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3. 異世界生活始めました
しおりを挟む「おめでとうございます旦那様、男の子がお産まれになりました。」
年老いた産婆が家の当主に報告をしている。
「産まれたのか!」
報告を聞いた男は足早に部屋の中に入っていった。
「大丈夫か知花(ちはな)?」
声をかけられた知花はニッコリと微笑んで、男の手を掴んだ。
「貴方…お気遣いありがとうこざいます。」
知花の横に目を向けると、真っ赤な顔をした赤ちゃんがいた。
そう、この赤ちゃんが異世界転生した俺、竜太である。
いや~、今回の両親の顔面偏差値が高すぎませんか?嬉しいですけど。俺もこの人達の息子ということはかなりの美形になるはずですよね。
俺の新しい父さんは緑色の髪と瞳をした塩顔をしたイケメンで、母さんはピンクの髪にブラウンの大きな瞳をした美人だ。
「でもこの子変わっているのよ。全然泣かないのよ。今までの子供達は産まれてすぐは泣いてばかりで困ったものでしたけど…病気なのかしら?」
いや、中身が大人なので泣かないだけなんですけど。赤ちゃんの姿になったから泣けと言われて簡単には泣けないし、恥ずかしい。
「病気か…それは困るな。やっと産まれてきてくれた男児なのに。」
両親が話していると部屋の外からドタドタと騒がしい音が聞こえてきた。
「「「うまれたのー!!!」」」
部屋の扉を開ける音が聞こえたのと同時くらいに小さな女の子達の声が部屋に響いた。
「こら、赤ちゃんが驚くだろ。静かにしなさい」
父さんが少女達を叱ると大人しくなった。
「「「ごめんなしゃい。」」」
「三つ子はもう怒られているのね。」
また誰かが入ってきた。一体何人いるんだ?
「桜花(おうか)梅花(うめか)桃花(ももか)菊花(きっか)百合花(ゆりか)撫子(なでしこ)椿(つばき)皆来たのか。」
え…まって今何人の名前を呼んだんだ?しかも女の子らしい名前ばかりだったよな。
それに異世界転生って聞いていたからてっきり外国的な世界が待っていると思っていたけど名前は日本的だな。髪の色とか目の色は異世界らしいけどね。
「「「かわいいー!!!」」」
お姉さま達に囲まれて俺は恐怖を感じている。頬をつねられたり、足を引っ張られたり手を強く握られたり…。
ここは一発、秘密兵器をださないといけないのか。今まで恥ずかしいと思っていたが背に腹はかえられぬだ。
「うわあぁぁ~ん!!」
「こら、泣かせては駄目でしょ。お姉ちゃんなんだから優しくしてあげてね。」
母さんが優しく三つ子を叱った。三つ子は反省しろよ!俺はまだ生まれたてで力もないし壊れ物注意だぞ!と心の中で突っ込んだ。
痛みが無くなり改めて姉達を見ると…美人揃いだ。下の三つ子は可愛い系だが大きい姉さん達は両親の良い所をもらいとても綺麗な顔をしている。これだけでも龍神様に感謝だな。これから毎日、美人な姉達を眺めながら過ごせるなんて天国だ。
前の世界では1人だったから賑やかな家族に憧れもあったしね。いきなり7人の姉っていうのは驚きだけど(笑)ってことは俺は8番目の子供だけど長男になるんだな。
早速だけど、両親と姉さん達を鑑定してみようかな。俺は泣き止み静かに目を閉じた。精神を集中させて眉間に力をため静かに目を開けた。
見えた!
父さんの頭の上に白い龍が見えた。身体は大きくないが白色なので中位のクラスの龍だ。父さんなかなか出来る男だな。
母さんは…おお!母さんも白色の龍だ。夫婦揃って凄いな。
姉さん達には龍がついていても紅色か青色の下位の龍だった。三つ子にはまだ龍はついていないみたいだな。
龍神様から聞いていたけど本当に龍の姿が見える様になったんだな。今更ながら実感したよ。
『おぬしは私の姿が見えているのか?』
父さんの上にいる龍から話しかけられた。
「はい。俺は日本にいる金色の龍神様に頼まれてこの世界にやってきました。これからよろしくお願いします。」
と心の中で話をした。
『何と!金龍様から頼まれたのか?!おぬしは龍使いなのか?』
「え~と、見習いです。」
『そうか。何かあれば私に聞きにくれば良い。』
「ありがとうございます。」
これでこの世界の龍とも付き合いができそうだ。
実はあの後、俺は龍神様から龍使いになる為に龍に関する色々な事を教えてもらった。
龍神様にもランクがあって色で見分けられるとか、どうすればランクをあげる事ができるとか、どういう事をすれば龍に嫌われるとか初めて聞くことばかりで驚きの連続だったけどとても勉強になった。
龍神様が言うにはこの世界では俺のいた世界より早いスピードで龍達の力が失われていて、姿を消してしまっているらしい。それをくい止める為に俺を龍使いにして龍を増やしたいのだそうだ。
まあ、まだまだ見習いだけどね。
それに、この世界に生まれたばかりの赤ちゃんだしね。外に行きたくても1人では行けないし、話せないから秘かに力を蓄える訓練をしないといけないよな。
じいちゃんに会えるのはまだ先になりそうだけど待っててくれよな。
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