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24. 龍とパートナー
しおりを挟む「お父様、僕に考えがあります。」
「どんなものだ?」
俺は父さんに俺の考えを説明した。上手く伝わるか心配だな。
父さんは俺の話を聞いた後悩んでいた。やっぱり気が咎(とが)めるのか…。
「それは…他の貴族達を近寄らせない為には良いかも知れないが、王族を欺くことにならないか?」
「お父様!よく考えて下さい。今回は王妃様もこの事件に関係あると思われます。そんな人にこの情報を与えてしまうと私利私欲の為に使われてしまいます。あれはここで苦しんでいた領民の為に使うのが一番良いのです。」
「それは分かっている。しかし…王様にも言っては駄目なのか?」
「そこから王妃様に漏れませんか?王様の側近の人達はみな信頼できる人達ですか?」
おれは追い詰める様に父さんに質問した。父さんは「あ…」「う…」と言葉にならない声を出すだけで俺の質問にはすぐに答えられなかった。
「王様にはすべてが終わったら話しますと言っておけば良いと思います。」
「…分かった。私も覚悟を決めた。竜の考えた案をやってみる。ただ…上手く行きそうにない場合は中止するぞ。」
「はい。分かっています。」
ダイヤモンドの一件はこれで方向が決まったな。それじゃあ、俺の一番の目的…。
「もう一つあるんですが…。」
「分かっている。学校のことだろう。」
さすが父さん!話が早い!
「問題をクリアーしたので学校に行くことを許可してもらえるんですよね。」
「ああ。今回の事で竜の能力はよく分かった。分かりすぎてお前にはもう学校は必要ではないのではないかとも思っているが…。同じ年頃の子供達との触れ合いや仲間を作る事は出来るだろう。行ってこい。」
「ありがとうございます!」
やったー!念願の学校に通えるぞ!
「ただし…。」
え?何だ?
「通う学校は私が決める。それで良いな。」
父さんが学校を選ぶのか。まあ、俺はこの世界にまだ詳しくはないしその方が良いのかもしれない。
「はい。宜しくお願いします。」
どんな学校に通うことになるんだろう。今から楽しみだ。前世では学校に行くのは勉強の為と言うよりも部活と友達に会いに行くというかんじだった。だけど今は異世界の学校がどんな感じなのかが気になる。
どんな教科があるのかとか興味がわかない?今まで自宅で姉達にいろいろと教えてもらったり家庭教師をつけてもらったりしていたので読み書き計算などは一通りできる。
家庭教師曰く、俺のレベルはこの世界では高い方にはいるらしい。家族と家庭教師が言っているだけだから信用はしていないけどね。
「話したいことはこれで終わりか?終わりなら結界を解くぞ。」
「あ、はい。もう帰りますか?」
「今日はもう遅いのでここで一晩泊まらせてもらい、明日の早朝にここを出発しよう。」
「分かりました。」
「では、執事に話してくる。お前はここにいろ。」
俺は黙って頷いた。
『やっと一人になったのか…。』
父さんが部屋を出た途端に、翡翠が姿を見せた。
『良かった~。姿を見せないから一緒についてきているのか心配していたんだ。』
『ふん!心配などいらぬ。我々龍はどこでもひとっ飛びで移動できる。移動に何日もかかる人間とは違うからな。』
へぇ~。異世界を渡ることが出来るっていうのは知っていたけど、時間もかからないんだ。
『あれ?お前…魂のレベルが上がってきているみたいだな。』
え?そうなのか。
『そんな事分かるの?』
『お前…龍をなめてないか?龍と龍がついた人間は一心同体。どんな状態なのかはすぐに分かるぞ。まあ、お前には俺の事は分からないだろがな。』
残念だけど、翡翠の事は俺には分からないね。分かるのは翡翠は口が悪いってことだけだな。
『口が悪い?これはお前に合わせているんだ!』
へ?俺…口に出した?
『バカもの!お前が考えていることは口に出さなくてもすぐに分かる。だからさっきから言っているだろうが、龍をなめるな!と。』
龍の能力って未知数だな。あれ?これも知られているのか。俺は翡翠を見た。…睨まれている。
『はぁ~、お前には俺がついててやらないと駄目みたいだな。俺もお前が成長してくれないと困るからな。前にも言ったが俺がみっちり指導してやるよ。ありがたく思うんだな。』
龍はパートナーって龍神様から聞いていたけど…凄い上から目線じゃないか?
『俺の方が歳上なんだから当たり前だろ。』
あ、また心を読まれた。歳上って何歳なんだろう?
『そんな事が知りたいのか?少なくとも人間の寿命より何倍も長く生きている。数百歳だ。龍の世界では若い。』
『龍ってそんなに長生きなのか?』
『そうだ。だが…この国にいた龍達は弱って若くで消える龍もいる。』
それが龍神様の言っていた助けて欲しいに繋がるのかな。
『俺は何をすれば…。』
『お前はそのまま問題を解決してくれれば良い。そうすることで人間達が希望を持ち始め龍達は元気になることができる。他の世界に行っていた龍達も帰ってくるかもしれないからな。』
なるほどね。
『これからはなるべくお前の近くに居ることにする。何かあれば名前を呼べ。そうすれば姿が見えるようにする。』
俺と翡翠のパートナー生活の始まりだった。
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