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16. 逃亡計画立案中
しおりを挟む「工場で作っているのは…王都の貴族の間で流通している幻覚薬です。」
真留さんは言いにくそうに話し出した。
「え!?今、世間を賑わせている幻の薬のことですよね?」
これが怪しい商品なんだよ。「ドリーム」っていう商品名で睡眠薬として人伝に売っていたみたい。売り文句も「あなたの見たい夢が見れます!」って言っていたらしいけど、実際は分かりやすく言えば中毒症状を引き起こす悪魔の薬だったんだ。
それが分かったのは最近になってから。流行ったのは少し前だったから、今頃気がついても手遅れ状態の中毒者が沢山出て大変な状態になっているらしい。新聞の一面に載っていたよ。
騒ぎになった途端にその薬は手に入らなくなったみたいで中毒者が暴れたり、高値で売買されていたりするので「幻の薬」と今は言われているんだ。
「私達も知らなかったんだ。本当に薬だと思って製造していたんだが…。」
「いつ気がついたんですか?」
あの薬はかなり高価で農民の皆さんの買える様な薬ではないはず。気がつかなくても当然だ。
「それが…薬を黙って持ち出して飲んでいた村人がいて、そいつの様子がおかしくなって気がついたんだよ。」
どこにでもそんな人はいるんだね。
「その人はどうなったんですか?」
「分からない…。半狂乱の状態になっているのを見て工場の見張りの奴らに気がつかれたんだけど、その後何処かに連れて行かれて…そのまま姿を消したんだ。」
うわぁ~、ブラックな感じですね。たぶん、残念ですが生きてはいないでしょうね。少しの興味で身を滅ぼしてしまったのですね。
「俺達はそれくらいから24時間をこの地下で過ごさないといけなくなったんだ。それまでは何時間か外に出て農地を耕す時間をもらえていたんだけどそれも今は無くなってしまった。」
「この生活を強制されているのですね。」
「ああ。俺達はどうすればこの生活から抜け出せるのかを話し合っていたんだが、俺達だけではどうにもならないと諦めかけていたんだが、そこに君が現れた。」
おお!俺が救世主になるわけだね。いや、正確には父さんかな。
「それで皆さんが立てていた計画というのは?」
「実は見張りの奴らに見つからないように抜け穴を作っていたのが最近やっと外と繋がったんだ。だからそこから少しずつ人を外に逃がそうかと考えていた。でも、問題があって…」
「問題って、外に出てからの避難経路と安全確保ですね。」
黙って話を聞いていた、青年団(勝手につけました)の男性が驚いた顔をして俺を見た。
「あんた何歳なんだ!?」
いけね。俺はこの世界ではまだ8歳の子供だった。まあ、神童って事にしてくれないかな?ここは笑顔で誤魔化しておくか。
「へへっ…。」
「どうやら話が分かる子供の様だな。」
真留さんもね。
「そう、問題は女性達と子供を先に逃がす事になるがアイツらに見つからないように逃げられる事だったんだ。俺達は最後にしないとすぐにアイツらに気がつかれてしまうからな。一緒に逃げる事も考えたが…遠くまでは子供を連れて逃げる事はできないと判断して止めたんだ。」
確かにそれが賢明だと思う。馬車でも使えれば良いけど地下にいて手配なんてできないだろし、徒歩だと逃げられる距離はしれている。すぐに捕まってここに帰ってくることになるよ。
「僕達が逃げられる様に馬車を手配します。その方が遠くまで逃げる事ができますよね。」
「有難い。そうしてもらえると助かる。」
これは父さん達にまた連絡をしないといけないな。他にも必要な物は…。
「そうだ!良いことを思いつきました!」
「え?良いことですか…」
「はい!皆さんがもっとも安全にここを逃げ出せて安心して住める場所まで行く方法です。」
そうだよ。何でこんな簡単な事を思いつかなかったんだろう!
「そんな方法があるんですか?」
「あります。僕を信じて下さい。」
俺は集まっている青年団のみなさんに計画を話した。
「計画は………。」
みんな真剣に俺の話を聞いてくれていた。
「そんな方法があったなんて…。」
「たしかに盲点だったな。」
「いや、俺達だけではこれはできなかった。」
「そうだな、身分が高くないとできないぞ。」
「これなら心配いらないよな。」
青年団のみなさんは納得してくたみたいだ。
「質問はありませんか?大丈夫ですか?」
手を挙げたのは真留さんだった。
「あの…本当に俺達は捕まらないんだよな?」
「はい。心配はいりません。ただ、事情聴取はされると思いますが牢屋に入れられることはありませんよ。」
俺の話を聞いて青年団のみんなの顔つきが変わった。
「それならこの計画にかけるよ」
「「「「「俺達も!!!!」」」」」
青年団のみなさんは全員賛成してくれました。俺の計画で決行だ!
楽しくなってきた~!
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