家族に溺愛されすぎて適齢期ですが結婚できていません

縁 遊

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4. 婚約したくない!

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"それで皆様がやつれていらっしゃるんですね。"

「そうなの。でも3カ月の間はのびのびできるわ。」

 今、リリにこの前のお母様達の事を話しています。リリも当事者ですからね。

「お父様達ったら直接私に近づけないからってお手紙を毎日凄い枚数送ってくるのよ。アンナ持ってきてくれる?」

「はい。お嬢様、準備しております。」

 アンナは私の専属侍女で、お仕事できる系女子です。

「あら、ありがとう。さすがね。」

「ありがとうございます。」

 アンナは大きな布を私とリリのいるテーブルの横に広げた。

 バサッバサバサ!!!

 リリが目を見開いていますわ。あたりまえですよね。そこには手紙でできた山ができているのですから。まだ2日しか経っていないのに…もしかしたら100を越えているかも知れませんわ。いえ…確実に超えてますわね。

 "凄い!"

「凄いというか…。よくこんなに手紙を書く時間があるわよね。私なんて面倒くさくなって途中から開封もしてませんわ。」

「ふふっ…。」

 あ!久しぶりにリリの声を聞きました。女性にしてはハスキーな笑い声。それを気にしてか私にも滅多に声をだしてくれないんです。そのリリが…ギャップ萌えでしょうか何だか胸があったかくなりますわ。

「嬉しい。久しぶりにリリの声が聞けたわ。」

 私がリリの手をとり笑顔を見せるとリリは自分の口を抑えて真っ赤な顔して下を向いてしまいました。

 …やだ、可愛すぎますわ。

 ビー!ビー!ビー!

「お嬢様…。」

 アンナが私に耳打ちをしてきました。もう、お父様達ってば懲りていないわね。

「「「ルナ~!!!」」」

 先ほどのビービーとうるさい音の正体はお父様達に付けられた魔道具の警報音です。私に一定の距離より近づくと音が鳴る仕組みになっているそうです。

「「「はなせ~!!!ルナ~!!!」」」

 お母様に指示された警備の者達がお父様達を取り押さえてますわね。

 またお母様にお説教されるのに…。

「お嬢様、終わりました。」

「ありがとう、アンナ。」

 まったく家族の事に悩まされている場合ではないのですが…。

 実は王弟の問題が無くなったと思っていたらのですが…今度はその息子が婚約者に立候補してきたんです。

 良い方なら喜んで婚約したと思いますが父親に似て問題のある方なんですよね。

 自分は次の王になる男だ!と言って態度がね…。

 お勉強も学園では最後から数えたほうが早かったですし、剣術も本気をだしていないだけだと言って散々な結果でしたのにどこからそんな自信が…と思うくらいですわ。

 お顔は整っていらっしゃるので黙っていれば知らない令嬢が騒いでいる時もありました。…が18歳になっても婚約者が決まっていない所を見ると…怪しすぎますね。

「はぁ~、早く次の後継者を発表してくださらないかしら…。」

 いけない!リリとお茶をしている最中でしたわ。リリが不思議そうな顔で私を見ています。

「いえ…次の王様はどなたかしらと…。」

 "どうして気になるの?"

 リリになら話しても大丈夫よね。

「実は亡くなった王弟の息子から婚約の打診を受けているの…。」

「え?!」

 あら、珍しい!またリリの声が聞けましたわ。ものすごい早さで何かを書いています。

 "婚約するの?"

「まさか!したくないですが…このままだとどうなるかはわかりません。」

 リリがなにやら真剣な顔をして考えています。

 "ルナ婚約しないで!"

 リリが私の手を掴み真剣な表情で見つめられています。

「リリ…。」


 ビー!ビー!ビー!!!

 また魔道具が鳴り始めました。

「「「離れろ~!!!」」」

 お父様達…懲りませんわね。

 

 

 



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