて、って思ったら電気が流れて倒れちゃったんだよ」
「ふん、自業自得ですよ」

クラウスは吐き捨てるように言う。

「もうそろそろ迎えが来る頃です。引き取ってもらいましょう」

そういうと、レイモンドのケツに蹴りを入れた。「全く、油断も隙もない」

「さ、部屋に戻りましょう。本当に心配で心配でたまったもんじゃありませんよ。結界を張っておいても、虫が家の中まで入り込むなんて・・・」

ドンドンドン。
離宮のドアを叩く音。

「来ましたね」

クラウスはもごもご口の中で何かの呪文を唱え、ドアが開いた。

「おわっ。すごいな、この離宮。ドアが勝手に開くんだ」

ガタイのいい軍人がドアから入ってきた。

「偶然ですよ。先生お疲れ様です」
「おう、久しぶりだな。王子様を引き取りに来たぞ。お、そこにいるのはおまえの伴侶か?うわー、やっぱり綺麗だなー。国一番の美貌の孕み腹様だもんなあ。おまえ、ずっと好きだったもんな。結婚できてよかったな」
「ちょっ、余計なことを・・・ありがとうございます。ルーリク、こちらは僕が以前、剣術を習っていたリーランド先生です。今は軍で兄上の世話をしてくださっているんですよ。先生こちらはルーリク。僕の伴侶です」
「ルーリク様、初めまして」
胸に手を当てて挨拶してくれる先生は、あっけらかんとしていていい人そう。
「リーランド先生、初めまして。よろしくお願いします」
機会があれば、子供の頃のクラウスの話も聞きたいな。俺は握手を求めて右手を差し出す。

にっこり笑いながら俺の手を大きな手で包み込んだ軍人は、目も髪も、まるで鷹の羽のような見事な茶色だった。
鳥?まさか・・・なぁ?

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