男装少女は復讐を誓う

縁 遊

文字の大きさ
79 / 86

79. やっと理解できたわ

しおりを挟む


お母様はそれから食事に毒を盛られたり、誰かに監視される生活が始まったらしい。

いつかは殺されるかもしれないと命の危険を感じて皇居から逃げ出したそうだ。

なぜ皇帝に相談しなかったのかと聞くと、その時は后妃の事を追及できるだけの証拠もなく言うことができなかったみたい。

でも、皇居から逃げ出した事でお父様と出会い私が産まれたのだから複雑な気持ちだ。

もし、逃げ出すことがなければお母様はどこかの王族かこの国の権力者と結婚をしていただろう…。

私は…。

いや、タラレバを考えても仕方無いわね。今を考えないと。

お母様と生きて再び会うことが出来た喜びを噛み締めないとね。

口では生きていると信じているといいながらも心の奥底では死んでいるかもしれないとおもっていたんだから。

本当に…嬉しい。

だけど痩せ細っている今のお母様は健康とは言えない。かろうじて生きているような状態に見える。

お母様曰く「あの女は私を切り札に使おうと考えていたみたい。自分が逃げる時の足止め材料ね。その為にギリギリ殺さない程度に生かしていたのよ。」だそうだ。

実際、后妃はお母様の居場所を言うから命は助けてほしいと皇帝に手紙を送っていたらしい。

今も捜索中みたいだけど…どこに行ったのやら。

自分の息子は一緒に逃げたみたいだけど皇女達は置いて逃げた。炎華様ショックを受けているだろうな。

皇帝は皇女達をどうするかをまだ公にしていない。これからどうなるのかもきっと不安よね。

私はと言えば暫くはお母様と一緒に暮らせるみたい。まあ、離れろと言っても離れないけどね。もちろん、茉央も同じ意見だ。

お母様が元気になるまで介護をしたいとおもっている。…けど、それを許されるのかは疑問だ。

皇族が居なくなってしまった今は増やさないといけなくなる。そうすると私の結婚という問題も出てくるからだ。

皇帝が今から若い花嫁をもらい子供を作るというのもありだが…そんな気配はないのよね。あの后妃で女嫌いになっても不思議ではないしね。

本人に聞いたわけではないから分からないんだけど。

ん?でもそういえば…曹操が言っていた言葉が今更ながら気になってきたわ。

「人に聞かれたら婚約者だと言え」と言っていたわよね?

それってこれからの事を見越して言ってた?

あれ?じゃあ…。

曹操の言っていた言葉の意味がやっと理解できたわ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない

彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。 酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。 「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」 そんなことを、言い出した。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

君を探す物語~転生したお姫様は王子様に気づかない

あきた
恋愛
昔からずっと探していた王子と姫のロマンス物語。 タイトルが思い出せずにどの本だったのかを毎日探し続ける朔(さく)。 図書委員を押し付けられた朔(さく)は同じく図書委員で学校一のモテ男、橘(たちばな)と過ごすことになる。 実は朔の探していた『お話』は、朔の前世で、現世に転生していたのだった。 同じく転生したのに、朔に全く気付いて貰えない、元王子の橘は困惑する。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...